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| ◆ニャンコがしつこく鼻汁を垂らしませんか? 慢性副鼻腔炎にご用心!! |
| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
ネコの飼い主の皆様 大事なニャンコ君がクシャミを連発しませんか? その時、お鼻から、膿のような鼻汁が出ませんか? 息苦しそうなズーズー、ガーガー音のする呼吸はいかがですか? もしかすると、副鼻腔炎(蓄膿症)に罹ってしまっているのかもしれません。
副鼻腔ってなに?:副鼻腔(ふくびくう)とは、鼻腔に隣接した骨の内に作られた空洞で、前頭洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形洞の4つあります。 頭部は大雑把に言うと、「脳を入れる丸い頭骨」と「口腔・鼻腔を構成する台形の上顎骨」など、いくつかの骨が一つに合体したものです。 形の異なる複数の部分を合体するので、当然凹凸になり「すき間」も生じます。 凹凸、隙間を埋めるためには、一種のパッキング(コーキング)が必要になります。 パッキングは丈夫で軽いことが望ましいので、蜂の巣状に空洞を有する骨がその役を担っていて、この空洞は粘膜上皮で被われています。 これが副鼻腔の本体で、鼻腔(鼻の穴)とはピンホール程度の穴で繋がっています。
慢性副鼻腔炎とはどんな病気か?:鼻腔・上気道の炎症・感染が隣接した副鼻腔に及び、炎症を起こしたもので、多くは細菌などの感染によるものです。 副鼻腔に生じた炎症産物(膿や滲出液)が鼻汁と混ざって鼻から排泄されます。 慢性の経過を取るものが大部分であり、ネコに多く、当院の集計ではイヌではネコの1/4以下の発生頻度です。
どうしてネコに多いのか?:獣医学の教科書を読んでも定説はありません。 日本では仔ネコの上部気道炎を起こすウイルス性の伝染病(伝染性鼻気管炎、カリシウイルス感染症など)が蔓延しており、鼻炎・咽頭炎を持つ仔ネコが多い(仔ネコは副鼻腔が未完成で炎症が波及しやすい)ことが関係すると、私は考えています。また、ネコエイズに感染しているネコは慢性副鼻腔炎を高い頻度で併発します。
原因となる細菌はどんなものか?:これも「定説」はありません。 当院のデータでは、「コアグラーゼ陰性ブドウ球菌」や「ナイセリア菌」が分離される場合が多いのですが、これはいわゆる常在菌で「原因菌」と決め付けることは難しいのです。 文献には嫌気性菌の関与、バイオフィルムを作る菌の関与などが、指摘されている状況です。
症状は?:鼻炎の症状に似ています。 ・くしゃみ ・鼻水(多くは膿性の、時には水のような、嫌な臭いのする) ・苦しそうな、ズーズー、ゼーゼー、ガーガー音を伴う呼吸 以上の3つの症状が典型的で、とにかくしつこい。 また、約半分の症例では、 ・目やになどの結膜炎症状 ・微熱が時々出る ・食欲・元気が不安定 などが認められます。
診断はどうするの?:人間と異なり、ファイバースコープやMRIによる正確な診断は困難です。上記の症状が3ヶ月以上続き、レントゲンで副鼻腔に陰影を認めた場合に、「慢性副鼻腔炎」の臨床診断を行っています。
治療法は?:抗生物質の長期投与が治療の中核となります(人間も同様です)。 副鼻腔と言う、体の奥まった、白血球などの防御機構が働きにくい部分の感染である上に、バイオフィルムと言う、「膜」にガードされて生きている細菌が原因菌であることもあり、抗生物質が効きにくく、どうしても長期の使用が必要となります。 効果を見ながら、抗生物質の種類を決めていきますが、安全性が高く、バイオフィルムを構成した菌にも効果を有する「マクロライド系」の抗生物質が第一選択(人間の場合も)とされます。発熱など炎症症状・全身症状が強い場合、ステロイド剤を適宜併用します。
ご家庭でのケアのポイント:この病気に特異的なケアではありませんが、以下の点にご留意ください。経過が長いので、ジックリ、気を楽にお付き合いをお願いします。 保温: 寒冷刺激は鼻汁の増悪因子です。寒暖の変化は避けてください。 安静:静かに休めるような寝場所を確保してください。 清潔:顔を定期的に清拭し、鼻汁を取り除く。寝床の毛布などにも鼻汁が付着して不潔になり勝ちなので、ハイターなどに漬け洗い。 栄養(食餌):鼻が詰まり、嗅覚が利かない子が多いので、食欲が落ちることが多いです。 食欲が乏しい時には、目先を変えるなど工夫を。
問題点について:この病気は直ちに命取りになるようなものではありませんが、鼻汁による息苦しさや、鼻汁で不潔になることから、ネコ自身ならびに飼い主さんのQOL(生活の質)を低下させることが最大の問題点です。 苦しそうな呼吸音を聞いて暮らす飼い主さんのストレスは、決して小さくないでしょう。 しかも、極めて慢性、難治性であり、内服薬投与が長期にわたり必要となり、ネコによっては服用を嫌がる子もいて、飼い主さんの負担が大きくなる場合もあります。 治療薬の中核は抗生物質で、人間の副鼻腔炎同様、主としてマクロライド系と呼ばれる系統の薬が選択されます。 この薬は他の抗生物質に比べ、長期連用時の安全性に優れ、耐性菌の出現が少ないことが特徴です。 しかしながら、定期的(少なくとも半年毎)に肝機能や腎機能のチェックを行うことが望ましいです。 なお、最近、1回の注射で2週間程度効果が持続するとされる抗生物質が承認されました。 つまり、1ヶ月に2回注射のために来院いただければ良いので、症例によっては使用しています(但し、副鼻腔炎の適応は取得しておらず、高価なことも難点)。
予後(症状の経過予測):この病気だけで生命を脅かされる事態は、まずありません。 また、きわめて慢性の経過を取り、何年にもわたり鼻汁、鼻づまり、くしゃみ、などの症状が継続しますが、お薬をきちんと服用し続けるとゆっくりと快方に向かうことが予想されます。
ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。
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| ◆小鳥の飼い主さんへ そのう炎(そ嚢炎)にご用心!! |
| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
当院の診療対象動物は「犬 猫 小鳥 象 ライオン ついでにオカピもいらっしゃい」と広い(ウソです)のですが、近所にペットショップが数多くあるせいか、小鳥の占める割合が増え続けています(これはホント)。
来院される小鳥さんの病気の内では、そのう炎(そ嚢炎)が最も頻度が高いので、この病気についてご紹介致します。
はじめに そ嚢ってなに?:そ嚢は食道の一部が袋状に膨らんだ器官で、飲み込んだ物の「一時貯留場所」としての働きがあります。 ワシタカなどの猛禽類では丸飲みした獲物をここに貯留し、帰巣後ゆっくりと飲み直しますし、インコや文鳥など草食性の鳥類では、危険な地上で大急ぎでついばんだ穀類などを、そ嚢に貯めておき、餌が水分を吸って軟らかくなってから、胃に送り込むのです。
そ嚢はどこにあるのか?:まだ羽毛が生えそろわない幼鳥ですと、分かりやすいです。首の背面に食べた餌が透けて見える場所がありますが、そこがそ嚢です。 成鳥の場合、羽毛を掻き分けるように探します。
どんな病気か?:上記のとおり、そ嚢は食べた物を一時的に貯めておくところで、栄養豊富です。しかも胃液などの消化液を分泌しないので、細菌やカビなどの微生物が住み着きやすく、異常増殖した微生物により「そ嚢炎」が生じるのです。 多くの場合、異常増殖した菌は胃・腸にも影響を及ぼし下痢などの症状を呈します。
症状は?:そ嚢がブヨブヨと膨らみ、赤黒い色調であることと、餌の吐き出し行為がそ嚢炎にみられる特徴的な症状です。 オスのインコなどでは、求愛行動としての餌の吐き戻しがあり、紛らわしいのですが、吐き出すときの首の振り方(求愛行動では首を縦に振りながら吐き出す場合が多いが、そ嚢炎ではピッピッと横に振る場合が多い)などで見分けられます。 口や鼻や眼の周囲が汚れ、羽毛にも汚れがつく。 口をあけて呼吸する、食欲・元気がない、下痢、やせて体重減少、特有の嫌な臭いがする、などの症状も見られます。
そ嚢炎になりやすい小鳥は?誘因は?:幼鳥や老衰など体力の衰えた鳥は、そ嚢炎になりやすい傾向があります。 アワダマ、パンなど炭水化物の豊富な餌を与えることも誘因になります。
原因となる微生物は?:各種細菌、真菌(カビ)、動物性原虫が原因微生物となります。 動物性原虫(トリコモナスなど)については、1個体でも検出したら病原体と看做します。 細菌や真菌は、元々小鳥のそ嚢の常在菌であることが多いので、病原体と決め付けるのは難しいのですが、菌種・菌数を勘案して判定します。
検査・診断はどうするの?:まず、そ嚢を肉眼的によく観察し、腫脹、うっ血・充血の有無を調べます。これら所見に、餌の吐き戻しがあれば、その時点でそ嚢炎と診断しています。 ついで、そ嚢にゾンデを挿入し、そ嚢分泌液を採取し、顕微鏡で調べます。 顕微鏡では直接塗抹標本(トリコモナスなど動く病原体、真菌など比較的大きな病原体を検出するのに適する)と固定・染色した標本(細菌や真菌をより詳しく調べる)の二通りについてチェックし原因の特定を行います。
治療について:原因となる微生物を取り除く薬を投与します。 トリコモナスには抗トリコモナス薬を、真菌に対しては抗真菌剤を、細菌性のそ嚢炎には抗生物質を投与します。 実際には混合感染しているCaseが多いので、複数の薬剤の配合し投与します。
ご家庭でのケアのポイント:小鳥の病気はご家庭でのケアが重要です。ご家族で共有してください。 @ 保温:小鳥では、どんな病気に関しても、「衰弱」→「体温保持困難」→「衰弱の進展」→「死」のコースが直接的な死因になります。ケージ内の温度を27℃以上に保つことが必要です。 A 安静:あまり動かない様に小さめのケージに。止まり木を外すことも検討。 B 清潔:ケージ、餌箱、水入れなどは水洗し日光消毒。希釈したハイターに漬け置くことも。 C 食餌・水:毎回、全量を取りかえる(注ぎ足さない)。パン、お米などそ嚢内で発酵(腐敗)し易いものは与えない。食欲が乏しい時には、強制給餌(すり餌)するなど工夫を。
予後(症状の経過予測)について:通常(衰弱が進んでいなければ)、治療に良く反応する病気です。しかし、小鳥は一寸したきっかけで、一気に病勢が深刻化するケースがあり、「一概に言えない」ことをご了承ください。
ご不明の点は何なりとご質問ください。
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| ◆女の子ウサギの飼い主さんへ おっぱいの腫れにご用心!! |
| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
女の子ウサギを飼っていて、時々悩まされるのがおっぱいのトラブルです。
おっぱいトラブルの代表格として、 @ 授乳中のお母さんウサギに発症する敗血症性(細菌性)乳房炎 A 授乳期以外のウサギでも発症する嚢胞性乳房炎 の2つがあげられます。
ワンコに多発する「乳がん」はウサギでは頻度が低い(当院では1例しか経験がありません)ので、ここでは触れないことにします。
@ 敗血症性(細菌性)乳腺炎について: 泌乳中の乳腺組織は栄養分たっぷり。細菌にとって、住み付きやすい環境です。 従って、乳頭を含む乳房にちょっとしたキズができると、細菌が侵入し、感染が成立してしまうのです。 そうなると、見る見るうちに、おっぱいが膿で満たされ、赤黒く腫れ上がってしまいます。
はじめは、1つの乳腺(乳頭)に生じ、同じ側の乳腺に広がり、終には反対側の乳腺まで感染が及びます。
感染は乳腺に留まらず、菌が血液の中で繁殖を開始する状態にまで進行することもあり、重篤であり、敗血症性乳房炎と呼ばれます。
診断:乳房の状態をよく観察するとともに、乳腺分泌物(乳房を圧迫して採取)を染色し顕微鏡で検査し、細菌を検出することで行います。 同時に、原因となる細菌の種類を特定するために、血液と乳汁の培養検査を検査センターに依頼します。 ウサギの敗血症性乳房炎の起因菌には各種のブドウ状球菌、パスツレラ菌(ウサギに対し病原性が強い)のいずれかである場合が多いです。
治療:抗生物質の投与で感染を抑え込むことが最優先です。 全身衰弱を伴う場合が多いので、補液(栄養やビタミンの補給)が不可欠です。 乳房の切開排膿あるいは乳房の切除が必要になる場合もあります。
予防:授乳中のウサギさんがいる場合、ケージや寝床を良く掃除すること、おっぱいを濡れタオルなどで、清拭し清潔に保つことが予防のポイントです。
予後(病気の経過予測):発病早期に抗生物質を使うことが出来た場合、治療に良く反応してくれます。血液培養陽性例では、救命出来る割合は50%以下になってしまいます。
特記事項:この病気のお母さんを持つ仔ウサギは、感染が成立してしまっていることが予想されるので、他のウサギから離して人口哺乳することが必要です。
A 嚢胞性乳房炎について: 敗血症性乳房炎と異なり、細菌の関与はマイナーで、卵巣ホルモンのアンバランスが元で、乳腺組織の嚢胞化が生じ、乳房が腫れてしまう病気です。 授乳中のウサギさんにも非繁殖期のウサギさんにも生じ、敗血症性乳房炎と比べると、より慢性経過(元気、食欲はそれほど低下しません)を辿り、治り難い・治るまで時間がかかる特徴があります。
診断:妊娠していない・授乳していないウサギの場合、診断は比較的容易です。乳腺の観察(結節性の腫脹)と乳汁の肉眼的ならびに顕微鏡的観察で診断できます。 妊娠・授乳中のウサギの場合、敗血症性乳房炎との鑑別が必要となり、細菌検査が決め手になることが多いです。
