横浜市緑区の動物病院です。ペットの総合診療、皮膚科、眼科、トリミング、しつけ教室、ペットホテル等、ペットに関することなら何でもご相談ください。 

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所在地〒226-0018
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FAX045-984-5872
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午後 15:00~19:00

日・祭日:
午後 16:00~19:00

病気に関して(犬・猫)

人間にはありませんよね? ワンコ・ニャンコの耳血腫にご用心!!

「血腫」とは皮下などに血が溜まり腫れてしまう状態。
豆腐の角に頭をぶつけた際などに出来る、「タンコブ」が典型的な血腫です。ところで、ワンコやニャンコのお耳が、まるでギョーザのように腫れ上がっているのを見たことがありませんか?
耳の皮膚の内側に血液が貯留した、「耳血腫」である可能性が大です。
人間のタンコブであれば、冷やしておくくらいの処置で大抵治りますが、動物たちの耳血腫は中々厄介。
耳介は皮膚と軟骨により形成されていますが、イヌは軟骨と皮膚の接着がルーズなのでそこに血液が溜まりやすいのです。この「耳血腫」について、人間の医学書には記載がみられません。人間の耳には出来難いものなのでしょうか? ご存知の方がいらしたら教えてください。どうして耳介の血管が切れるの(原因は)?:自分で耳を色々なものにこすり付ける行為、後ろ足で掻きむしる行為、頭を強く振る行為により耳介の皮下を走行している血管が物理的に傷付くことが直接の原因です。誘因は?なりやすいのはどんな動物?:耳血腫はイヌでもネコでも起こりますが、耳の大きな(垂れた)イヌで最も良く見られます。
外耳炎は耳のむずがゆさ、違和感をもたらしますので、掻いたり、こすりつけたりの行為に直結し、耳血腫の重要な誘因です。
自己免疫が原因の一つであるとの学説もあります。
当院では、耳血腫の動物について免疫機能を調べた経験がありませんが、ステロイド剤が著効を示す例があることから、一部の症例では自己免疫の関与も否定できないと思います。

どんな症状?:
・ 耳が腫れて厚くなる。ギョーザ耳と表現する人もいます。
・ 触るとブヨブヨする。
・ 頭部を触られるのを嫌がる。
・ 耳を触ると熱い。
・ 局所が紫色に変色。
・ 悪いほうの耳を下に、首をかしげる。
・ しきりに首を振ったり耳を掻いたりする。  

などの症状が見られます。  

診断はどうするの?:耳の状態を注意深く観察することで診断します。
治療方法は?:
① 外科的に排液:耳の皮下に溜まってしまった血液を排出してあげることです。そのために、注射器を使って吸い取るか、メスで皮膚を切開し排泄するかいずれかの方法を用います。感染防止として抗生物質を注入した上で、血液の再貯留を防ぐために、ガーゼでタンポンを作り、耳に圧迫包帯を施します。
② 縫合:排液後、皮膚と耳介軟骨を縫い合わせ、液の溜まる隙間をなくすことで、血液の再貯留が少なくなります。
③ 掻くことを防止:エリザベスカラーを装着し、局所を掻けない様にします。
④ 外耳炎の治療:外耳炎はもっとも重要な誘因ですので、外耳炎の治療を徹底します。
⑤ 薬物療法:感染を防ぐため、抗生物質を使用します。  

ステロイド剤が著効を示す例があります。短時間で再貯留する例、繰り返し再貯留する例には使用を検討します。 

この病気の問題点:せっかく穿刺や切開をして、溜まった血液・漿液を取り除いても、再貯留が起きやすいことが問題点です。再貯留が起きる割合は40%程度。2回以上再貯留する割合は20%程度です(当院のデータ)。
治った後、「耳の変形」を残すCaseがあるのは、show dogなどでは美容の観点からの問題点です。 

予防について:この病気を確実に予防する方法はありません。
外耳炎が誘因になりますので、外耳炎を治療・予防することは、この病気の発生を防止することに繋がります。ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。

お散歩の時にスキップ歩きしませんか? 膝蓋骨脱臼にご用心!!

お散歩の時に、後ろ足の運びが「スキップをしている」様な、あるいは「ケンケン」をしている様になることがありませんか?
単なる「くせ」の場合も偶発的な動作の場合もありますが、膝の関節が瞬間的に外れる、「膝蓋骨脱臼」である可能性もありますのでご用心。  

どんな病気か?:
膝蓋骨脱臼とは、後足にある膝蓋骨(膝のさら)が正常な位置から逸脱した状態を言います。 外れ方で、内側にはずれる内方脱臼と外側にはずれる外方脱臼に区別します。
膝蓋骨が外れると、その瞬間に違和感(痛み)を感じて?びっこを引く(ケンケン動作、スキップ様の歩行)事が多いです。
一過性にはずれ、動いているうちに自然に元に戻る(整復)もの、はずれっぱなしになり、戻らないものなど、病状は様々です。  

脱臼が継続するとどうなるの?:
膝蓋骨や大腿骨(関節面)などに変形を来たし、痛みが強くなり、運動量が低下(散歩に行かないなど)してきます。
症状がひどい場合、後ろ足が棒のように曲がらなくなり、後方に伸びたまま着けなくなることもあります。 

どんな犬種で多いのか?:
すべての犬種に発生します。
内方脱臼はポメラニアン・トイプードル・チワワなどの小型犬種に多く、外方脱臼は運動が活発で膝関節に突発的な外力がかかり勝ちな大型の犬種にみられる傾向にあります。 

発生頻度は?:
内方脱臼は軽度のもの(無治療例)まで含めると非常に多く、椎間板症(ヘルニアなど)と双璧です。外方脱臼は当院の集計では、最近の5年間で3例であり、内方脱臼と比べはるかに低頻度です。 

原因は?:
先天性の要素が強いものと後天性のものに分けられます。
・ 先天性の要素が強いもの:膝関節を構成するとともに、膝関節を支える周囲の筋肉や骨、靱帯付着部などの組織が元々未発達・脆弱な状態がBaseにあり、加齢ととも靭帯が緩むなど、進行して膝蓋骨の脱臼にいたるものです。
特に関節面(溝)が生まれつき浅い場合、脱臼を起こしやすいのです。これは特定の犬種・家系(血統書で確認)で、多く見られることから、遺伝の要素が強いものと考えられています。内方への脱臼が主です。
・ 後天性のもの:フローリングで滑った、交通事故に遭った、落下した、など外力が原因で脱臼が発生するものです。 

診断はどうやるの?:
歩き方を注意深く観察すること、膝関節を曲げ伸ばししながら触診すること、レントゲン検査を行うことで、ほぼ100%診断が可能です。この病気の経過は?