治療:マイナーとは言え、細菌感染の関与がありますので、抗生物質の投与が必要です。 この病気は卵巣ホルモンのアンバランスが根本原因ですので、完全に治すには、卵巣と子宮を全摘出することになります。
特記事項:因果関係が明確になった訳ではありませんが、嚢胞性乳房炎を持つウサギは子宮内膜の過形成・がんを伴うことが多いと報告されています。 この点からも、卵巣並びに子宮を切除する意義が裏付けられます。
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| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
便が水っぽくて、嫌な臭いがします!! そんな症状を訴えて来院されるワンコやニャンコのウンチを顕微鏡で調べると、ごくごく小さく、無色透明で外形不明な物体がうごめいて見えることがあります。
顕微鏡の倍率を上げ、光源を絞り、暗い視野の下コントラストを高めてよく観察すると、三日月形や円形に形を変え、鞭の様な尻尾を振りながら、ウロウロと動き回る生き物であることが、かろうじて認められます。 これが、鞭毛虫。 下痢などの消化器症状の原因になる微生物です。
鞭毛虫ってどんな虫?:ワンコやニャンコ、サルやヒトの消化管に寄生する寄生虫です。 正確に言うと、動物性原虫で、Giardia属に分類されます。 大きさは、白血球2個分ぐらいで、もちろん肉眼では見えません。便を顕微鏡で調べると、下痢便の中をウロウロ泳ぎまわっているのが見えるので、分かります。それをメチレンブルーと言う色素で染めると下の写真のように見えます。 日本のワンコやニャンコの便に存在する鞭毛虫はまず間違いなくランブル鞭毛虫という種類です。
どうやって感染するの?: ・ この虫は腸の中でシストと呼ばれる卵を多数産み、便とともに排泄されます。 ・ シストは大変丈夫で、3ヶ月程度は感染能力を持ち続けます。このシストで汚染された水や食べ物を摂取することにより感染します。 ・ 経口的に摂取されたシストは胃を通過後に速やかに脱嚢して栄養型となり、十二指腸から小腸上部付近に定着し、感染が成立します。
どこで感染したのか?:体に鞭毛虫のシストが入ってから、発症するまでの期間はバラツキが大きいので、どこで感染したかを特定することは困難です。頻度としてはペットショップや親元で感染する場合が多いです。
どんな症状?:腸炎を起こし、下痢、吐き気、嘔吐、腹痛などの症状が出現し、下痢が長引くと衰弱、体重減少などの症状を引き起こします。 下痢は1日数回から20回以上と様々であり、多くは水様ないし泥状便です。血便になることもあります。
診断はどうするの?:新鮮な便を用いて顕微鏡検査にて動き回る虫体を検出して診断します。
治療はどうするの?:メトロニダゾールと言う薬剤(トリコモナスの治療薬)が使われます。
注意点は?: ・ 再燃、再感染の問題:鞭毛虫の生活環の特性から、再燃、再感染するケースがしばしば見られます。不完全駆虫による再燃を避けるため、徹底的な駆除が必要です。治療薬を完全に飲ませること。1週間後に再度検便すること必要があります。 ・ 人間への感染の問題:鞭毛虫は感染力が強く、人間にも寄生しますので、ウンチは直ぐに処理することが大切です。また、これまで、使っていた毛布などは処分したほうが良いです。
以上、鞭毛虫症について可能な限り平易に、かつ詳しくご説明致しました。 ご不明の点は何なりとご質問ください。
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| ◆ハムスターやモルモットの飼い主の皆様へ ぎょう(蟯)虫症にご用心!! |
| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
「下痢・軟便」の症状で来院されるハムスター、モルモットの便から、ぎょう虫の卵が検出される機会が増えています。
それも、ペットショップなどで購入したばかりの子供のハム君、モルちゃんから主に発見されます。
げっ歯類は植物繊維を消化するために、特殊に進化させたデリケートな消化管を持ちます。 例えば、ハムスターには、頬袋、2つに分かれた胃袋、大きな袋状の盲腸などがあり、どの部位も病原性微生物や寄生虫などの感染にさらされていて、命取りになる可能性があります。
どんな虫なの?: ハムスターなどのげっ歯類から検出されるぎょう虫はネズミ盲腸ぎょう虫(Syphacia obvelata)と言う種類のものが多いです。 その名の通り、盲腸から結腸にかけての大腸に寄生します。 成虫の大きさはオス:1〜2mm、メス:3〜6mmと小さく、細くて白い糸屑のように見えます。
どうやって感染するの?: 成熟したメスはお昼頃、肛門周囲に移動し、「柿の種」の様な(顕微鏡で見るとです)虫卵を産みつけます。 ヒトのぎょう虫は、深夜から明け方にかけて、肛門周囲に移動し産卵しますが、この違いは、宿主(ハムスターやヒト)の睡眠している時間帯の違い(ハクスターは夜行性)によると考えられています。 肛門周囲がむず痒くなるのでヒトの場合は手で掻いて、その手で食べ物を食べる行為により感染し、ハムスターは直接舐める行為により感染が成立するわけです。
どこで感染するの?: 複数の動物たちが密集して飼育されている環境、つまり、繁殖施設やペットショップで蔓延している場合が多く、お家に来た時には感染しているCaseが殆どです。
どんな症状?: 軟便・下痢が主な症状です。他には、瘠せている。尾が濡れている。などの症状が普通です。 この病気だけでは、死に至るようなことはまずありませんが、細菌性腸炎、原虫性腸炎を併発すると、極めて重症化するので、この点注意が必要です。
診断はどうするの?: ネズミ盲腸ぎょう虫は、昼過ぎに肛門周囲まで移動して肛門の外側に産卵します。 私が工夫して用いている方法は、夕方から夜にセロテープを肛門にペタッと貼り、それをスライドグラスに貼り付けて、顕微鏡検査を行い寄生の有無を確認するやり方です。 寄生数が多い場合には通常の検便でも検出されます。
治療法は?: パモ酸ピランテル(ヒトのぎょう虫症にも用いられます。安全性が高い薬です)の内服で治療可能です。一回だけの駆虫では不完全なことが多いので、1週おきに2回から3回服用させます。
その他: 一般に、ぎょう虫類は宿主特異性が高いとされています。 即ち、げっ歯類のぎょう虫はヒトなど非げっ歯類には寄生しないと言う意味ですが、生き物に100%はありません。 飼い主さんの健康を守るため、ぎょう虫寄生が証明されたハム君などをお飼いの場合、触った後の手洗い徹底やウンチの処理、ケージ、寝床の清掃徹底をお願いします。
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| ◆仔犬・仔猫を飼われる飼い主さん 糞線虫にご用心!! |
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ペットショップなどから、新しい家族として迎え入れられた仔犬や仔猫さん。 到着早々、下痢や血便に悩まされていませんか? そんな仔犬の下痢や血便の原因は様々。 新しい環境へのストレスも原因になり得ますし、新しいフードが合わないこともあるでしょう。 一時は根絶に近い状態だった寄生虫、糞線虫によるものが、最近になって増加傾向ですのでご用心!!
糞線虫ってどんな虫?: ワンコやニャンコ、サルやヒトの消化管に寄生する寄生虫です。 大きさは、約2mmの細長い白色糸状の虫です。この虫は動物の腸に寄生して過ごす世代と、外界で発育・交尾する2つの世代があります。外界にいるときは雄と雌があるのですが、動物の腸に寄生するのは雌だけです。 虫卵は楕円形、無色で殻の薄い卵で、糞に出てくる時にはすでに中で幼虫になっています。糞線虫が寄生し、下痢など様々な症状を示すのが糞線虫症です。
どうやって感染するの?: ・ この虫は腸の中で孵化します。そのため、糞の中にはすでに孵化した幼虫の形で出てきます。 ・ 幼虫は体の外で成長・脱皮を繰り返して、第3段階(第3期子虫といいます)にまで成長したものが摂取されると感染します。 また、皮膚から経皮的に体内に侵入して寄生することもあります。寄生するのは雌だけです。 ・ 雄・雌の糞線虫の交尾も体外でします。 ・ 皮膚から侵入した虫は肺に向かい、そこから口、消化管と移動して寄生します。 犬の腸には雌しか棲んでいませんが、無性生殖を行い産卵・孵化します。
感染しやすい場所は?: 仔犬や仔猫が閉鎖密集集団として飼育される場所、つまりペットショップなどが感染源となる場合が多いです。 しかし、体に糞線虫の第3期子虫が入ってから、発症するまで(便中に幼虫を排泄)の期間はバラツキが大きいので、どこで感染したかを正確に特定することは困難です。
どんな症状?: 腸炎を起こし、下痢や血便をします。また、体内に入った幼虫が肺を通過するときには咳が見られます。抵抗力が低下することで、幼い動物ではまれに死亡してしまうこともあります。幼虫が皮膚から侵入した場合、そこの部分の皮膚が皮膚病を起こし、赤み、痒みなど示すことがあります。
診断はどうするの?: 新鮮な便を用いて顕微鏡検査にて幼虫を検出して診断します。
治療はどうするの?: 従来はベンゾサイアミン系薬剤が糞線駆虫薬として用いられてきましたが、副作用が強いため最近ではイベルメクチンと言う薬剤(フィラリアの予防にも用いられる)が使われます。
注意点は?: ・ 糞線虫は感染力が強く、人間にも寄生しますので、ウンチは直ぐに処理することが大切です。皮膚からも感染することがありますので、しばらくは使い捨てのゴム手袋で、処理するほうが良いと思います。 ・ 使っていた毛布などは処分したほうが良いです。 ・ 糞線虫の生活環の特性から、「繰り返し駆虫」が必要です。2週おきに3回(あと2回)は駆虫する必要があります。
ご不明の点は何なりとご質問ください。
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| ◆ワンコの頭が傾きませんか? 前庭障害にご用心!! |
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皆さんの愛犬。 頭が極端に傾いて(ねじれて)いませんか? その様な状態に関して、考えられる原因はそれほど多くありません。 「特発性前庭障害」と言う病気が真っ先に疑われます。
どんな病気か?:「特発性」と言う医学用語は、「原因が充分に突き止められない」の意味で、「前庭」は内耳のなかで「平衡感覚をつかさどる部分」です。 したがって、「特発性前庭障害」とは原因はよく分からないが、前庭に不具合が生じ、体のバランスを保てないなどの症状が出ることを意味します。 「原因がよく分からない」は何かいい加減なように聞こえますが、腫瘍、炎症、薬物中毒その他、可能性のある病気がすべて否定された結果辿り着く「除外診断」なのです。
ですから、「特発性前庭障害」と診断するためには、頭部の詳細な画像検査(MRI検査など)や聴力検査、血液検査などを行う必要があります。 頭が極端に傾いているワンコの場合、臨床的にこの病気である可能性が高いのですが、当院ではMRI検査などの精密検査は実施不能ですので、「疑い」とさせていただいております。 下の図は、特発性前庭障害のワンコにしばしば見られる斜頚(捻転斜頚)の症状です。
この病気の症状は?:突然、図のような念転斜頚があらわれ、眼球が左右に細かく揺れる水平眼球振蘯、嘔吐、食欲がなくなるなどの症状が同時に見られることが多いです。 その後、1ヶ所でくるくる回る旋回運動が見られるようになります。
このような症状が現れるメカニズムは?:耳の奥(内耳)には蝸牛(かぎゅう)という音を感知する働きを持つ部分と、前庭という部分があります。前庭は三半規管と耳石器からなりたっており、この前庭は体がどの方向へどのようなスピードで動いているかなどの情報をキャッチする働きを受け持っています。 三半規管の中はリンパ液で満たされていて、リンパ液の流れから身体の位置情報を把握します。 前庭でキャッチした位置情報などは前庭神経を通って脳へ伝えられ、これらの情報を脳が統合整理し、もっとも適切な運動や姿勢をとるよう指示し制御します。この仕組みによって平衡バランスが保たれているのですが、この仕組みが破綻した状態が起きてしまうのです。
前庭障害の原因は?:外耳炎が慢性化すると内耳にまで炎症が波及し、前庭に障害を起こすことがあります。他には先天性のもの、薬物中毒によるもの、栄養失調、頭部の外傷に誘発されるもの、腫瘍によるものなどがあります。 原因が突き止められない場合、特発性前庭障害と診断されることになります。
治療法は?:薬物療法が治療の主体になります。 特に、外耳炎がある場合、外耳炎に対する治療(抗生物質など)を徹底します。 この病気には副腎皮質ホルモンが有効です。嘔吐があり、食事を摂れない場合、補液やビタミン剤の投与が必要になります。
経過予測は?:通常24時間以内に突然、上記のような症状が現われ、2〜3週間かけて徐々に回復していく場合が多いです。後遺症として、斜頸が残ることがあります。 なお、症状がどんどん進行し、前後肢の麻痺(片側不全麻痺)や筋肉の震え(振戦)が現れるようですと、別の病気(脳腫瘍や梗塞)を考慮する必要が出てきます。
予防方法は:この病気そのものの予防方法はありません。 ただ、前述のように、外耳炎が基礎疾患になる場合が多いので、外耳炎のある子についてはシッカリ治療しておくことが予防につながります。 また、病気のなり始めに治療できると、早く治り、後遺症も出にくく、全体の経過が軽くて済むことが分かっています。
以上、前庭障害について可能な限り平易に、かつ詳しくご説明致しました。 ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。
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| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
眼の一番表面にある、ガラス玉の様に透明な、人間で言う黒目の部分が角膜です。 ここに炎症が生じると角膜炎。 眼の外傷が原因になったり、全身のウイルス感染症の1つの症状として発現したり、結膜炎が波及して起こったりします。 角膜炎は痛みが強いだけでなく、視力の低下や、ひどい場合には、失明することもあり、早期の治療が必要です。
犬なのに角膜炎?原因は何?: 「角膜炎ですね。」私がこう説明しますと、多くの飼い主さんが怪訝な表情を示されます。 でも、ワンコの場合、角膜炎の発生頻度は人間より多いくらいなのです。 犬やネコは人間に比べて、眼球に占める角膜の面積がずっと広いですし、草むらなどで遊ぶことも多いので、眼や眼の周りに傷を負うことが多いのです。 また、シャンプーの原液や消毒薬など刺激の強い化学物質が目に入ること、さらに、犬にはイヌ伝染性肝炎やジステンパーと言ったような、ウイルス性の激しい伝染病があり、症状が角膜にあらわれることもあります。 つまり、 ・ 外傷 ・ 化学物質による刺激 ・ 感染 ・ 免疫機能異常 が原因としては上位にあげられます。
角膜炎を起こしやすいのはどんなワンコ?: 犬種的には、シーズーやパグ、フレンチブルなどお鼻がペチャンコで、眼が大きく飛び出しているワンコは特に要注意です。 普段から目の充血や目やになど、角膜炎に気を付ける必要があります。
どんな症状?: ・眼を見開けずに、ショボショボとまばたきを繰り返す ・目やに、なみだが沢山出る ・黒目の部分が白濁している ・結膜が充血している などが主な症状です。 また、元気・食欲がなくなり、全体的にだるそうな様子を示すこともあります。
診断はどうするの?: 上記のような症状があれば大体見当がつきます。 慎重に診察・検眼し、角膜の状態を確かめ、必要に応じて角膜の染色検査(フルオレス試験紙と言う染色試験)を行って診断します。 診断で最も大切なことは、炎症(キズ)の深さを把握することです。 専門的になりますが、この薄い角膜は上皮、実質、内皮(デスメス氏膜)の3つの層からなりますが、炎症(キズ)が上皮に留まっている場合と、それより深い場合とでは、視力障害の残り方や、治癒までの日数に決定的な違いがあるからです。
炎症が角膜実質の下部まで及び、その部分がえぐれたように欠損する場合、角膜潰瘍と呼ばれ、治り難く、治った場合でも表面に凸凹ができ、本来存在しない血管が周辺から生えて来て(パンヌス)、視力障害が残るCaseが多いです。
治療法は?:薬物療法、角膜保護、眼の安静が基本的な治療です。角膜移植も行われます。 薬物療法: 抗生物質による感染制御、角膜表面保護薬、ビタミン剤、それに炎症を抑える薬を症状・状態に応じて使用します。 ・抗生物質:角膜には血管やリンパ管が通っていません。そのことに関連するのですが、角膜細胞の生まれ変わり(turn over )が非常にゆっくりであること、一度傷ついた角膜は細菌などによる化膿に対抗する力が殆どないことが大きな特徴です。 従って角膜炎の治療は傷ついた角膜がゆっくりと生まれ変わる間、抗生物質を使用することにより細菌の感染に対抗することが基本です。 ・角膜保護剤:まぶたと傷ついた角膜がこすれるとひどく痛む場合がありますので、痛みを和らげ、乾燥を防ぎ、局所を保護する涙の成分に近い目薬、ヒアルロン酸という潤滑油のように摩擦を減らす作用のある目薬を点眼します。 ・ビタミン剤:ビタミンB2は角膜細胞を活性化し治癒を早める作用があります。 ・抗炎症薬:ステロイド系の薬は炎症を抑える作用が強いですが、症状が強い時には使えません。症状が一段落した時点で注意しながら用います。非ステロイド系の薬は炎症を抑える力はより安全に使用できます。
角膜保護: ・エリザベスカラー装着:掻き壊しを防止します。 ・治療用コンタクト装着:人間ですと、眼帯をして、眼を養生しますが、ワンコはじっとしてくれません。 そこで、角膜保護用(治療用)のコンタクトレンズを装着し、角膜を守ることが普及してきています。 ・眼瞼縫合術:上下の瞼を糸で縫い合わせる方法です。
眼の安静:治療中、薄暗い静かな部屋に置くこと。風、ゴミ、光などの刺激から眼を守ること(安静)が非常に大切です。
角膜移植:角膜潰瘍の程度が強いもの、慢性化し視力の回復が望めないものなどは、角膜移植が治療上の選択肢になります。 設備・スタッフが整った大学病院などの2次医療施設で行うことが適当ですので、責任をもってご紹介します。
ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。
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| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
蓄膿症とは文字通り、膿が蓄えられる病気。 人間の場合、蓄膿症と言うと、鼻の奥の副鼻腔に膿が溜る病態の副鼻腔炎を表すことが多いですね。 人間同様、副鼻腔の蓄膿症がニャンコに多く、極めて慢性・治療抵抗性の経過をとります。
今回取り上げた、子宮蓄膿症はワンコに多い病気(なぜかニャンコでは稀、当院の経験はワンコの1/5以下、しかも多くの場合、内容物は膿ではなく、粘液)で、子宮の中で細菌が異常繁殖し、全体が膿んでしまう状態です。 子宮内膜炎の終着駅で、外科的処置を要すると考えてください。 当院で診ている婦人科系の病気としては、乳がんと並んで手術件数が多いものです。
原因は?誘因(なり易いワンコ)は?:直接の原因は子宮内膜の細菌感染です。 起炎菌の主体はBacteroides属などの嫌気性と大腸菌の混合感染である場合が多いとされています。 誘因としては、性ホルモン分泌のアンバランス(下垂体−卵巣系の機能異常)、尿道・膀胱炎など尿路感染症の既往、以前のお産の回復が不良なこと(特に、流産した胎児や胎盤の一部が排泄されずに残ってしまった時)があげられます。 年齢は6歳を超した成犬が圧倒的に多いです。
どんな症状?:臨床的には嘔吐する、水をたくさん飲む、食欲がなくなる、熱が出て元気がなくなる等の症状が見られます。 また、お腹が腫れる(子宮が腫れた結果です)、陰部から汚い粘液のような物(おりもの)が排泄されると言う症状が見られます。陰部から大量に汚い物が出るケースでは却ってお腹の腫れは少ないことがあります。 おりものは子宮頸管が閉まっているCaseでは見られず、陰部を良く舐めるワンコでは見過ごされることもあります。 乳房が張ってきて、乳首がピンク色になり、乳汁が出ることもあります。妊娠と紛らわしい症状です。 お腹を触診すると、痛そうな様子を示し、可視粘膜の観察で貧血の存在(舌や唇や結膜が蒼白くなるなど)認めることが多いです。 治療が遅れると、全身に細菌毒素が回り、ショック症状を起こして死亡します。
診断方法は?:症状を注意深く観察することと、レントゲン撮影、超音波検査、血液検査(白血球数の増加)、陰部からの「おりもの」の顕微鏡検査などを総合して診断します。 当院では子宮蓄膿症と診断し、開腹手術した症例は累計で優に100例を超えていますが、いわゆる誤診は1件も経験していません。
治療はどうするの?:抗生物質の投与で症状が治まることもありますが、効果は一時的なものです。 根治手術が現実的に最良の治療方法です。 術式は全身麻酔のもとに開腹し、卵巣と子宮を摘出する、卵巣・子宮全摘術です。 摘出した子宮は、漿液、膿などの混合物で充満し、赤黒く腫れ上がり、正常の数十倍の大きさで妊娠子宮の様になっている場合が大部分です。
「診断」の項で記載しましたとおり、当院では過去に100件を超す手術例を経験していますが、この手術による死亡などの過誤は1件もありません。 しかし、あまりにも治療が遅れ、全身状態が不良の時は危険が伴いますし、麻酔の事故や予測不能な事態はいかなる手術においても100%は避けられないものであることをご理解頂きたくお願いいたします。
予後(症状の経過)は?:手術した場合、ケースバイケースですが、概ね2週間位で回復します。
予防方法は?:子供を産ませる予定がないワンコの場合、不妊手術を済ませておくことです。
ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。
ワンコの子宮蓄膿症(子宮内は膿で満たされている) ニャンコの子宮水腫(粘液様水腫) ↓ ↓ |
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人間でも、動物でも急な病気や大怪我、それが夜中や明け方に起きた場合、あわてますよね。
その原因が分かっていて、経過の予測が立てられる時は、飼い主の皆様も冷静な対応が取れますが、突然苦しみだしたり、けいれんしたり、嘔吐が続いたり、出血が止まらないような時には、パニックに陥るのは当然のこと。
「ペットクリニック」の看板を掲げている以上、夜中に電話が鳴るのも覚悟の上です。 過去に、当院で深夜など時間外に対応した病気・外傷では、 ・ お産関連(帝王切開術など) ・ お産後に生じた母体の低カルシウム血症(筋けいれん) ・ 人間用の薬剤や色々な異物を食べて(飲んで)しまった ・ 交通事故 ・ お風呂(熱湯)にニャンコが落ちて大火傷 ・ ケンカによる咬傷 ・ ニャンコがマンションのベランダから落ちた ・ ハチやムカデなどの毒虫刺され ・ 小鳥を踏んでしまった ・ 熱中症 ・ 糖尿病治療のインスリン注射に伴う低血糖発作 ・ てんかんによるけいれん発作 ・ 各種心臓発作 ・ 呼吸困難 ・ 胃捻転・腸重積による苦悶 ・ おしっこが出なくなって苦しそう ・ 原因不明の虚脱・突然死 などがあります。 人間の救急病院に当てはめると、一次救急(入院の必要がない程度)、二次救急(入院を必要)から三次救急(集中治療室での処置を要するもの)まで実に様々。
ところで、私が、動物病院を開業した27年ほど前は、どちらの動物病院も急病や怪我の動物が出た場合には、「夜中でも明け方でも診るのが当然」と言う風潮でした。 でも、最近は夜間救急対応を引き受ける動物病院はずい分少なくなりましたね。 @ 夜間救急専門病院が出来て、一般開業獣医と役割分担が確立しつつある A 病院と自宅住居が別の場所(例えば貸店舗で開業)にあり、夜間は無人になる場合が増えた B 獣医師が一人の病院では、そもそも体制的と言うか体力的に適切な処置が出来ない ことなどが、一般開業医が夜間救急を避けるようになった要因だと思われます。
当院でも一時期、時間外・夜間救急を全て夜間救急専門病院に紹介することを検討しました。 しかし、それが必ずしも飼い主さんのニーズに合わないことが分かり、以前同様に当院でもお引き受けするようにしています。
救急専門病院のレベル(人・設備など)が急速に向上しているにもかかわらず、「飼い主さんのニーズを満足していない」理由を実際に受診された飼い主さんに訊ねると、 @ 基本的に初診になり、各種の検査を重複して行うので、金銭的負担が大変大きくなる A 夜間救急専門病院までの距離があり、治療開始までの時間がかかり、「救急」にならないことがある B 獣医師は交代勤務なので、何時も良い獣医師にあたるとは限らない などが浮かび上がってきています。
そんな訳で、ホームドクターとして健康管理をさせていただいているワンコ・ニャンコを対象に、時間外救急対応を続けている次第です。 「いざと言う時に安心です」こうおっしゃっていただけることが、私や夜間担当獣医師(ダンナです)にとってのモチベーション。
ここで、皆様にお願いがあります。 前のリストにあげた急な病気・怪我は確かに救急対応が必要なものばかりです。 しかし、中には、 「昼間から具合が悪かったが様子を見ていた。夜になって、容態が悪化したので診てほしい。」 と言うCaseもかなりの頻度あるのです。 少し早めに(診療時間内に)来院いただけたら、こちらとしてもスタッフ数など、より充分な体制で治療に当たれますし、「時間外診療費」も発生しません。
「急病と言う名の病気」の予防であり、何よりも、動物たちのためですからね。
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| ◆人間にはありませんよね? ワンコ・ニャンコの耳血腫にご用心!! |
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「血腫」とは皮下などに血が溜まり腫れてしまう状態。 豆腐の角に頭をぶつけた際などに出来る、「タンコブ」が典型的な血腫です。
ところで、ワンコやニャンコのお耳が、まるでギョーザのように腫れ上がっているのを見たことがありませんか? 耳の皮膚の内側に血液が貯留した、「耳血腫」である可能性が大です。 人間のタンコブであれば、冷やしておくくらいの処置で大抵治りますが、動物たちの耳血腫は中々厄介。 耳介は皮膚と軟骨により形成されていますが、イヌは軟骨と皮膚の接着がルーズなのでそこに血液が溜まりやすいのです。
この「耳血腫」について、人間の医学書には記載がみられません。人間の耳には出来難いものなのでしょうか? ご存知の方がいらしたら教えてください。
どうして耳介の血管が切れるの(原因は)?:自分で耳を色々なものにこすり付ける行為、後ろ足で掻きむしる行為、頭を強く振る行為により耳介の皮下を走行している血管が物理的に傷付くことが直接の原因です。
誘因は?なりやすいのはどんな動物?:耳血腫はイヌでもネコでも起こりますが、耳の大きな(垂れた)イヌで最も良く見られます。 外耳炎は耳のむずがゆさ、違和感をもたらしますので、掻いたり、こすりつけたりの行為に直結し、耳血腫の重要な誘因です。 自己免疫が原因の一つであるとの学説もあります。 当院では、耳血腫の動物について免疫機能を調べた経験がありませんが、ステロイド剤が著効を示す例があることから、一部の症例では自己免疫の関与も否定できないと思います。