症状は?:
膝蓋骨脱臼(特に内方脱臼)の症状は、その程度により無症状のものから正常な歩行が困難なものまで幅広いものです。 病気の進行状況(グレード)をもとにグレード1から4までの4段階に分類されています。
グレード1:普段は正常な位置にあるが、力をかけると膝蓋骨が外れる。この時点で発見するのは難しい。骨の変形はない。痛みはない。
グレード2:力をかけると膝蓋骨が外れる。ケンケン歩行・スキップ歩行する。骨は軽度の変形。痛みはない。
グレード3:常に膝蓋骨が外れた状態で、手で正しい位置に戻すこともできるが、またすぐ外れる。骨が湾曲する。
グレード4:常に膝蓋骨が外れた状態で、手で戻すことはできない。骨にかなりの湾曲がみられる。

治療はどうするの?:
関節整復:来院時に脱臼を認める場合、とにかくあるべき位置に用手整復を行います。
手術療法:グレード3以上(常に膝蓋骨が外れた状態)に進行した場合、手術を考慮します。その子の状態により、手術の方法(術式)は以下の中から選択されます。
・ 膝関節の窪みを削って擦り合わせを深くし、はずれにくくする方法
・ ボルトを埋めはずれ止めを作る方法 ・ 伸びて緩んだ靭帯(関節包)を縫い縮め、はずれ難くする方法
・ 上の方法を複数組み合わせる 薬物療法:根本的な解決ではなく対症療法ですが、消炎鎮痛剤の投与を行います。

家庭でのケアと予防(留意点):
・ 床をすべりにくいものにする
・ 安静:ソファーなどの昇り降りや、ピョンピョン飛び跳ねる行為、ダッシュ&ストップは止めさせてください
・ 運動:運動は膝関節を支える筋肉・靭帯の強化が出来ますので有用です。しかし、過度な運動負荷は関節のダメージに繋がりますので、ダッシュ動作は避け、お散歩を長めにする程度にしてください。
・ ダイエット:ケアのポイントです。膝にかかる負荷を減らす意味でダイエットは極めて有効です。体重を1割減らせば症状は確実に軽減します。

予後(症状の経過見通し):
基本的に命にかかわる病気ではありませんし、ご家庭でのケアで元気に過ごせる場合がほとんどです。 不幸にして病勢が進行し、手術が必要になった場合には詳細を別途ご説明致します。
ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。

鼻ペチャワンコの飼い主さん必読 短頭種気道症候群にご用心!!

この稿はブルやパグ、ペキやキャバリアなど、鼻ペチャワンコの飼い主さんは必読です。パグなど口吻が短いワンコ達は「短頭種」と呼ばれます。
短頭化に伴い頭頚部の諸器官の形状に歪が生じて、色々な不具合が出てくる場合もあります。例えば、眼が収まる眼窩は浅くなり、広くなり、要するに金魚の出目金の様に飛び出てしまい、角膜に傷を負いやすくなっています。
波及して角膜炎、緑内障、白内障などの発症率が高いのです。呼吸時の空気の通り道、「気道」にも歪みを生じやすく、その結果、気道抵抗の上昇・呼吸困難を呈する場合があり、この状態を短頭種気道症候群と呼びます。  

原因は?:物理的要因(頭部の変形に伴い、鼻孔、鼻甲介、軟口蓋後端部、舌骨装置などの上気道が狭く、歪みを生じ気道抵抗が増加すること)が第一義です。
増大した気道抵抗に対して、ワンコは横隔膜、肋間筋および胸壁を通常より過大に使用する、いわゆる「努力呼吸」が必要になります。
努力呼吸をしている状況では、気道粘膜の炎症・腫脹が慢性的に生じ易く、このことが狭窄を増悪すると言う、悪循環に陥りやすいのです。  

どの部分が特に狭くなるの?:咽頭の軟部組織部分(軟口蓋後端部や舌骨装置など)です。この部分は、骨や軟骨で支持されていないため、変形の影響が強くでます。  

どんな症状?:ゼイゼイ、ガーガー、ガッガッなど、ガチョウの鳴き声に例えられる呼吸音(咽頭閉塞音)が特徴的な症状です。
ゼイゼイ、ガッガッの呼吸が続くと、引き続いてゲーと嘔吐する時のような動作を示すことがあり、口を開けての呼吸、激しい「いびき」も殆どのワンコで見られ、運動後に舌の色が青紫(チアノーゼ)になること、物を食べている時に失神(嚥下時の一時的な上気道閉塞による)することもあります。
胸部圧が努力呼吸により変動するため、不整脈(呼吸性)を示すことも多い病気です。  

診断はどうするの?:上記の臨床症状により、およその診断をした上で、頭をレントゲンで横から撮影して、頭骨構造・角度を評価します。
全身麻酔が可能な場合、麻酔下で咽頭、喉頭を観察し、診断します。間違いやすい病気は?:呼吸困難を起こす病気全てが、区別するべき病気です。
僧帽弁閉鎖不全(心臓弁膜症)やフィラリア症などの心疾患、慢性気管支炎、それに気管虚脱などの病気は本症と似た症状を起こすので、類症鑑別が必要です。
治療法は?:重症例に対しては、根治療法として軟口蓋切除、鼻翼切開などの手術により気道抵抗を減らすことが選択されます。合併症を起こしやすい手術なので、大学病院など、設備とスタッフが十分な施設で実施することをお勧めします。
保存的治療としては、上気道炎を抑え、粘膜の腫れをコントロールするために抗生物質やステロイド剤を長期にわたり投与することも必要になります。
手術や薬物以外の家庭でのケアについて:この病気は長期(一生)に亘りますので、家庭でのケアが経過を大きく左右します。留意点を列記します。  

① 肥満対策:首回りに付いた脂肪は外側から気道を圧迫し、呼吸困難を増悪します。
② お散歩時の注意:お散歩は首輪ではなく胴輪。首を締めない、刺激しないものを。運動量は状態を見て、適切に。
③ 温度管理:高温下では呼吸量が増えるので、この病気の大敵です。涼しく、いつも水が飲める場所に置くように。
④ 食事の種類:嚥下時の上気道閉塞を示す場合、フードは小粒の飲み込みやすいタイプとし、水でふやかしてあげることが有効です。
⑤ アレルギー対策:じんましんなど急性アレルギー反応では咽頭浮腫を生じることがあり、元々上気道狭窄を有するワンコでは命取りになりかねません。虫刺され、食餌アレルギー、ハウスダストなどアレルギー反応を惹き起こす要因は可能な限り遠ざけることが必要です。  

予後(病気の経過予測)について:基本的に一生この病気と付き合うことになります。  

全身麻酔時の事故、熱中症のリスク、心疾患のリスク、上気道の易感染性などなど、丁寧なケアが必要です。
肥満が最大のリスクファクターであり増悪因子ですので、体重管理が最重要ポイント。
以上、ペンシルベニア大学の研究報告をもとに説明しました。疑問点などありましたらお問い合わせください。

愛猫家の皆様に 皮下膿瘍にご用心!!

ニャンコの皮膚は三味線に使われる(冗談じゃない)ことでも分かるように、しなやかかつ強靭で、咬まれても、引っ掻かれても、傷口がパックリ口をあけるような状態に陥りにくいことが特徴です。
例えば、発情中の雌ネコを巡って、雄ニャンコどうしで取っ組み合いの喧嘩をしたとしましょう。  

多くの場合、皮膚には小さな咬み傷、爪あとが点状に残るだけです。 毛に被われていることもあり、飼い主さんはけがの存在に気付かない場合もあります。しかし、皮膚の下の組織には外観以上の損傷が残り、細菌が入って化膿してしまうことがあります。
この様に皮下に生じる化膿巣を「皮下膿瘍」と呼びます。  

そこから、細菌が血液に侵入し敗血症を起こして危険な状態に陥ることもあり、膿瘍が破裂して膿が大量に流出することもある、侮れない病気です。
起き易いニャンコ、起き易い季節はあるの?:
ネコどおしの喧嘩が元で生じる事が多いので、外に出る機会のある、去勢していない雄ネコに集中的に発生します。
また、年間を通じて発生しますが、細菌が繁殖しやすい夏場とネコの発情が集中する春先(喧嘩が起き易い)に多発する傾向があります。  

どんな菌が原因になるの?:
人間の皮下膿瘍の原因菌は黄色ブドウ球菌と言う好気性菌が原因になるケースが多いそうですが、ネコの場合、フソバクテリウムやパスツレラと言う嫌気性菌(酸素がない環境を好んで増殖する菌)が主な原因菌であることが特徴です。
症状は?:
初期症状:何となく元気がなく、触られるのを嫌がり、食欲がないくらいで、特徴的な症状を示しません。この段階で、病院を受診されることは稀です。
進行すると:
40℃におよぶ発熱や、明らかに元気がない、食欲がないなどの全身症状に加え、局所皮膚が腫れることが症状です。 「腫れ」の状態は、小さな硬い結節の様なものから、ブヨブヨした感触の握りこぶし大のものまで、バリエーションがあります。
よく見ると、局所皮膚は暗赤色に変色し、針穴状の傷跡とそこから漿液が滲んでいることが多いです。
診断はどうするの?:
上記症状のニャンコが来院したら、獣医はこの病気の存在を疑って、他のネコやイヌと喧嘩したことがないかを訊ね、全身の皮膚をくまなくチェックします。
皮下に腫れが見つかったときには、脂肪腫その他の皮下組織が腫れる病気との鑑別(良く見て、良く触る。場合によっては穿刺してみる)を行います。 また、血液検査(白血球数など)を行い診断の参考にします。
治療はどうするの?:
①局所の処置:
バリカンで局所付近の毛を大きめに刈り取る⇒メスで切開し排膿する⇒抗生物質を混入した生理食塩液で数回洗浄する⇒皮膚縫合⇒約1週後に抜糸 以上の処置に際し、暴れるニャンコの場合は沈静(軽麻酔)を施します。
また、嫌気性菌が関与するCaseが多いので、注射器による穿刺排膿ではなく、切開排膿を選択します。
②処置後のご自宅での管理と服薬: エリザベスカラーを抜糸まで着けておくことをお勧めします。 抗生物質を抜糸まで服用します。
その他:
どちらかと言うと単純な病気で、適切に治療された場合には予後・経過も特に問題ありません。
しかし、皮下膿瘍を繰り返し生じるネコ(あるいは治りにくいネコ)では、ネコ白血病ウイルスやネコエイズウイルスに感染している場合が多いので、血液検査を行う必要があります。
また、雄ネコに関しては室内飼いに徹すること、去勢することで、発症頻度が激減しますので、考慮する価値があります。以上、可能な限り平易に、かつ詳しくご説明致しました。ご不明の点は何なりとご質問ください。

背部に生じた皮下膿瘍(切開排膿後)

背部に生じた皮下膿瘍(切開排膿後)

出した膿

出した膿

新しい家族(ワンコ)を迎え入れる飼い主の皆様 コロニー由来感染症にご用心!!