どんな症状?: ・ 耳が腫れて厚くなる。ギョーザ耳と表現する人もいます。 ・ 触るとブヨブヨする。 ・ 頭部を触られるのを嫌がる。 ・ 耳を触ると熱い。 ・ 局所が紫色に変色。 ・ 悪いほうの耳を下に、首をかしげる。 ・ しきりに首を振ったり耳を掻いたりする。 などの症状が見られます。
診断はどうするの?:耳の状態を注意深く観察することで診断します。
治療方法は?: @ 外科的に排液:耳の皮下に溜まってしまった血液を排出してあげることです。そのために、注射器を使って吸い取るか、メスで皮膚を切開し排泄するかいずれかの方法を用います。感染防止として抗生物質を注入した上で、血液の再貯留を防ぐために、ガーゼでタンポンを作り、耳に圧迫包帯を施します。 A 縫合:排液後、皮膚と耳介軟骨を縫い合わせ、液の溜まる隙間をなくすことで、血液の再貯留が少なくなります。 B 掻くことを防止:エリザベスカラーを装着し、局所を掻けない様にします。 C 外耳炎の治療:外耳炎はもっとも重要な誘因ですので、外耳炎の治療を徹底します。 D 薬物療法:感染を防ぐため、抗生物質を使用します。 ステロイド剤が著効を示す例があります。短時間で再貯留する例、繰り返し再貯留する例には使用を検討します。
この病気の問題点:せっかく穿刺や切開をして、溜まった血液・漿液を取り除いても、再貯留が起きやすいことが問題点です。再貯留が起きる割合は40%程度。2回以上再貯留する割合は20%程度です(当院のデータ)。 治った後、「耳の変形」を残すCaseがあるのは、show dogなどでは美容の観点からの問題点です。
予防について:この病気を確実に予防する方法はありません。 外耳炎が誘因になりますので、外耳炎を治療・予防することは、この病気の発生を防止することに繋がります。
ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。
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| ◆お散歩の時にスキップ歩きしませんか? 膝蓋骨脱臼にご用心!! |
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お散歩の時に、後ろ足の運びが「スキップをしている」様な、あるいは「ケンケン」をしている様になることがありませんか? 単なる「くせ」の場合も偶発的な動作の場合もありますが、膝の関節が瞬間的に外れる、「膝蓋骨脱臼」である可能性もありますのでご用心。
どんな病気か?: 膝蓋骨脱臼とは、後足にある膝蓋骨(膝のさら)が正常な位置から逸脱した状態を言います。 外れ方で、内側にはずれる内方脱臼と外側にはずれる外方脱臼に区別します。 膝蓋骨が外れると、その瞬間に違和感(痛み)を感じて?びっこを引く(ケンケン動作、スキップ様の歩行)事が多いです。 一過性にはずれ、動いているうちに自然に元に戻る(整復)もの、はずれっぱなしになり、戻らないものなど、病状は様々です。
脱臼が継続するとどうなるの?: 膝蓋骨や大腿骨(関節面)などに変形を来たし、痛みが強くなり、運動量が低下(散歩に行かないなど)してきます。 症状がひどい場合、後ろ足が棒のように曲がらなくなり、後方に伸びたまま着けなくなることもあります。
どんな犬種で多いのか?: すべての犬種に発生します。 内方脱臼はポメラニアン・トイプードル・チワワなどの小型犬種に多く、外方脱臼は運動が活発で膝関節に突発的な外力がかかり勝ちな大型の犬種にみられる傾向にあります。
発生頻度は?: 内方脱臼は軽度のもの(無治療例)まで含めると非常に多く、椎間板症(ヘルニアなど)と双璧です。外方脱臼は当院の集計では、最近の5年間で3例であり、内方脱臼と比べはるかに低頻度です。
原因は?: 先天性の要素が強いものと後天性のものに分けられます。 ・ 先天性の要素が強いもの:膝関節を構成するとともに、膝関節を支える周囲の筋肉や骨、靱帯付着部などの組織が元々未発達・脆弱な状態がBaseにあり、加齢ととも靭帯が緩むなど、進行して膝蓋骨の脱臼にいたるものです。 特に関節面(溝)が生まれつき浅い場合、脱臼を起こしやすいのです。これは特定の犬種・家系(血統書で確認)で、多く見られることから、遺伝の要素が強いものと考えられています。内方への脱臼が主です。 ・ 後天性のもの:フローリングで滑った、交通事故に遭った、落下した、など外力が原因で脱臼が発生するものです。
診断はどうやるの?: 歩き方を注意深く観察すること、膝関節を曲げ伸ばししながら触診すること、レントゲン検査を行うことで、ほぼ100%診断が可能です。 この病気の経過は?症状は?: 膝蓋骨脱臼(特に内方脱臼)の症状は、その程度により無症状のものから正常な歩行が困難なものまで幅広いものです。 病気の進行状況(グレード)をもとにグレード1から4までの4段階に分類されています。 グレード1:普段は正常な位置にあるが、力をかけると膝蓋骨が外れる。この時点で発見するのは難しい。骨の変形はない。痛みはない。 グレード2:力をかけると膝蓋骨が外れる。ケンケン歩行・スキップ歩行する。骨は軽度の変形。痛みはない。 グレード3:常に膝蓋骨が外れた状態で、手で正しい位置に戻すこともできるが、またすぐ外れる。骨が湾曲する。 グレード4:常に膝蓋骨が外れた状態で、手で戻すことはできない。骨にかなりの湾曲がみられる。
治療はどうするの?: 関節整復:来院時に脱臼を認める場合、とにかくあるべき位置に用手整復を行います。 手術療法:グレード3以上(常に膝蓋骨が外れた状態)に進行した場合、手術を考慮します。その子の状態により、手術の方法(術式)は以下の中から選択されます。 ・ 膝関節の窪みを削って擦り合わせを深くし、はずれにくくする方法 ・ ボルトを埋めはずれ止めを作る方法 ・ 伸びて緩んだ靭帯(関節包)を縫い縮め、はずれ難くする方法 ・ 上の方法を複数組み合わせる 薬物療法:根本的な解決ではなく対症療法ですが、消炎鎮痛剤の投与を行います。
家庭でのケアと予防(留意点): ・ 床をすべりにくいものにする ・ 安静:ソファーなどの昇り降りや、ピョンピョン飛び跳ねる行為、ダッシュ&ストップは止めさせてください ・ 運動:運動は膝関節を支える筋肉・靭帯の強化が出来ますので有用です。しかし、過度な運動負荷は関節のダメージに繋がりますので、ダッシュ動作は避け、お散歩を長めにする程度にしてください。 ・ ダイエット:ケアのポイントです。膝にかかる負荷を減らす意味でダイエットは極めて有効です。体重を1割減らせば症状は確実に軽減します。
予後(症状の経過見通し): 基本的に命にかかわる病気ではありませんし、ご家庭でのケアで元気に過ごせる場合がほとんどです。 不幸にして病勢が進行し、手術が必要になった場合には詳細を別途ご説明致します。
ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。
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| ◆鼻ペチャワンコの飼い主さん必読 短頭種気道症候群にご用心!! |
| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
この稿はブルやパグ、ペキやキャバリアなど、鼻ペチャワンコの飼い主さんは必読です。
パグなど口吻が短いワンコ達は「短頭種」と呼ばれます。 短頭化に伴い頭頚部の諸器官の形状に歪が生じて、色々な不具合が出てくる場合もあります。
例えば、眼が収まる眼窩は浅くなり、広くなり、要するに金魚の出目金の様に飛び出てしまい、角膜に傷を負いやすくなっています。 波及して角膜炎、緑内障、白内障などの発症率が高いのです。
呼吸時の空気の通り道、「気道」にも歪みを生じやすく、その結果、気道抵抗の上昇・呼吸困難を呈する場合があり、この状態を短頭種気道症候群と呼びます。
原因は?:物理的要因(頭部の変形に伴い、鼻孔、鼻甲介、軟口蓋後端部、舌骨装置などの上気道が狭く、歪みを生じ気道抵抗が増加すること)が第一義です。 増大した気道抵抗に対して、ワンコは横隔膜、肋間筋および胸壁を通常より過大に使用する、いわゆる「努力呼吸」が必要になります。 努力呼吸をしている状況では、気道粘膜の炎症・腫脹が慢性的に生じ易く、このことが狭窄を増悪すると言う、悪循環に陥りやすいのです。
どの部分が特に狭くなるの?:咽頭の軟部組織部分(軟口蓋後端部や舌骨装置など)です。この部分は、骨や軟骨で支持されていないため、変形の影響が強くでます。
どんな症状?:ゼイゼイ、ガーガー、ガッガッなど、ガチョウの鳴き声に例えられる呼吸音(咽頭閉塞音)が特徴的な症状です。 ゼイゼイ、ガッガッの呼吸が続くと、引き続いてゲーと嘔吐する時のような動作を示すことがあり、口を開けての呼吸、激しい「いびき」も殆どのワンコで見られ、運動後に舌の色が青紫(チアノーゼ)になること、物を食べている時に失神(嚥下時の一時的な上気道閉塞による)することもあります。 胸部圧が努力呼吸により変動するため、不整脈(呼吸性)を示すことも多い病気です。
診断はどうするの?:上記の臨床症状により、およその診断をした上で、頭をレントゲンで横から撮影して、頭骨構造・角度を評価します。 全身麻酔が可能な場合、麻酔下で咽頭、喉頭を観察し、診断します。
間違いやすい病気は?:呼吸困難を起こす病気全てが、区別するべき病気です。 僧帽弁閉鎖不全(心臓弁膜症)やフィラリア症などの心疾患、慢性気管支炎、それに気管虚脱などの病気は本症と似た症状を起こすので、類症鑑別が必要です。
治療法は?:重症例に対しては、根治療法として軟口蓋切除、鼻翼切開などの手術により気道抵抗を減らすことが選択されます。合併症を起こしやすい手術なので、大学病院など、設備とスタッフが十分な施設で実施することをお勧めします。 保存的治療としては、上気道炎を抑え、粘膜の腫れをコントロールするために抗生物質やステロイド剤を長期にわたり投与することも必要になります。
手術や薬物以外の家庭でのケアについて:この病気は長期(一生)に亘りますので、家庭でのケアが経過を大きく左右します。留意点を列記します。 @ 肥満対策:首回りに付いた脂肪は外側から気道を圧迫し、呼吸困難を増悪します。 A お散歩時の注意:お散歩は首輪ではなく胴輪。首を締めない、刺激しないものを。運動量は状態を見て、適切に。 B 温度管理:高温下では呼吸量が増えるので、この病気の大敵です。涼しく、いつも水が飲める場所に置くように。 C 食事の種類:嚥下時の上気道閉塞を示す場合、フードは小粒の飲み込みやすいタイプとし、水でふやかしてあげることが有効です。 D アレルギー対策:じんましんなど急性アレルギー反応では咽頭浮腫を生じることがあり、元々上気道狭窄を有するワンコでは命取りになりかねません。虫刺され、食餌アレルギー、ハウスダストなどアレルギー反応を惹き起こす要因は可能な限り遠ざけることが必要です。
予後(病気の経過予測)について:基本的に一生この病気と付き合うことになります。 全身麻酔時の事故、熱中症のリスク、心疾患のリスク、上気道の易感染性などなど、丁寧なケアが必要です。 肥満が最大のリスクファクターであり増悪因子ですので、体重管理が最重要ポイント。
以上、ペンシルベニア大学の研究報告をもとに説明しました。疑問点などありましたらお問い合わせください。
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ニャンコの皮膚は三味線に使われる(冗談じゃない)ことでも分かるように、しなやかかつ強靭で、咬まれても、引っ掻かれても、傷口がパックリ口をあけるような状態に陥りにくいことが特徴です。
例えば、発情中の雌ネコを巡って、雄ニャンコどうしで取っ組み合いの喧嘩をしたとしましょう。 多くの場合、皮膚には小さな咬み傷、爪あとが点状に残るだけです。 毛に被われていることもあり、飼い主さんはけがの存在に気付かない場合もあります。
しかし、皮膚の下の組織には外観以上の損傷が残り、細菌が入って化膿してしまうことがあります。 この様に皮下に生じる化膿巣を「皮下膿瘍」と呼びます。 そこから、細菌が血液に侵入し敗血症を起こして危険な状態に陥ることもあり、膿瘍が破裂して膿が大量に流出することもある、侮れない病気です。
起き易いニャンコ、起き易い季節はあるの?:ネコどおしの喧嘩が元で生じる事が多いので、外に出る機会のある、去勢していない雄ネコに集中的に発生します。 また、年間を通じて発生しますが、細菌が繁殖しやすい夏場とネコの発情が集中する春先(喧嘩が起き易い)に多発する傾向があります。
どんな菌が原因になるの?:人間の皮下膿瘍の原因菌は黄色ブドウ球菌と言う好気性菌が原因になるケースが多いそうですが、ネコの場合、フソバクテリウムやパスツレラと言う嫌気性菌(酸素がない環境を好んで増殖する菌)が主な原因菌であることが特徴です。
症状は?: 初期症状:何となく元気がなく、触られるのを嫌がり、食欲がないくらいで、特徴的な症状を示しません。この段階で、病院を受診されることは稀です。 進行すると:40℃におよぶ発熱や、明らかに元気がない、食欲がないなどの全身症状に加え、局所皮膚が腫れることが症状です。 「腫れ」の状態は、小さな硬い結節の様なものから、ブヨブヨした感触の握りこぶし大のものまで、バリエーションがあります。 よく見ると、局所皮膚は暗赤色に変色し、針穴状の傷跡とそこから漿液が滲んでいることが多いです。
診断はどうするの?: 上記症状のニャンコが来院したら、獣医はこの病気の存在を疑って、他のネコやイヌと喧嘩したことがないかを訊ね、全身の皮膚をくまなくチェックします。 皮下に腫れが見つかったときには、脂肪腫その他の皮下組織が腫れる病気との鑑別(良く見て、良く触る。場合によっては穿刺してみる)を行います。 また、血液検査(白血球数など)を行い診断の参考にします。