コロニー由来感染症? そんな病名聞いたことないですよね。
それも当然。Colony-acquired infectionと言う医学用語を、私が勝手に、訳したものなんですから。 Colony(コロニー)のもともとの意味は、「群落」とか「集落」から来ていて、「アメリカインデアンの居留地」や「難民キャンプ」など、人が集合して生活する場所で、かつ開放的でない社会をcolonyと称することがあるようです。その様な、人が閉鎖的に集合して生活する場所では、当然ながら各種感染症が発生しがちです。
例えば、前後不覚に酔っ払ったオトーサンが、皮膚疥癬症が蔓延している留置所(トラ箱)に留められて、その病気に感染した時などが典型的なColony-acquired infection(コロニーでもらった病気)に該当します。
いわゆる、院内感染(Hospital-acquired infection)も、Colony-acquired infectionの一種です。
ワンコの場合について言えば、盲導犬などの訓練所、ペットホテルさん、ペットの美容室さん、動物病院、ブリーダーさん、ペットの市、ペットショップさん等など全てColonyであり、コロニー由来感染症の発生源になり得る場所です。
その中でも特に、「免疫力」、「病気に対する広義の抵抗力」が不充分な子犬が、多数集まるペットショップさんは、コロニー由来感染症の温床化しています。 

当院で、この3年程で経験したコロニー由来感染症の実例を挙げると、
・ ジステンパー、伝染性肝炎、パルボウイルス感染症などのウイルス感染症
・ ケンネルカフ(犬舎風邪)と呼ばれる細菌とウイルスの混合感染の上気道炎
・ コクシジウム、鞭毛虫(ギアルディア)などの原虫性疾患
・ 糞線虫などの消化管寄生虫
・ 毛包虫(アカラス)、皮膚穿孔疥癬、耳疥癬などの寄生ダニの感染
が、あります。 

ジステンパーなどのウイルス感染症は重篤度において重要ですし、糞線虫はヒトにも感染する問題があり、ケンネルカフはとにかく感染力が強くて厄介。
原虫性疾患や寄生ダニなどは不快・不潔この上ないだけでなく、子犬の健全な成育に悪影響を及ぼします。
ペットショップさん側のこの問題に対する取り組みには経営者の個性・良識が大きく作用しています。 危機感を持って排泄物の処理、敷物の消毒、ケージの清掃・消毒、室内換気、定期的な検査を地道にきちんと行っているところと、経営効率(もうけ)を優先しすぎて、管理がルーズなところの落差が目立つように思われます。また、ペットショップさんは子犬を自前で繁殖しているわけではなく、ブリーダーさんから購入し、販売するので、「仕入先」のブリーダーさんの健康管理状況に依存します。
ペット市を介する場合、ブリーダー→仲買人→せり市→ペットショップの経路を辿るので、感染機会が急増することになります。 ケンネルカフのように感染力が強く、一度ショップ内に病原体を根付かせると、根絶するのに多大な費用と労力(例えば、一時休業して全てのケージ、室内を一斉に消毒する)を要する場合もあり、ことは簡単ではないのでしょう。しかし、扱う対象が生き物なのですから、動物の健康を全てに優先して考える責任があると思うのです。新しい家族(ワンコ)を迎える飼い主の皆様にとっての関心事は、
・ 良い血統
・ 姿かたち
・ 性格と頭が良いこと 等があると思いますが、「健康であること」が最優先事項ですよね。肝心の予防方法ですが、新しい家族を迎えるにあたっては、
・ もし、既にワンコがいるご家庭の場合、そのワンコへのワクチン接種を済ませておくこと
・ 新しいワンコの購入先の選定(良いブリーダーさんも良いペットショップさんもたくさんいらっしゃいます) ・ 新しいワンコの健康診断を早期に行う
・ 新しいワンコのワクチン接種(正しい実施時期で)
全て重要です。
当院としては、万が一にも「院内感染」など生じさせることのないように、普段から、患者さんごとの手洗い・診察台消毒、全館(特に床)定期消毒、入院室については塩素消毒など一層励行・徹底する決意です。

ワンコの足裏健康法 趾間炎にご用心!!

ワンコの足裏健康法と言っても、足裏のツボを刺激して健康増進を図る、アレではありません。
指の間の皮膚に生じる皮膚炎、つまり「指間皮膚炎」とか「趾間膿皮症」、「趾間炎」と呼ばれる足裏の病気の予防と治療についてです。  

生命に危険を及ぼすような病気ではありませんが、発生頻度が高く、治り難く、かゆみが強く、ワンコにとってストレスが大きく、特にこの時期に病勢が強まる、悩ましいものです。ご参照ください。この病気の全体像をご理解いただくために、典型的なCaseを例示します。
「指の間の皮膚が赤みを増し、毛が赤茶に変色する。足先が腫れてきて、ジクジクする。痒いのか、盛んに舐めたり噛んだりする。痛みもあり、歩行の時にビッコを引く。冬の間は比較的、落ち着いているが、梅雨時から夏にかけてぶり返す。」
と言ったところです。  

原因はなに?:
・ アレルギー体質:食餌性、吸引性、接触性アレルギーが発症要因である場合が多い
・ 汗っかき体質:イヌは足の裏に汗腺があり、汚れ易く、細菌の温床になる
・ 汚れ、不潔:足裏だけに不潔になりやすい
・ 足裏の傷:裸足なので傷つきやすい
・ 細菌感染:表皮ブドウ球菌など、常在菌が病原性を発揮する場合が多い
・ カビ(真菌)感染:人間の水虫と同様の病原性がある
・ 皮膚寄生虫(疥癬、アカラスなど)の寄生:症状が重症化する原因
・ 指舐め、歯噛み行為:唾液、物理的刺激が炎症を増悪
・ その他:足裏の毛量が多いなど 以上の原因・要因が、積み重なり、絡み合って発症し、悪化します。  

例えば、次のような経過です。
元々アレルギー・汗っかき体質のワンコが、お散歩の時に草むらでトゲを踏んでしまい、足裏に小さな傷を作った。
  ↓
足を洗わずそのままにしておいた。
  ↓
汗で湿り、しかも傷のある足裏で細菌が増殖をはじめる。
  ↓
化膿・炎症(膿皮症)を引き起こす。
  ↓
炎症刺激(かゆみなど)が生じ、足裏を舐めたり噛んだりを始める。
  ↓
舐めたり噛んだりすることにより、炎症が激しさを増す。
  ↓
益々、痒みが強くなり、舐めたり噛んだりを繰り返す。←悪循環以上が、単純な趾間炎の発症パターンです。これに、カビ、疥癬、毛包虫などの感染・寄生が加わると、病像が更に複雑化、深刻化します。 特に皮膚の深部・リンパにまで炎症が波及するとフレグモーネ(蜂窩織炎)と呼ばれる状態に陥り、足先がミットのように腫れ上がり、痛みが強くなり歩くことも困難になります。なり易いワンコは?: 