治療はどうするの?: @局所の処置: バリカンで局所付近の毛を大きめに刈り取る⇒メスで切開し排膿する⇒抗生物質を混入した生理食塩液で数回洗浄する⇒皮膚縫合⇒約1週後に抜糸 以上の処置に際し、暴れるニャンコの場合は沈静(軽麻酔)を施します。また、嫌気性菌が関与するCaseが多いので、注射器による穿刺排膿ではなく、切開排膿を選択します。 A処置後のご自宅での管理と服薬: エリザベスカラーを抜糸まで着けておくことをお勧めします。 抗生物質を抜糸まで服用します。
その他: どちらかと言うと単純な病気で、適切に治療された場合には予後・経過も特に問題ありません。 しかし、皮下膿瘍を繰り返し生じるネコ(あるいは治りにくいネコ)では、ネコ白血病ウイルスやネコエイズウイルスに感染している場合が多いので、血液検査を行う必要があります。 また、雄ネコに関しては室内飼いに徹すること、去勢することで、発症頻度が激減しますので、考慮する価値があります。
以上、可能な限り平易に、かつ詳しくご説明致しました。ご不明の点は何なりとご質問ください。 背部に生じた皮下膿瘍(切開排膿後) 出した膿 ↓ ↓
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| ◆新しい家族(ワンコ)を迎え入れる飼い主の皆様 コロニー由来感染症にご用心!! |
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コロニー由来感染症? そんな病名聞いたことないですよね。 それも当然。Colony−acquired infectionと言う医学用語を、私が勝手に、訳したものなんですから。
Colony(コロニー)のもともとの意味は、「群落」とか「集落」から来ていて、「アメリカインデアンの居留地」や「難民キャンプ」など、人が集合して生活する場所で、かつ開放的でない社会をcolonyと称することがあるようです。
その様な、人が閉鎖的に集合して生活する場所では、当然ながら各種感染症が発生しがちです。 例えば、前後不覚に酔っ払ったオトーサンが、皮膚疥癬症が蔓延している留置所(トラ箱)に留められて、その病気に感染した時などが典型的なColony−acquired infection(コロニーでもらった病気)に該当します。
いわゆる、院内感染(Hospital−acquired infection)も、Colony−acquired infectionの一種です。
ワンコの場合について言えば、盲導犬などの訓練所、ペットホテルさん、ペットの美容室さん、動物病院、ブリーダーさん、ペットの市、ペットショップさん等など全てColonyであり、コロニー由来感染症の発生源になり得る場所です。
その中でも特に、「免疫力」、「病気に対する広義の抵抗力」が不充分な子犬が、多数集まるペットショップさんは、コロニー由来感染症の温床化しています。
当院で、この3年程で経験したコロニー由来感染症の実例を挙げると、 ・ ジステンパー、伝染性肝炎、パルボウイルス感染症などのウイルス感染症 ・ ケンネルカフ(犬舎風邪)と呼ばれる細菌とウイルスの混合感染の上気道炎 ・ コクシジウム、鞭毛虫(ギアルディア)などの原虫性疾患 ・ 糞線虫などの消化管寄生虫 ・ 毛包虫(アカラス)、皮膚穿孔疥癬、耳疥癬などの寄生ダニの感染 が、あります。 ジステンパーなどのウイルス感染症は重篤度において重要ですし、糞線虫はヒトにも感染する問題があり、ケンネルカフはとにかく感染力が強くて厄介。 原虫性疾患や寄生ダニなどは不快・不潔この上ないだけでなく、子犬の健全な成育に悪影響を及ぼします。
ペットショップさん側のこの問題に対する取り組みには経営者の個性・良識が大きく作用しています。 危機感を持って排泄物の処理、敷物の消毒、ケージの清掃・消毒、室内換気、定期的な検査を地道にきちんと行っているところと、経営効率(もうけ)を優先しすぎて、管理がルーズなところの落差が目立つように思われます。
また、ペットショップさんは子犬を自前で繁殖しているわけではなく、ブリーダーさんから購入し、販売するので、「仕入先」のブリーダーさんの健康管理状況に依存します。 ペット市を介する場合、ブリーダー→仲買人→せり市→ペットショップの経路を辿るので、感染機会が急増することになります。
ケンネルカフのように感染力が強く、一度ショップ内に病原体を根付かせると、根絶するのに多大な費用と労力(例えば、一時休業して全てのケージ、室内を一斉に消毒する)を要する場合もあり、ことは簡単ではないのでしょう。
しかし、扱う対象が生き物なのですから、動物の健康を全てに優先して考える責任があると思うのです。
新しい家族(ワンコ)を迎える飼い主の皆様にとっての関心事は、 ・ 良い血統 ・ 姿かたち ・ 性格と頭が良いこと 等があると思いますが、「健康であること」が最優先事項ですよね。
肝心の予防方法ですが、新しい家族を迎えるにあたっては、 ・ もし、既にワンコがいるご家庭の場合、そのワンコへのワクチン接種を済ませておくこと ・ 新しいワンコの購入先の選定(良いブリーダーさんも良いペットショップさんもたくさんいらっしゃいます) ・ 新しいワンコの健康診断を早期に行う ・ 新しいワンコのワクチン接種(正しい実施時期で) 全て重要です。
当院としては、万が一にも「院内感染」など生じさせることのないように、普段から、患者さんごとの手洗い・診察台消毒、全館(特に床)定期消毒、入院室については塩素消毒など一層励行・徹底する決意です。
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「飼い主の皆様へ ご用心!!」と書くのは全くもって厚かましい話です。 なぜなら、「遺残糸膿瘍」は手術のときの縫合糸が原因となって起きる、一種の医原病で、飼い主の皆様には注意することも、予防もすることが出来ないものだからです。
しかし、人間でも、動物でも手術後、ある頻度で必ず生じるものであり、皆様にとりましても、この病気について知識を持つことは有用だと思いましたので、この文書を作成しました。ご参照ください。
遺残糸膿瘍ってなに?: 例えば、標準的な不妊手術では、体の外側から、お腹の皮膚、皮下組織、筋肉(腹膜+腹筋)と順に切開していきます(開腹)。 ついで、卵巣・子宮を摘出し、それが終わると「縫合」と言う段階に入ります。 縫合は、体の内側から筋肉(腹膜+筋膜)、皮下組織、皮膚と順に縫合します。 皮膚を縫った糸は後に抜糸しますし、皮下組織は溶ける糸(吸収糸)を用いるので体内に残ることはありません。 しかし、腹筋を縫合した糸は抜糸することが出来ず、そのまま残ります。 これを遺残糸「いざんし」と言います。 遺残糸は、稀に、アレルギー源になり、アレルギー反応→炎症→かゆみ→掻き傷→感染と進み、傷跡から少量の膿(うみ)が出ることがあります。 この状態を「遺残糸膿瘍」とか「縫合糸膿瘍」といい、肉芽組織の増殖が顕著なものは「遺残糸性肉芽腫」と呼ぶこともあります。 手術後、1年以上経過してから起こることもあります。
遺残糸膿瘍が起こる原因は?: @縫合糸の問題:動物の手術の際,合成糸は最もよく使われる手術材料です。特に開腹手術時にはよく使われます。 人間では、筋膜を縫う場合でも小さな手術では溶ける糸を使うことが多くなっています。 しかし、動物の場合、術後の安静を保つのが難いため、しっかりと縫合し、傷口が開いたりしないようにするため、合成糸を使うのです。 しかし、合成糸の特徴(欠点)として、いつまでも体内に残りつづけ、異物反応(アレルギー)を起こす場合があること、感染源になることの2点があります。 合成糸は従来多用されていた、絹糸と比べ異物反応を起こし難い素材ですが、それでも稀にこの問題を起こします。
A生体側の要因:人間でも動物でも合成糸を用いる手術では、手術の大きさや手術の成功,不成功にかかわらず、ある一定の頻度で遺残糸膿瘍は起こってしまいます。アレルギー体質の強い動物や感染への抵抗性(免疫)の低下している動物で起こりやすいとされています。
誤解を恐れずに言えば、遺残糸膿瘍になる・ならないは、「アレルギー体質」、「運」の要素が大きいです。本院の場合、3〜4年に1件程度の割合で発生してしまいます。
どんな症状?:手術の跡がぽつんと赤く腫れ,膿が出ること,これが遺残糸膿瘍の症状です。術後何年たっても,思いだしたように「発赤→排膿」を繰り返すこともあります。
治療はどうするの?: 基本的には体に残された縫合糸を取らない限り治りません。 抗生物質の服用などで、一時的には症状が取れますが、多くの場合は再発してしまいます。 軽く麻酔して、傷跡部分にピンセットを入れて遺残糸を切り取ります。 状況によっては、皮膚を再切開した上で腹筋などの糸を取り、皮膚を縫い直すこともあります。 糸を取り、傷の消毒と、抗生物質の投与を行えば、普通は2、3日で治り、再発しなくなります。
以上、可能な限り平易に、詳しくご説明致しました。ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。
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| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
ワンコの足裏健康法と言っても、足裏のツボを刺激して健康増進を図る、アレではありません。 指の間の皮膚に生じる皮膚炎、つまり「指間皮膚炎」とか「趾間膿皮症」、「趾間炎」と呼ばれる足裏の病気の予防と治療についてです。
生命に危険を及ぼすような病気ではありませんが、発生頻度が高く、治り難く、かゆみが強く、ワンコにとってストレスが大きく、特にこの時期に病勢が強まる、悩ましいものです。ご参照ください。
この病気の全体像をご理解いただくために、典型的なCaseを例示します。 「指の間の皮膚が赤みを増し、毛が赤茶に変色する。足先が腫れてきて、ジクジクする。痒いのか、盛んに舐めたり噛んだりする。痛みもあり、歩行の時にビッコを引く。冬の間は比較的、落ち着いているが、梅雨時から夏にかけてぶり返す。」 と言ったところです。
原因はなに?: ・ アレルギー体質:食餌性、吸引性、接触性アレルギーが発症要因である場合が多い ・ 汗っかき体質:イヌは足の裏に汗腺があり、汚れ易く、細菌の温床になる ・ 汚れ、不潔:足裏だけに不潔になりやすい ・ 足裏の傷:裸足なので傷つきやすい ・ 細菌感染:表皮ブドウ球菌など、常在菌が病原性を発揮する場合が多い ・ カビ(真菌)感染:人間の水虫と同様の病原性がある ・ 皮膚寄生虫(疥癬、アカラスなど)の寄生:症状が重症化する原因 ・ 指舐め、歯噛み行為:唾液、物理的刺激が炎症を増悪 ・ その他:足裏の毛量が多いなど 以上の原因・要因が、積み重なり、絡み合って発症し、悪化します。 例えば、次のような経過です。
元々アレルギー・汗っかき体質のワンコが、お散歩の時に草むらでトゲを踏んでしまい、足裏に小さな傷を作った。 ↓ 足を洗わずそのままにしておいた。 ↓ 汗で湿り、しかも傷のある足裏で細菌が増殖をはじめる。 ↓ 化膿・炎症(膿皮症)を引き起こす。 ↓ 炎症刺激(かゆみなど)が生じ、足裏を舐めたり噛んだりを始める。 ↓ 舐めたり噛んだりすることにより、炎症が激しさを増す。 ↓ 益々、痒みが強くなり、舐めたり噛んだりを繰り返す。←悪循環
以上が、単純な趾間炎の発症パターンです。これに、カビ、疥癬、毛包虫などの感染・寄生が加わると、病像が更に複雑化、深刻化します。 特に皮膚の深部・リンパにまで炎症が波及するとフレグモーネ(蜂窩織炎)と呼ばれる状態に陥り、足先がミットのように腫れ上がり、痛みが強くなり歩くことも困難になります。
なり易いワンコは?: どんなワンコでもなりますが、アレルギーの素因を有するシーズー、ダックスフンド、ブルドッグ、レトリバー種などで発生頻度が多い傾向があります。
診断はどうするの?: 足先(足裏)の状態を肉眼的に良く観察することで、ほぼ100%診断可能です。 皮膚検体の細菌、真菌やアカラス・疥癬検査は原因を絞り込むのに有用です。
予防・治療はどうするの?: @ 清潔:足のシャンプーと消毒。毎日(お散歩の都度)、足裏、爪の根元、指の間を微温湯で薄めた薬用シャンプーでよく洗い、よくすすぎ、よく乾かします。 A 薬物療法:細菌感染が発症・増悪の最大の要因ですので、抗生物質の投与は不可欠です。アカラスや疥癬の関与が認められる症例には、殺虫効果を有する薬剤を使います。 症状に応じ副腎皮質ステロイドや抗アレルギー剤を用います。 塗り薬の場合、舐めてしまうことが多いので、内服剤を用いることになります。 B エリザベスカラー装着:塗り薬を用いた後は、エリザベスカラーを装着し、舐めることを防ぎます。また、普段から舐める行為、噛む行為が激しいワンコには終日装着する場合もあります。
予後(症状の経過見通し):完治し難い、再発・再燃を繰り返しやすい病気です。それだけに、地道にケアをした場合と、そうでない場合とでは、経過に大きな差が生じます。 あせらず、あわてず、ある意味で気楽に、でも気を緩めずに病因を取り除くことが、この病気の場合、肝要です。
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愛犬の毎日のウンチ。 調子が好いと、もうそれだけで、嬉しくなりますよね。 でも、生まれつき胃腸が弱く、いつも下痢気味・軟便に悩まされるワンコもいます。 下痢・軟便の原因は寄生虫やウイルス、細菌感染、食事性、神経因性・運動性、腫瘍など実に様々。
今回、ご紹介するがんこな下痢・軟便を主症状とする病気は「膵外分泌機能低下に伴う消化不良症」と呼ばれるものです。 どちらかと言うと、稀な病気ですが、見落とされ、適切でない治療が繰り返される子もいる病気です。