どんなワンコでもなりますが、アレルギーの素因を有するシーズー、ダックスフンド、ブルドッグ、レトリバー種などで発生頻度が多い傾向があります。診断はどうするの?:
足先(足裏)の状態を肉眼的に良く観察することで、ほぼ100%診断可能です。 皮膚検体の細菌、真菌やアカラス・疥癬検査は原因を絞り込むのに有用です。予 防・治療はどうするの?:
① 清潔:足のシャンプーと消毒。毎日(お散歩の都度)、足裏、爪の根元、指の間を微温湯で薄めた薬用シャンプーでよく洗い、よくすすぎ、よく乾かします。
② 薬物療法:細菌感染が発症・増悪の最大の要因ですので、抗生物質の投与は不可欠です。アカラスや疥癬の関与が認められる症例には、殺虫効果を有する薬剤を使います。 症状に応じ副腎皮質ステロイドや抗アレルギー剤を用います。
塗り薬の場合、舐めてしまうことが多いので、内服剤を用いることになります。
③ エリザベスカラー装着:塗り薬を用いた後は、エリザベスカラーを装着し、舐めることを防ぎます。また、普段から舐める行為、噛む行為が激しいワンコには終日装着する場合もあります。予後(症状の経過見通し):完治し難い、再発・再燃を繰り返しやすい病気です。それだけに、地道にケアをした場合と、そうでない場合とでは、経過に大きな差が生じます。
あせらず、あわてず、ある意味で気楽に、でも気を緩めずに病因を取り除くことが、この病気の場合、肝要です。

愛犬家の皆様に がんこな下痢・軟便にご用心!!

愛犬の毎日のウンチ。
調子が好いと、もうそれだけで、嬉しくなりますよね。  

でも、生まれつき胃腸が弱く、いつも下痢気味・軟便に悩まされるワンコもいます。
下痢・軟便の原因は寄生虫やウイルス、細菌感染、食事性、神経因性・運動性、腫瘍など実に様々。今回、ご紹介するがんこな下痢・軟便を主症状とする病気は「膵外分泌機能低下に伴う消化不良症」と呼ばれるものです。
どちらかと言うと、稀な病気ですが、見落とされ、適切でない治療が繰り返される子もいる病気です。原因は?:本当の意味での原因は解明されていません。遺伝や幼年期のウイルス感染、慢性膵炎が関係しているとする学説もあります。
どんな病気?:膵臓の働きにはインスリンなどの内分泌機能と、消化酵素を消化管内に放出する外分泌機能があります。
「膵外分泌機能低下に伴う消化不良症」は消化酵素が殆ど出なくなって栄養の消化・吸収能力が通常よりも低下してしまう状態・病気です。
完全には治り難い(一旦症状が落ち着いた様に見えることがあっても治ったわけではありません)ので、じっくりと腰を据えて病気に付き合うことが大切です。なりやすいワンコは?:犬種や性別、年齢層に関係なく発生します。一部、大型犬やシェパード、シュナウザーに多いという統計もあります。
なお、猫にはほとんど見られません。  

どんな症状?:膵臓の障害の程度により症状は異なりますが、共通した症状として、頑固な下痢・軟便の繰り返しが見られます。
多くは、下痢していても食欲は普通にあり、元気・活動性もさほど阻害されません。 食べているのに段々やせるという現象も見られます。
便の状態は、水様便から軟便で様々(日によって変動)で、臭いが強いこともあります。おならが多いのも特徴です。
絶食や低脂肪食で下痢の程度が軽減されることも特徴です。
診断はどうするの?: まず、この病気と同様に下痢を主症状とするウイルス性、細菌性、寄生虫性の腸炎や、中毒、あるいは肝臓病などの他の病気を否定(除外診断)します。
ついで、便を顕微鏡で調べ、脂肪やでんぷん、筋肉繊維などの消化状況をチェックします。これで大体見当がつきます。
決め手は、血液検査で、膵臓にのみ存在する蛋白分解酵素(トリプシン)の血液中濃度を測定し、明らかな低下が見られた場合この病気と診断します。
正確を期すため、1ヶ月程度間隔を空けて再検査を行い、同じ結果が出た時点で、この病気と確定されます。  

治療法は?:
①食餌療法:食餌療法がこの病気の治療の基本です。 フードメーカーが脂肪や刺激性の成分を減らした処方食を色々販売していますので、嗜好性も含め、合った物を探していくことが重要です。
1回の量を少なくして、回数を増やす(1日3-4回に分割)様にします。
②薬物療法:消化酵素の分泌不足が原因ですので、補う目的で消化酵素剤を毎日・毎食後に服用させます。 また、乳酸菌・麦芽製剤がよく効く子もいますので、いろいろ試して行きます。
下痢が激しい時には、脱水症状を防ぐために補液(点滴)や、腸の運動を調整する薬を使うこともあります。
また、腸内細菌のアンバランスが吸収不良と下痢を悪化させる要因になるので、抗生物質を併用することもあります。
③食餌療法以外の家庭でのケア:特別なものはありません。何時でもきれいな水が飲めるようにしておくこと、温かい(涼しい)場所におき、風邪をひかさない様に気をつけること、お尻の周りの毛を切って汚れ難くするなどの一般的なケアは経過を大きく左右します。 栄養不足に対応するため総合ビタミン、ミネラルをサプリメントとして補給します。
④飼い主の方へのお願い:ウンチの状態を気にしてイライラすることが、犬に伝わり、神経質になり、症状を増悪させてしまうことも考えられます。
気持ちをゆったり構えていただきたいと思います。  

予後(症状の経過)は?:外分泌機能が低下した膵臓は通常元に戻らないとされています。 完治は期待できず、便の状態は良くなったり悪くなったりを長期に繰り返すことの覚悟が必要です。 でも、この病気は決して致命的ではありませんので、愛犬と気長(気楽)に付き合うことをお願いいたします。  

ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。

ご飯で予防 オスニャンコの尿路結石(FUS)にご用心!!

私たち、臨床獣医師にとってオスネコの尿路結石症(FUS)は、原因は単純ながら中々に手強い相手です。
でも、飼い主の皆様の一寸したご注意(食事の選択)で、ほぼ完全に予防することができる病気なので、啓発の意味を込めてこの文書を作成しました。どんな病気か?:尿路、特に尿道に結石が出来て尿を排泄できなくなり、膀胱が尿でパンパンに満たされ、さらに腎臓に尿が逆流し、尿毒症から死に至ることもある恐ろしい病気です。  

どうして尿道結石ができるのか?:5つの原因が説明されています。  

① ネコ特有の体質:ネコは元々、中近東の砂漠など乾燥地で生活してきた動物であり、飲水量が少なくても済むように適応・調節されています。即ち、尿の濃度が濃いと言う特徴があり、これはとりもなおさず、尿に結晶が析出し易い、結石が出来易い体質ということです。
② 細く長く、しかも鋭くカーブした尿道:雄ネコの場合、尿道が大変細く、砂粒以下の小さな石でも尿道を塞いでしまいます。また、体格の割に尿道が長く、鋭くカーブした場所があり、その部分は特に詰まり易いという特徴があります。
③ 食餌:尿路結石の元になるミネラルの多すぎる食餌(特にドライフード)を与え続けること。この病気は、昔、ご飯に味噌汁をかけたいわゆる「ネコマンマ」を与えていたころには稀な病気でしたが、ドライフードの出現によって急激に増加しました。
④ 膀胱炎など尿路感染症の存在:膀胱など尿の通り道に感染が起きると、炎症性滲出液が尿中に出てきます。これには、白血球など固形成分に加え、蛋白質が含まれていて、糊の様に尿道に附着し狭い尿道を益々狭くします。また、小さな石どうしをくっつけ合い、より大きな石にさせてしまう作用があります。
⑤ 尿のPHが高い(アルカリ性):フードの種類によって、尿がアルカリ性になりやすいものがあります。また、膀胱炎など細菌感染を起こすと、細菌の酵素により、尿素がアンモニアに分解され、アンモニアのためにアルカリ性に偏ります。
アルカリ尿になると、溶解性が悪くなる性質のリン酸アンモニウム(ストロバイト)の石が出来てしまいます。  

④、⑤でお分かりのように、膀胱炎など細菌感染はこの病気の大敵です。
発症の誘因にもなり、病状を増悪させる原因にもなります。
一種の「悪循環」が出来上がってしまいます。  

どんな症状?:次の症状に注意してください。  

・ 頻繁にトイレに入る
・ いきむのに尿が出ていない
・ 排尿時に鳴き声(うめき声)を出す
・ 尿に血や膿みが混ざる
・ 食欲が低下する
・ 熱が出て、だるそうな様子  

以上が、この病気に特有の症状です。病気が進み、腎障害・尿毒症になると、  

・ 嘔吐
・ 水の飲み方が変わり(増えたり減ったり)、それに応じて尿量が極端に増減する
・ 痩せて、目が落ち窪み、毛つやが衰え、みすぼらしい感じになる
・ 口臭が酷くなる、口内炎が出来る
・ けいれん発作、意識がぼんやりする  

などの症状が出てきます。診断:上記の症状と、尿検査(結晶の顕微鏡検査)、膀胱の触診でほぼ100%診断可能です。病気の進行状態を把握するため、血液検査(腎機能検査)と尿検査をおこないます。治療:  

① 緊急処置:尿が出ない状態は腎臓に大きなダメージを与えます。何はともあれ、尿が排泄できる経路を確保することが重要です。そのために、
・カテーテル挿入:カテーテルをペニスの先から膀胱まで通し、強制的に膀胱を空にします。通常、全身麻酔下で行います。
・カテーテル留置:閉塞が軽度の場合には、カテーテル挿入・排尿後すぐに抜去しますが、高度に(完全に)尿道が塞がり、排尿困難な場合には、平均1週間程度留置しておきます。尿道病変(炎症、びらん、肥厚など)が強い場合には長期留置(1ヶ月近く)が必要になる場合もあります。
② 原因療法:尿路結石を取り除くこと、出来難くすることです。
・食事療法:食餌療法がこの病気の治療の基本です。マグネシウムなどの塩分を少ししか含まない、かつ尿のpHを酸性方向に傾ける、この病気用の処方食を続けることです。
・薬物療法:尿量を増やし、尿のpHを中性化し石を溶かし出すための補液(点滴)と尿路感染に対する抗生物質、尿道の炎症を抑える薬剤の投与は必須です。食事療法以外の家庭でのケア:
・トイレ:トイレをいつも清潔に保ち、排尿・排便を我慢させないことは予防(治療)上重要です。・飲み水:何時でもきれいな水が飲めるようにしておくこと ・温かい(涼しい)場所におき、風邪をひかさない様に気をつける(膀胱炎の併発)ことなどの一般的なケアは経過を大きく左右します。
この病気の問題点と予後:
① 発症してから治療開始までの時間が経ってしまった場合:
・膀胱が膨らみきった状態になり、排尿筋や排尿神経が障害され締りが悪くなる。まるで古いゴムチューブのように、弾力性がなくなります。
・水腎症(尿が膀胱から尿管を逆流して、腎臓にたまってしまうこと)を引き起こし、腎不全に陥ることがある。
ことがあげられます。腎不全に陥ると、予後が非常に悪くなります。
② 繰り返し罹患した場合: ・初めて起こった時と、2回3回と繰り返し起きた場合とでは治療のし易さ(難しさ)が全くと言っていいほど異なります。 繰り返し生じた尿路結石は膀胱や尿道の粘膜を荒らし・肥厚させ、カテーテルの挿入は困難になり(1時間以上格闘する時もあります)、留置する期間も長期を要します。以上、FUSは食べ物由来のミネラル成分が尿中に析出することにより結晶を作り、石になって尿道を栓塞するという単純な病気です。 でも、ニャンコには苦痛が大きく腎機能障害と言う、後遺症を残しかねない危険な病気でもあります。 結石が出来にくくなる、あるいは溶かしてしまう食事(処方食)に切り替えるという飼い主さんの一寸したご注意でほぼ完全に予防できます。  

ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。

美容の大敵 涙焼けにご用心!!