原因は?:本当の意味での原因は解明されていません。遺伝や幼年期のウイルス感染、慢性膵炎が関係しているとする学説もあります。
どんな病気?:膵臓の働きにはインスリンなどの内分泌機能と、消化酵素を消化管内に放出する外分泌機能があります。 「膵外分泌機能低下に伴う消化不良症」は消化酵素が殆ど出なくなって栄養の消化・吸収能力が通常よりも低下してしまう状態・病気です。 完全には治り難い(一旦症状が落ち着いた様に見えることがあっても治ったわけではありません)ので、じっくりと腰を据えて病気に付き合うことが大切です。
なりやすいワンコは?:犬種や性別、年齢層に関係なく発生します。一部、大型犬やシェパード、シュナウザーに多いという統計もあります。 なお、猫にはほとんど見られません。
どんな症状?:膵臓の障害の程度により症状は異なりますが、共通した症状として、頑固な下痢・軟便の繰り返しが見られます。 多くは、下痢していても食欲は普通にあり、元気・活動性もさほど阻害されません。 食べているのに段々やせるという現象も見られます。 便の状態は、水様便から軟便で様々(日によって変動)で、臭いが強いこともあります。
おならが多いのも特徴です。 絶食や低脂肪食で下痢の程度が軽減されることも特徴です。
診断はどうするの?: まず、この病気と同様に下痢を主症状とするウイルス性、細菌性、寄生虫性の腸炎や、中毒、あるいは肝臓病などの他の病気を否定(除外診断)します。 ついで、便を顕微鏡で調べ、脂肪やでんぷん、筋肉繊維などの消化状況をチェックします。これで大体見当がつきます。 決め手は、血液検査で、膵臓にのみ存在する蛋白分解酵素(トリプシン)の血液中濃度を測定し、明らかな低下が見られた場合この病気と診断します。 正確を期すため、1ヶ月程度間隔を空けて再検査を行い、同じ結果が出た時点で、この病気と確定されます。
治療法は?: @食餌療法:食餌療法がこの病気の治療の基本です。 フードメーカーが脂肪や刺激性の成分を減らした処方食を色々販売していますので、嗜好性も含め、合った物を探していくことが重要です。 1回の量を少なくして、回数を増やす(1日3-4回に分割)様にします。
A薬物療法:消化酵素の分泌不足が原因ですので、補う目的で消化酵素剤を毎日・毎食後に服用させます。 また、乳酸菌・麦芽製剤がよく効く子もいますので、いろいろ試して行きます。 下痢が激しい時には、脱水症状を防ぐために補液(点滴)や、腸の運動を調整する薬を使うこともあります。 また、腸内細菌のアンバランスが吸収不良と下痢を悪化させる要因になるので、抗生物質を併用することもあります。
B食餌療法以外の家庭でのケア:特別なものはありません。何時でもきれいな水が飲めるようにしておくこと、温かい(涼しい)場所におき、風邪をひかさない様に気をつけること、お尻の周りの毛を切って汚れ難くするなどの一般的なケアは経過を大きく左右します。 栄養不足に対応するため総合ビタミン、ミネラルをサプリメントとして補給します。
C飼い主の方へのお願い:ウンチの状態を気にしてイライラすることが、犬に伝わり、神経質になり、症状を増悪させてしまうことも考えられます。 気持ちをゆったり構えていただきたいと思います。
予後(症状の経過)は?:外分泌機能が低下した膵臓は通常元に戻らないとされています。 完治は期待できず、便の状態は良くなったり悪くなったりを長期に繰り返すことの覚悟が必要です。 でも、この病気は決して致命的ではありませんので、愛犬と気長(気楽)に付き合うことをお願いいたします。
ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。
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| ◆ご飯で予防 オスニャンコの尿路結石(FUS)にご用心!! |
| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
私たち、臨床獣医師にとってオスネコの尿路結石症(FUS)は、原因は単純ながら中々に手強い相手です。 でも、飼い主の皆様の一寸したご注意(食事の選択)で、ほぼ完全に予防することができる病気なので、啓発の意味を込めてこの文書を作成しました。
どんな病気か?:尿路、特に尿道に結石が出来て尿を排泄できなくなり、膀胱が尿でパンパンに満たされ、さらに腎臓に尿が逆流し、尿毒症から死に至ることもある恐ろしい病気です。
どうして尿道結石ができるのか?:5つの原因が説明されています。 @ ネコ特有の体質:ネコは元々、中近東の砂漠など乾燥地で生活してきた動物であり、飲水量が少なくても済むように適応・調節されています。即ち、尿の濃度が濃いと言う特徴があり、これはとりもなおさず、尿に結晶が析出し易い、結石が出来易い体質ということです。 A 細く長く、しかも鋭くカーブした尿道:雄ネコの場合、尿道が大変細く、砂粒以下の小さな石でも尿道を塞いでしまいます。また、体格の割に尿道が長く、鋭くカーブした場所があり、その部分は特に詰まり易いという特徴があります。 B 食餌:尿路結石の元になるミネラルの多すぎる食餌(特にドライフード)を与え続けること。この病気は、昔、ご飯に味噌汁をかけたいわゆる「ネコマンマ」を与えていたころには稀な病気でしたが、ドライフードの出現によって急激に増加しました。 C 膀胱炎など尿路感染症の存在:膀胱など尿の通り道に感染が起きると、炎症性滲出液が尿中に出てきます。これには、白血球など固形成分に加え、蛋白質が含まれていて、糊の様に尿道に附着し狭い尿道を益々狭くします。また、小さな石どうしをくっつけ合い、より大きな石にさせてしまう作用があります。 D 尿のPHが高い(アルカリ性):フードの種類によって、尿がアルカリ性になりやすいものがあります。また、膀胱炎など細菌感染を起こすと、細菌の酵素により、尿素がアンモニアに分解され、アンモニアのためにアルカリ性に偏ります。アルカリ尿になると、溶解性が悪くなる性質のリン酸アンモニウム(ストロバイト)の石が出来てしまいます。
C、Dでお分かりのように、膀胱炎など細菌感染はこの病気の大敵です。 発症の誘因にもなり、病状を増悪させる原因にもなります。 一種の「悪循環」が出来上がってしまいます。
どんな症状?:次の症状に注意してください。 ・ 頻繁にトイレに入る ・ いきむのに尿が出ていない ・ 排尿時に鳴き声(うめき声)を出す ・ 尿に血や膿みが混ざる ・ 食欲が低下する ・ 熱が出て、だるそうな様子 以上が、この病気に特有の症状です。病気が進み、腎障害・尿毒症になると、 ・ 嘔吐 ・ 水の飲み方が変わり(増えたり減ったり)、それに応じて尿量が極端に増減する ・ 痩せて、目が落ち窪み、毛つやが衰え、みすぼらしい感じになる ・ 口臭が酷くなる、口内炎が出来る ・ けいれん発作、意識がぼんやりする などの症状が出てきます。
診断:上記の症状と、尿検査(結晶の顕微鏡検査)、膀胱の触診でほぼ100%診断可能です。病気の進行状態を把握するため、血液検査(腎機能検査)と尿検査をおこないます。
治療: @ 緊急処置:尿が出ない状態は腎臓に大きなダメージを与えます。何はともあれ、尿が排泄できる経路を確保することが重要です。そのために、 ・カテーテル挿入:カテーテルをペニスの先から膀胱まで通し、強制的に膀胱を空にします。通常、全身麻酔下で行います。 ・カテーテル留置:閉塞が軽度の場合には、カテーテル挿入・排尿後すぐに抜去しますが、高度に(完全に)尿道が塞がり、排尿困難な場合には、平均1週間程度留置しておきます。尿道病変(炎症、びらん、肥厚など)が強い場合には長期留置(1ヶ月近く)が必要になる場合もあります。 A 原因療法:尿路結石を取り除くこと、出来難くすることです。 ・食事療法:食餌療法がこの病気の治療の基本です。マグネシウムなどの塩分を少ししか含まない、かつ尿のpHを酸性方向に傾ける、この病気用の処方食を続けることです。 ・薬物療法:尿量を増やし、尿のpHを中性化し石を溶かし出すための補液(点滴)と尿路感染に対する抗生物質、尿道の炎症を抑える薬剤の投与は必須です。
食事療法以外の家庭でのケア: ・トイレ:トイレをいつも清潔に保ち、排尿・排便を我慢させないことは予防(治療)上重要です。
・飲み水:何時でもきれいな水が飲めるようにしておくこと ・温かい(涼しい)場所におき、風邪をひかさない様に気をつける(膀胱炎の併発)ことなどの一般的なケアは経過を大きく左右します。
この病気の問題点と予後: @ 発症してから治療開始までの時間が経ってしまった場合: ・膀胱が膨らみきった状態になり、排尿筋や排尿神経が障害され締りが悪くなる。まるで古いゴムチューブのように、弾力性がなくなります。 ・水腎症(尿が膀胱から尿管を逆流して、腎臓にたまってしまうこと)を引き起こし、腎不全に陥ることがある。 ことがあげられます。腎不全に陥ると、予後が非常に悪くなります。 A 繰り返し罹患した場合: ・初めて起こった時と、2回3回と繰り返し起きた場合とでは治療のし易さ(難しさ)が全くと言っていいほど異なります。 繰り返し生じた尿路結石は膀胱や尿道の粘膜を荒らし・肥厚させ、カテーテルの挿入は困難になり(1時間以上格闘する時もあります)、留置する期間も長期を要します。
以上、FUSは食べ物由来のミネラル成分が尿中に析出することにより結晶を作り、石になって尿道を栓塞するという単純な病気です。 でも、ニャンコには苦痛が大きく腎機能障害と言う、後遺症を残しかねない危険な病気でもあります。 結石が出来にくくなる、あるいは溶かしてしまう食事(処方食)に切り替えるという飼い主さんの一寸したご注意でほぼ完全に予防できます。 ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。
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涙の分泌は、 常におこなわれている基礎的分泌に加え、異物が入った時などの機械的刺激が誘因となる刺激性分泌、 悲しみや怒りといった感情の変化にともなっておこる感情性分泌があります。
ワンコ、ニャンコには、当然、喜怒哀楽など「感情」・「情動」が備わっていて、ワンコは嬉しいときは笑顔満開になり、ニャンコは喉を鳴らしたりもします。 ご主人のお出かけなど、悲しいときには悲しそうな表情を見せ、クーンクーンと追い鳴きをします。 そんな時、涙がこぼれるには至らないまでも、ワンコの瞳がウルウル潤んでいるのにお気づきの飼い主さんは多いのではないでしょうか?ワンコにも涙の感情性分泌がありそうに思われますよね? 動物での感情性涙液分泌について調べた試験が無いか、文献検索を試みましたが、見つかりませんでした。
それはともかく、涙は眼を健康に保つために必要不可欠なものです。なぜなら、 ・ 眼の乾燥を防ぐ ・ 酸素や栄養分を角膜に供給する ・ 眼に入ったゴミや雑菌を洗い流す ・ まぶた(瞬膜も含む)を開けたり閉じたりする時の、角膜との摩擦を防ぐ潤滑油の役割 などの役割があるからです。 涙の分泌が阻害される病気(シェーグレン症候群など)になると、ひどい角膜炎などに悩まされ続けることになります。
そんな、大事な涙ですが、美容の大敵、「涙やけ」の原因にもなります。 涙やけは、涙の成分のために、眼の周りの毛が赤茶色に変色してしまうことを言います。
白色・長毛のワンコほど目立ちますので、マルチーズなどの飼い主さんには悩みの種になりがちですし、プードルやチワワでもしばしば経験します。 ニャンコの場合、ペルシャ猫のような短頭種での発生が多いとされます。 見た目の問題が最重要ですが、べた付いて嫌な臭いもしますし、衛生的でありませんよね。
涙やけが起こるメカニズムは涙の成分に含まれる、リゾチームなどの酵素が毛の色素を赤茶色に変色させることによると言われていますが、きちんと解明されたわけではありません。
酵素は、正常涙液中にも存在しますが、涙に炎症産物(膿)が混ざると、酵素のパワーが増強し涙やけが加速されることになります。 涙焼けの原因と誘因は以下のように整理されます。 ・涙の流出量が多過ぎる ・分泌される涙の量が多い:角膜炎・結膜炎などの存在 ・分泌された涙が鼻に抜けにくい:鼻涙管狭窄の存在 ・膿の様な粘調度の高い涙 ・角膜炎、結膜炎などの存在 ・毛管現象で涙を毛が吸い上げる ・眼の周囲の毛が長すぎ、眼に入る
お分かりいただいたと思いますが、主な原因は結膜・角膜などの炎症性疾患です。炎症刺激が涙液量を増やし、更に涙液の中に膿(死滅した細菌や白血球)が混ざることです。 涙が鼻に抜けにくいのは「鼻涙管」と言う涙の排泄路が狭窄するからで、短頭種で見られる先天的に細い場合と、鼻涙管に結膜炎など炎症が波及し、粘膜の肥厚→狭窄をきたす場合があり、やはり結膜炎は涙焼けの悪化要因になります。
また、眼の周囲の毛が長すぎて、眼球・結膜面に入って(付着して)しまうと毛管現象により、涙を吸い上げて起こすことがあります。
対応(治療)方法: 1. 毛が眼球に付着しない様に短く切り揃える。あるいは、結い結ぶこと。 2. オキシドールが涙やけした毛を脱色・漂白する効果があることから、オキシドールで拭う処置(効果は?)。 3. 結膜炎・角膜炎に対する治療を徹底。 4. 鼻涙管狭窄が原因の場合、ゾンデを通す、洗浄液を高圧で注入するなどの処置による拡張術を行う。
以上のように、地味な病気とも言えないようなものですが、涙やけに悩む飼い主さん、ペットさんは多く、原因などの正確な情報と対応方法をお知らせすることは重要だと考えこの文書を作成した次第です。
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破歯細胞性吸収病巣? 変な名前ですね。 どこに出来る、どんな病巣なのでしょう?