涙の分泌は、 常におこなわれている基礎的分泌に加え、異物が入った時などの機械的刺激が誘因となる刺激性分泌、 悲しみや怒りといった感情の変化にともなっておこる感情性分泌があります。  

ワンコ、ニャンコには、当然、喜怒哀楽など「感情」・「情動」が備わっていて、ワンコは嬉しいときは笑顔満開になり、ニャンコは喉を鳴らしたりもします。
ご主人のお出かけなど、悲しいときには悲しそうな表情を見せ、クーンクーンと追い鳴きをします。
そんな時、涙がこぼれるには至らないまでも、ワンコの瞳がウルウル潤んでいるのにお気づきの飼い主さんは多いのではないでしょうか?ワンコにも涙の感情性分泌がありそうに思われますよね? 動物での感情性涙液分泌について調べた試験が無いか、文献検索を試みましたが、見つかりませんでした。
それはともかく、涙は眼を健康に保つために必要不可欠なものです。  

なぜなら、
・ 眼の乾燥を防ぐ
・ 酸素や栄養分を角膜に供給する
・ 眼に入ったゴミや雑菌を洗い流す
・ まぶた(瞬膜も含む)を開けたり閉じたりする時の、角膜との摩擦を防ぐ潤滑油の役割 などの役割があるからです。  

涙の分泌が阻害される病気(シェーグレン症候群など)になると、ひどい角膜炎などに悩まされ続けることになります。
そんな、大事な涙ですが、美容の大敵、「涙やけ」の原因にもなります。
涙やけは、涙の成分のために、眼の周りの毛が赤茶色に変色してしまうことを言います。白色・長毛のワンコほど目立ちますので、マルチーズなどの飼い主さんには悩みの種になりがちですし、プードルやチワワでもしばしば経験します。
ニャンコの場合、ペルシャ猫のような短頭種での発生が多いとされます。
見た目の問題が最重要ですが、べた付いて嫌な臭いもしますし、衛生的でありませんよね。涙やけが起こるメカニズムは涙の成分に含まれる、リゾチームなどの酵素が毛の色素を赤茶色に変色させることによると言われていますが、きちんと解明されたわけではありません。酵素は、正常涙液中にも存在しますが、涙に炎症産物(膿)が混ざると、酵素のパワーが増強し涙やけが加速されることになります。
涙焼けの原因と誘因は以下のように整理されます。  

・涙の流出量が多過ぎる   
 ・分泌される涙の量が多い:角膜炎・結膜炎などの存在   
 ・分泌された涙が鼻に抜けにくい:鼻涙管狭窄の存在
・膿の様な粘調度の高い涙   
 ・角膜炎、結膜炎などの存在
・毛管現象で涙を毛が吸い上げる
 ・眼の周囲の毛が長すぎ、眼に入るお分かりいただいたと思いますが、主な原因は結膜・角膜などの炎症性疾患です。
炎症刺激が涙液量を増やし、更に涙液の中に膿(死滅した細菌や白血球)が混ざることです。 涙が鼻に抜けにくいのは「鼻涙管」と言う涙の排泄路が狭窄するからで、短頭種で見られる先天的に細い場合と、鼻涙管に結膜炎など炎症が波及し、粘膜の肥厚→狭窄をきたす場合があり、やはり結膜炎は涙焼けの悪化要因になります。また、眼の周囲の毛が長すぎて、眼球・結膜面に入って(付着して)しまうと毛管現象により、涙を吸い上げて起こすことがあります。
対応(治療)方法:
1. 毛が眼球に付着しない様に短く切り揃える。あるいは、結い結ぶこと。
2. オキシドールが涙やけした毛を脱色・漂白する効果があることから、オキシドールで拭う処置(効果は?)。
3. 結膜炎・角膜炎に対する治療を徹底。
4. 鼻涙管狭窄が原因の場合、ゾンデを通す、洗浄液を高圧で注入するなどの処置による拡張術を行う。以上のように、地味な病気とも言えないようなものですが、涙やけに悩む飼い主さん、ペットさんは多く、原因などの正確な情報と対応方法をお知らせすることは重要だと考えこの文書を作成した次第です。

愛猫家の皆様へ 破歯細胞性吸収病巣にご用心!!

破歯細胞性吸収病巣? 変な名前ですね。
どこに出来る、どんな病巣なのでしょう?  