答えは、ネコのお口、歯の根元が融けて穴が空く病変です。 しかも、米国の疫学調査では「4歳以上の飼い猫の約半数に見られる」との報告があるほど、普通に見られるものとされます。
私自身、この病気が以前より増えている印象は持っていましたが、「約半数に見られる」に違和感を覚え、当院のニャンコのカルテを見直してみました。
残念ながら、カルテには来院した全てのニャンコの口腔内を調べ、破歯細胞性吸収病巣の有無が記入してあるわけでなく、歯やお口に異常の訴えのあるニャンコの所見が記載されているだけです。 ですから「母数」を把握できませんし、「罹患率」も検討することはできませんでした。 正確な根拠はありませんが、10%から30%の間ではないかと考えています。 いずれにしても、結構多い病気であることが分かりますよね。
その反面、飼い主の皆様にあまり知られていないと思いますので、原因や治療法ほかご説明しようと思います。
どんな病気?:破歯細胞性吸収病巣は「歯が融けて吸収されてしまい、その部分が人間の虫歯の様に空洞化する状態」で、ネコ特有の病気です。 この病変は、歯と歯茎の境目に生じる場合が多く、激しく痛むので、この病気のネコは不機嫌で怒りやすく、食事を十分に摂れなくなり、やせてきます。
どうして歯が融けてしまうの?:骨には破骨細胞と言う細胞があり、骨折した時など、骨のかけらを融かして吸収し、骨折の整復が正しく行われる手助けをする役割を担っています。一種の掃除屋さん細胞、scavengers細胞です。 同様な細胞は歯の組織にもあり(必要に応じ歯槽骨の破骨細胞が変身する)、破歯細胞と呼ばれています。 本来の役割は、乳歯から永久歯に生え換わる際、乳歯の歯根を吸収し、乳歯が抜けやすくすることで、永久歯に生え換わった後は姿を消すはずなのです。 何かのきっかけで、この破歯細胞が暴走を始め、永久歯の組織まで融かしてしまうのだと説明されています。 「なぜ暴走を始めるのか」のメカニズムについてはサイトカインと言う炎症を誘発する物質が関与しているらしいことは分かってきましたが、充分解明されたわけではありません。
症状は?:虫歯と同じように激しい痛みがあり、食べるのに大きな苦痛をともなうようになります。 「空腹でたまらないから食べたい。でも、痛いので食べられない。」という葛藤が見られ、無理して食べる時に「ギャ」と悲鳴を上げたりします。そして、口臭が強くなり、よだれが多く、口の周りが汚れがちです。 充分に食餌が摂れなくなり、だんだんやせてきます。
他の動物(イヌなど)にもあるの?:ネコだけの病気です。なぜネコにだけ見られるのか、理由は不明です。
診断方法は?:歯と歯茎の境目に限局する特有の所見(空洞)でほぼ100%診断できます。この病変があると、プラーク(歯垢)が歯の表面を覆うことが多いので、プラークを取り除いて(スケアリングの際)この病変に気付くことが多いです。
予防方法は?:原因がはっきりしない今日、効果的な予防法はありません。しかし、炎症の存在がサイトカインを誘導し、破歯細胞の出現に関与することが推測されますので、定期的な歯石除去(スケアリング)や、歯石がつき難いフードを与えるなど歯肉炎を起こさせない日常のケアは大切です。
治療方法は?:一部の症例ではインターフェロンの投与が進行を抑える効果があることが分かってきて、当院でも使用しています。 また、人間の骨粗鬆症の治療に用いられるビスフォスフォネート剤が破歯細胞を消失させる可能性があり、今後の検討に期待が寄せられます。 さらに、フッ素剤を病巣に塗布することで、進行を一時的に遅らすことが確認できています。 人間の虫歯治療と同じように、融けて穴の開いた歯の部分(悪くなった部分)を削り、充填剤・アマルガムで塞ぐ方法が試験的に行われていますが、治療後、短時間で詰め物が取れてしまうケースが多く、現状では期待できません。 症状(痛み)が強く、食欲の低下が著しい場合、抜歯処置を行います。
まとめ:ニャンコにとって、食事を食べることは最大級の楽しみだと思います。 しかし、破歯細胞性吸収病巣を持つニャンコには、ものを食べることが大きな苦痛で、とても不幸な状況です。 獣医領域の歯科治療の現状では、クラウンを被せたり、アマルガムなどの充填剤で病巣を埋める治療は実用段階にありません。 元々、ネコの歯は、ネズミなど小動物を捕らえ、噛み殺し、丸呑みにする機能に特化しています(咀嚼はしません)。 伴侶動物となり、ペットフードを与えられるようになった現在のネコには、傷んだ歯を中途半端に残すより、抜歯してしまうほうがTotalとしてよい結果を残すことが多いことをご理解ください。
以上、可能な限り平易に、かつ詳しくご説明しました。 ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。
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| ◆ワンコ・ニャンコも歯が命 歯石溜まりにご用心!! |
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「芸能人は歯が命」このCMが盛んに流されていたのは、いつ頃でしたでしょうか? 私に言わせると「一般人も歯が命」ですし、「ワンコもニャンコも歯が命」です。
という訳で、ワンコ、ニャンコのお口の中(歯)を観察してみましょう。 犬歯は、鋭く尖って細長い形をしていますし、奥歯(臼歯)でさえ、刃物のような鋭く切れ込みのある形をしているのにお気付きになるでしょう。
元々肉食獣である彼らの歯や口は、獲物である小動物を捕らえ、かみ殺し、切り裂いて嚥下(丸呑み)すると言う機能に特化していて、草食動物のように食べ物を擂り潰し、唾液酵素で消化したり、反芻したりと言う機能はありません。
野性の世界では、歯がだめになった時は、生存競争に敗れるときであり、即ち死を意味します。ですから、彼らの歯はきわめて頑丈に出来ています。
さらに、肉食獣は虫歯と無縁です。それは彼らの口の中がアルカリ性で虫歯菌が繁殖しにくい環境だからです。人間の場合は、食後、歯垢から発生した酸によって、PH5.4(これは歯のエナメル質を溶かしてしまう酸度です)以下になり虫歯を作りやすい状況になります。
以上のように、本質的に丈夫な歯を持っているワンコ、ニャンコですが、ペット(伴侶動物)として、人間の好みに合わせて姿かたちを変えていくに従い、パグの様に平坦な口吻の品種(歯並びが悪い)やチワワやポメのように顎骨が小さく先細りの品種(歯槽骨が貧弱)が出来てきて、ひ弱な歯の持ち主が現れるようになりました。
また、ペットフード中心の食は、歯垢・歯石の蓄積を促し、歯周炎を持つ動物たちが急激に増加してきています。 ペットフードは栄養学的には完全食ですが、成分にスターチやカゼインが含まれるため、食べかすが歯など口腔組織に付着しやすく、また細菌の栄養源にもなるため、歯垢・歯石が出来やすい、溜まりやすい欠点があります。 これらの要素から、近年、お口のトラブルを抱えるペットさんたちが急増しています。
ここまで読んでいただいて、もう一度、ペットのお口を観察してください。 @ 茶色い歯垢・歯石が溜まっていませんか? A 歯茎が赤く腫れていませんか? B 歯茎から出血しませんか? C 口臭はしませんか? 以上に該当する症状があったら、要注意です。
さらに、 D 空腹なのに食べようとしない。 E 食べにくそうな様子。 F 口に入れても落としてしまう。 G 歯のぐらつき。 H 抜けてしまった歯の存在。 等が見られたら、病気が進行している可能性が高いです。
どんな病気か? いわゆる歯周病である可能性が高いです。 文字どおり、歯の周囲の病気ですが、歯肉に限局した炎症を示す歯肉炎と、さらに、歯根をおおっているセメント質、そのまわりの歯根膜、歯槽骨にまで炎症がおよんでしまったものを歯周炎と呼び区別しています。
発生頻度は? 前述のように、この病気になりやすい環境が増えていて、3歳以上のワンコの80%がこの病気を持っているとの報告もあります。
原因は? 歯垢、歯石をそのまま放置しておくことが原因です。
進行するとどうなるの? 歯が根元から抜け落ちてしまいます。また、細菌が血液に侵入し、心臓弁膜症や腎炎の誘引になります。
なりやすいイヌ、ネコは? どんなイヌ、ネコでもなりますが、歯並びの悪い短頭種のボストンテリア、シーズー、パグなどや、顎(歯槽骨)が小さく、歯と歯茎の間の溝が浅い小型犬(ポメ、ヨーキー、チワワなど)は特になりやすいです。
治療方法は? 麻酔下で、超音波スケーラーという器具により歯に付いた歯垢,歯石を取り除き、歯肉も中をきれいに洗浄して、抗生物質の軟膏を注入します。 炎症がひどくない場合、歯根膜が再生し、ポケットになっていた部分がだんだん塞がって歯肉が戻ってきます。 病状によっては、抗生物質を2週間以上続けることもありますし、抜歯を選択せざるを得ないこともあります。
予防方法は? @ 日頃から歯磨きをする。 A 歯垢のつきにくいフードを与える。 B かむものを与える。 C 人間のおやつを食べさせない。 などがあります。特に歯磨き習慣をつけることが大切です。最低でも3〜5日に1回は行いましょう。
不明点がありましたら、何なりとご質問ください。
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| ◆転ばぬ先の杖ワンコ・ニャンコの血液型測定とドナー登録のお願い |
| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
ペットさんの血液型が何型か、ご存知でしょうか? 私が質問すると、多くの飼い主さんから、犬や猫にも血液型があるのですか?と逆質問が帰ってきます。 ワンコ・ニャンコの血液型判定については、測定試薬の供給状態が不安定で、入手し難かったため、血液型の測定はあまり普及していませんでした。
極端な場合、交通事故など大量の失血に際して、そのワンコに輸血歴がなければ血液交叉適合試験さえ行わないまま緊急輸血を行っていました。 ワンコの場合、初回の輸血では重篤な反応を起こすケースは多くないので、イチカバチカでも輸血するメリットがデメリット(不適合輸血による重篤な事故)を上回ると判断されてきたからです。 最近になり、ワンコ・ニャンコの血液型を判定するキット試薬が安定して入手できるようになり、簡便に、かつ迅速に血液型測定ができるようになりました。
それらの状況を踏まえて、皆様に提案(お願い)が2つあります。
1つは、皆様の愛犬・愛猫の血液型を調べさせていただきたいと言うことです。 「いざという時」のために、血液型を把握してカルテと愛犬手帳に記載しておきたいのです。安全に輸血ができます。費用は4000円です。
2つは、ドナー犬、ドナー猫として登録をお願いしたいのです(体格・栄養の良い子のみ)。 イヌ、ネコの保存血は入手が難しく、品質も悪いので使い勝手が大変悪いので、輸血が必要なワンコ・ニャンコが出た場合、愛犬・愛猫の血液を提供いただきたいからです。 これは、純粋に助け合い・皆様のご好意によるものです。 もちろん我が家のコーギーのコーちゃんがドナー登録第1号です。
<参考> 犬の血液型は国際標準法としてDEA(イヌ赤血球膜抗原)により9種類分類されます。 今回、調べたいのはそのうちの血液の適合性を見るために重要なDEA1.1抗原の有無(DEA1.1+かDEA1.1−か)についてです。 ネコではABグループシステムが用いられており、A、B、ABの3種の血液型に区分され、新生仔同種溶血現象や輸血の際に重要となります。
ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。
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| ◆風が吹けば桶屋が・・小さな(レプト)螺旋(スピラ)にご用心!! |
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暖冬のせいでしょうか、ずいぶん早く吹きましたね。春一番が。
風と言えば、今冬ノロウイルスが流行った時には牡蠣が売れなくなる、また鳥インフルエンザが流行った時には卵や鶏肉が売れなくなるなどの「風評被害」と言う言葉が盛んに出てきましたが、以下は実際の話です。
某所に「プチごみ屋敷?」があって、そこのお庭には生ゴミがそのまま、ぶちまけるように捨てられているそうです。 生ゴミを目当てに、ノラニャンコが多数出入りしているとの情報もあります。 さらに、ネズミが繁殖していて、ノラニャンがネズミを咥えている目撃談が寄せられました。
私たち獣医にとって、「ネズミの繁殖情報」には無関心でいられません。 なぜなら、ネズミがレプトスピラ病という伝染病を媒介するからです。 レプトスピラ病はワンコが最も感染機会が多い病気で、下痢(血便)・嘔吐などの胃腸症状に加え肝臓障害(黄疸)、腎機能障害も伴う重篤な疾患です。
ワンコの他、ニャンコや牛、豚など動物のみならず、人間も感染することがある人獣共通伝染病であり、公衆衛生上重要です。 そのため、この病気と確定診断(血清中の抗体検査など)が下された場合には獣医師は保健所経由で厚生労働省に報告することが義務付けられています。
レプトスピラ(leptospira)とは、lepto=微小なspira=螺旋の意味を持つスピロヘータの仲間の細菌で、名前の通り螺旋(ドリル)のようにグリグリと皮膚に入り込んで感染を成立させる小さな病原体です。このメカニズムで経皮感染もしますし、経口感染もします。
レプトスピラは、ネズミと相性が良いのでネズミの体内で爆発的に増殖し、尿に極めて大量に(1滴の尿中に10万個以上)排泄されます。 ワンコがお散歩のときなどに、ネズミの尿が付いた草むらをクンクン嗅いだり、ペロペロ舐めたりする時に、感染が成立すると考えられています。 ネズミはこの病気を媒介するとともに病気に侵され、衰弱してニャンコに捕食されやすくなり、ニャンコにも感染が起きるわけです。
レプトスピラ病は主に雨の季節に流行しますが、病原体に汚染されたネズミの尿が雨水によって小川流域に拡散することと関係が深いようです。
かって、多くのワンコが外犬・番犬として飼われていた、このあたりでは、毎年数件から10件程度、岩川や恩田川沿いにポツポツと発生が見られたものです。
また、数年前には、保土ヶ谷で中規模な流行が報告されましたが、ここ1-2年はめっきり見なくなっていました。
病状は前記の通り大変重いのですが、抗生物質が良く効くので手遅れにならないうちでしたら、比較的速やかに(劇的に)回復させられる特徴があります。
この病気を治療すると、「お陰さまであんなにひどい状態だったのが、メキメキ良くなりました」などと「名医」扱いを受ける場合が多いのです。
この1カ月ほどの間に、「プチごみ屋敷」の近辺で、それらしい症状のワンコ・ニャンコの来院があり、いずれも治療に良く反応してくれました。
これらがレプトスピラ病であった「確定診断」は得られていませんが、注意深く見守る必要があると考えています。
なお、皆様に接種することをお勧めしている「8種ワクチン」にはレプトスピラを予防する成分が含まれていますので、ご安心いただけます。
以上、「風が吹けば桶屋が儲かる」ならぬ、「ごみ屋敷出来れば獣医が儲かる」の一席でした。 ではお後がよろしいようで。
「風が吹けば桶屋が儲かる」は言うまでもありませんが・・・ 強風で土埃が目に入ると、目を悪くする人が増える。 目を悪くすると角付けでもしようということになるから、 三味線が売れる。 三味線の胴は猫皮だから、猫が減って、鼠が増える。 鼠が桶をかじって穴を開けると、 桶屋に注文がくる。 そして結局、桶屋が儲かる。 ずいぶんと無理なこじつけですね。いずれにしても、ネズミがKey Word。 レプトスピラ病原体↓
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| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
唐突ですが、お酒は良いですよね。 第一に食事が美味しくなりますし、風呂上りのビール、就寝前のワンショットも穏やかな睡眠に必需品です。
家族で飲むも良し。友人とにぎやかに飲むも良し。時には一人でボーッとしながら飲むもまた良し。人生の味わいを深めてくれます。
エエッ??愛犬や愛猫と酌み交わす酒も捨てがたいですって?これは、聞き捨てできません。 ワンコはアルコールの毒性に弱い体質の動物で、ワンコにお酒を飲ませるのは動物虐待に相当する行為です。
非常に古い実験結果ですが、大まかに言ってアルコールによるワンコの致死量は人間の1/5と記されています。 言い換えると、ワンコは人間の5倍、お酒に弱いと言うことです。
その文献のデータから換算しますと、体重5kgのプードルに日本酒とっくり半分(100ml)を投与すると死んでしまうワンコがでることになります。くわばらくわばら。
現れる毒性所見は人間もワンコも質的に同じで、 急性毒性所見(イッキ飲み)は 中枢神経:運動失調、痙攣、意識障害、反射消失 呼吸器系:呼吸抑制、呼吸不全 循環器系:脱水症状、まれに血圧低下、ショック 消化器系:嘔気、嘔吐 代謝系:代謝性アシドーシス その他:低体温、高アミラーゼ血症、低カリウム血症 などであり、
慢性毒性所見(慢性中毒)は、 肝臓:アルコール性肝炎→脂肪肝→肝硬変 すい臓:膵炎 などが現れます。
治療方法: ・急性中毒:補液により脱水とアシドーシスを補正し、循環血液量を確保します。酸素吸入や昇圧剤、ステロイド剤を投与し ショックに対応し、回復を待ちます。 ・慢性中毒:強肝剤、利胆薬の投与 を行います。
予防方法: ワンコを晩酌のお供にするのはやめましょう。 ウイスキーボンボンはチョコレートの毒性(本体はテオブロミン、これにもワンコは弱い)にアルコールの毒性が加わります。ご用心。 ご不明な点がありましたら何なりとご質問ください。
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ニャンコが野生動物だった頃、北半球での繁殖期(発情期)は1月から3月の丁度この時期に限られていたそうです。
ニャンコの妊娠期間(2ヵ月)、授乳・子育て期間(3−4ヶ月)の関係から、餌となる小動物が豊富な春から初夏に親離れさせるにはこの時期に交尾を行う必然性が強かったのでしょう。
家畜化され食べ物を得る苦労がなくなり、さらに、室内飼いにより寒さの心配が少なくなるにつれ、繁殖期は不明確になりました(多くは年3-4回の発情周期)。
でも、野生の名残か、やはり今頃の時期は、配偶者を求めて、夜更けに公園などに集まって、お相手を求める声が盛んに聞こえます。
雄の猫さんどうしの競争も熾烈で、時には腕力に訴えてお相手を奪い合う場面も眼にしますよね。 野性の本能をそっと見守ってあげたいとも思いますが、色々なリスクもありますので、ご注意いただきたくこの文書を作成致しました。
リスク1:皮下膿瘍。恋敵との激闘により、掻き傷、噛み傷を受けると、皮膚の下に細菌が入り(猫の皮膚はとてもしなやかで丈夫なので外見からは分からないことが多いです)、概ね7〜10日後に皮膚がパンクして黄緑色のとても臭い膿が大量に出てきます。侮れない病気で、時には血液の中にまで菌が入り込み、敗血症ショックに陥り、命を落とす危険もあります。
リスク2:エイズや白血病ウイルス、伝染性鼻気管炎ウイルスなどをもらう。 猫エイズやある種の白血病はウイルスの感染症です。これらのウイルスはお母さんのお腹から出る時の産道感染や母乳を飲むこと、子供を舐めてあげる時の唾液による母子間感染以外では、交尾時の体液による感染とケンカにともなう創傷感染が多く、後々、大変なことになりがちです。去勢をしていないオスニャンコの抗体陽性率は去勢済みのニャンコの4倍多いとの統計があります。
リスク3:猫ひっかき病(ヒトがかかる病気の原因になります)。バルトネラ・ヘンセレと言う猫ひっかき病の病原菌を日本の猫は約7%の頻度で保有しています。バルトネラ菌はもともと猫につく猫ノミがもっていますが、猫ノミから猫にバルトネラ菌が感染し、その猫に引っ掻かれたり、咬まれたりすることにより猫どおし、あるいは猫から人に感染します。この菌は猫に対しては病原性がありませんので、この菌を持っていても、猫には症状は出ません。しかし、保菌者として菌を持ち歩き、飼い主を噛んだり、引っ掻いたり、あるいは傷のある部分をなめたりした時に、この菌をうつす事があるのです。人間に感染したときの症状は主にリンパ節炎で、猫に引っ掻かれた後10日頃から傷が赤くはれ、手の傷なら腋窩(脇の下)リンパ節が、足の傷なら鼠径(足の付け根)リンパ節が腫れ上がり、時には鶏の卵くらいになります。ほとんどの人で微熱が長く続き、全身倦怠、関節痛、吐き気等があります。幸い抗生物質が良く効きますので、猫に噛まれた後などにこのような症状を認めたら、早めに病院に行くことをお勧めします。
リスク4:交通事故に遭遇。ニャンコがこの時期に交通事故に遭う頻度は非常に多く、1年間の全件数の4割に達するほどです。原因は、激情に駆られ、前後の見境を失って道路に飛び出すからです。
リスク5:マーキング(臭いつけ行動)。発情期の雌が近くにいると、雄ネコ君のマーキング行動が強まります。普段は上手にトイレを使える子も、部屋のあちこち尿を振り蒔くことがあります。
リスク6:流産・子宮内膜炎。猫さんの恋が成就し、目出たく懐妊した後、流産をしたり、子宮内で胎児が死んでしまったりすると子宮内膜炎を起こすこともあります。
リスク7:捨て猫の増加。結果的に望まれない子猫が誕生し、捨て猫・野良猫(何と言う嫌な言葉でしょうか?)が出来てしまいます。 ノラさんは、予防注射を受けることもありませんので、他の猫さん達に色々な病気をうつす原因にもなります。
対応1:室内飼いに徹すること。 子供の時から室内飼いに慣らしておいて、発情シーズンはケージ内で生活してもらう。
対応2:不妊手術を行う。 ここに結論を落とすと、何だか獣医さんの営業戦略みたいになって本意ではありませんが、子供を産ませたい、子孫を残したいとの明確なご希望がある場合を除いては、やはり雄雌を問わず不妊手術を済ませるほうが、猫さんの健康維持、その他のリスクを総合して良い結果を生むと考えています。
ご不明な点がありましたら何なりとご質問ください。
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| ◆愛猫家の皆様に ブラックチン(なんのこっちゃ)にご用心!! |
| ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。 |
ブラックチン??? あまり耳にしない言葉ですよね。英語のスペルはBlack Chin つまり、黒い下顎のことです。 そう言われても、まだ何のことか分からない? ごもっともです。もったいぶらずに、本題に入りましょう。
どんな病気か?:「病気」というよりは「状態」あるいは「症状」の表現が適当かもしれません。 典型的なケースを例示しますと・・・ そろそろ中年に差しかかる、5歳くらいのやや肥満型のニャンコの下顎部皮膚が(被毛)が点状に黒く汚れ、ティッシュで拭ってもきれいにならない。 無理やり、拭くと出血(血が滲む)し、後でその部分が熱を持ったように赤みを増し、腫れてしまう。 と、まあこんな具合です。
人間の首筋などに出来る「黒ニキビ」と質的に類似した変化で、下顎の毛包(毛穴の皮脂腺)に皮脂が詰まり、開口部の脂肪が酸化し、黒ずんで小黒点として見えることから俗に「ブラックチン」と呼ばれます。皮膚科学的には開放面皰(めんぽう)あるいはざ瘡(ざそう)と言う診断名がより適切だと考えられます。
放っておくとどうなるの?:見た目(美容上)の問題が大きいです。かわいいニャンコ君のお顔に黒いブツブツがあるのは、飼い主さんには苦痛でしょう。 また、眼に見えない皮膚の下では、毛穴が詰まってしまう→皮脂やケラチンが行き場を失う→毛穴が破裂して真皮内(皮膚内部)に皮脂などがあふれる→そこに細菌感染が生じて細菌性毛包炎を引き起こす→更に、一つ一つの毛包炎が融合して大きな病変を作ると言う経過をたどります。
なりやすいネコ・誘因は?:ネコの種類、性別と「なりやすさ」の間に関連性はありません。中年から初老のネコになりやすいと言う説がありますが、はっきりしません。ただ、アカラスというニキビダニの寄生やカビの感染、白血病ウイルスの感染、アトピー体質、皮脂の分泌過剰、免疫異常、ストレスなどが誘因になることが段々と明らかになってきました。 つまり、この病気は色々な要因が積み重なって発症(悪化)することが特徴と言えます。
治療・ケアの方法:治療の基本は、患部周辺を清潔に保つことです。刺激の少ない薬用シャンプーを温湯で薄めに溶かし、ガーゼなどに浸して清拭してください。場所が下顎ですので、出来れば毎食後にお願いします。
また、細菌感染が原因として重要なので、抗生物質の投与が治療の柱になります。 抗生物質入りのクリーム剤( | | | |