答えは、ネコのお口、歯の根元が融けて穴が空く病変です。
しかも、米国の疫学調査では「4歳以上の飼い猫の約半数に見られる」との報告があるほど、普通に見られるものとされます。私自身、この病気が以前より増えている印象は持っていましたが、「約半数に見られる」に違和感を覚え、当院のニャンコのカルテを見直してみました。残念ながら、カルテには来院した全てのニャンコの口腔内を調べ、破歯細胞性吸収病巣の有無が記入してあるわけでなく、歯やお口に異常の訴えのあるニャンコの所見が記載されているだけです。
ですから「母数」を把握できませんし、「罹患率」も検討することはできませんでした。
正確な根拠はありませんが、10%から30%の間ではないかと考えています。
いずれにしても、結構多い病気であることが分かりますよね。その反面、飼い主の皆様にあまり知られていないと思いますので、原因や治療法ほかご説明しようと思います。どんな病気?:破歯細胞性吸収病巣は「歯が融けて吸収されてしまい、その部分が人間の虫歯の様に空洞化する状態」で、ネコ特有の病気です。
この病変は、歯と歯茎の境目に生じる場合が多く、激しく痛むので、この病気のネコは不機嫌で怒りやすく、食事を十分に摂れなくなり、やせてきます。どうして歯が融けてしまうの?:骨には破骨細胞と言う細胞があり、骨折した時など、骨のかけらを融かして吸収し、骨折の整復が正しく行われる手助けをする役割を担っています。一種の掃除屋さん細胞、scavengers細胞です。
同様な細胞は歯の組織にもあり(必要に応じ歯槽骨の破骨細胞が変身する)、破歯細胞と呼ばれています。
本来の役割は、乳歯から永久歯に生え換わる際、乳歯の歯根を吸収し、乳歯が抜けやすくすることで、永久歯に生え換わった後は姿を消すはずなのです。
何かのきっかけで、この破歯細胞が暴走を始め、永久歯の組織まで融かしてしまうのだと説明されています。
なぜ暴走を始めるのか」のメカニズムについてはサイトカインと言う炎症を誘発する物質が関与しているらしいことは分かってきましたが、充分解明されたわけではありません。症状は?:虫歯と同じように激しい痛みがあり、食べるのに大きな苦痛をともなうようになります。
「空腹でたまらないから食べたい。でも、痛いので食べられない。」という葛藤が見られ、無理して食べる時に「ギャ」と悲鳴を上げたりします。そして、口臭が強くなり、よだれが多く、口の周りが汚れがちです。 充分に食餌が摂れなくなり、だんだんやせてきます。他の動物(イヌなど)にもあるの?:ネコだけの病気です。なぜネコにだけ見られるのか、理由は不明です。診断方法は?:歯と歯茎の境目に限局する特有の所見(空洞)でほぼ100%診断できます。この病変があると、プラーク(歯垢)が歯の表面を覆うことが多いので、プラークを取り除いて(スケアリングの際)この病変に気付くことが多いです。予防方法は?:原因がはっきりしない今日、効果的な予防法はありません。しかし、炎症の存在がサイトカインを誘導し、破歯細胞の出現に関与することが推測されますので、定期的な歯石除去(スケアリング)や、歯石がつき難いフードを与えるなど歯肉炎を起こさせない日常のケアは大切です。治療方法は?:一部の症例ではインターフェロンの投与が進行を抑える効果があることが分かってきて、当院でも使用しています。 また、人間の骨粗鬆症の治療に用いられるビスフォスフォネート剤が破歯細胞を消失させる可能性があり、今後の検討に期待が寄せられます。
さらに、フッ素剤を病巣に塗布することで、進行を一時的に遅らすことが確認できています。 人間の虫歯治療と同じように、融けて穴の開いた歯の部分(悪くなった部分)を削り、充填剤・アマルガムで塞ぐ方法が試験的に行われていますが、治療後、短時間で詰め物が取れてしまうケースが多く、現状では期待できません。
症状(痛み)が強く、食欲の低下が著しい場合、抜歯処置を行います。まとめ:ニャンコにとって、食事を食べることは最大級の楽しみだと思います。
しかし、破歯細胞性吸収病巣を持つニャンコには、ものを食べることが大きな苦痛で、とても不幸な状況です。 獣医領域の歯科治療の現状では、クラウンを被せたり、アマルガムなどの充填剤で病巣を埋める治療は実用段階にありません。
元々、ネコの歯は、ネズミなど小動物を捕らえ、噛み殺し、丸呑みにする機能に特化しています(咀嚼はしません)。 伴侶動物となり、ペットフードを与えられるようになった現在のネコには、傷んだ歯を中途半端に残すより、抜歯してしまうほうがTotalとしてよい結果を残すことが多いことをご理解ください。以上、可能な限り平易に、かつ詳しくご説明しました。
ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。

ワンコ・ニャンコも歯が命 歯石溜まりにご用心!!

「芸能人は歯が命」このCMが盛んに流されていたのは、いつ頃でしたでしょうか?
私に言わせると「一般人も歯が命」ですし、「ワンコもニャンコも歯が命」です。
 という訳で、ワンコ、ニャンコのお口の中(歯)を観察してみましょう。  

犬歯は、鋭く尖って細長い形をしていますし、奥歯(臼歯)でさえ、刃物のような鋭く切れ込みのある形をしているのにお気付きになるでしょう。 元々肉食獣である彼らの歯や口は、獲物である小動物を捕らえ、かみ殺し、切り裂いて嚥下(丸呑み)すると言う機能に特化していて、草食動物のように食べ物を擂り潰し、唾液酵素で消化したり、反芻したりと言う機能はありません。
野性の世界では、歯がだめになった時は、生存競争に敗れるときであり、即ち死を意味します。ですから、彼らの歯はきわめて頑丈に出来ています。さらに、肉食獣は虫歯と無縁です。それは彼らの口の中がアルカリ性で虫歯菌が繁殖しにくい環境だからです。人間の場合は、食後、歯垢から発生した酸によって、PH5.4(これは歯のエナメル質を溶かしてしまう酸度です)以下になり虫歯を作りやすい状況になります。以上のように、本質的に丈夫な歯を持っているワンコ、ニャンコですが、ペット(伴侶動物)として、人間の好みに合わせて姿かたちを変えていくに従い、パグの様に平坦な口吻の品種(歯並びが悪い)やチワワやポメのように顎骨が小さく先細りの品種(歯槽骨が貧弱)が出来てきて、ひ弱な歯の持ち主が現れるようになりました。また、ペットフード中心の食は、歯垢・歯石の蓄積を促し、歯周炎を持つ動物たちが急激に増加してきています。
ペットフードは栄養学的には完全食ですが、成分にスターチやカゼインが含まれるため、食べかすが歯など口腔組織に付着しやすく、また細菌の栄養源にもなるため、歯垢・歯石が出来やすい、溜まりやすい欠点があります。 


これらの要素から、近年、お口のトラブルを抱えるペットさんたちが急増しています。ここまで読んでいただいて、もう一度、ペットのお口を観察してください。
① 茶色い歯垢・歯石が溜まっていませんか?
② 歯茎が赤く腫れていませんか?
③ 歯茎から出血しませんか?
④ 口臭はしませんか? 以上に該当する症状があったら、要注意です。さらに、
⑤ 空腹なのに食べようとしない。
⑥ 食べにくそうな様子。
⑦ 口に入れても落としてしまう。
⑧ 歯のぐらつき。
⑨ 抜けてしまった歯の存在。
等が見られたら、病気が進行している可能性が高いです。どんな病気か? いわゆる歯周病である可能性が高いです。 文字どおり、歯の周囲の病気ですが、歯肉に限局した炎症を示す歯肉炎と、さらに、歯根をおおっているセメント質、そのまわりの歯根膜、歯槽骨にまで炎症がおよんでしまったものを歯周炎と呼び区別しています。発生頻度は?
前述のように、この病気になりやすい環境が増えていて、3歳以上のワンコの80%がこの病気を持っているとの報告もあります。原因は?
歯垢、歯石をそのまま放置しておくことが原因です。進行するとどうなるの?
歯が根元から抜け落ちてしまいます。また、細菌が血液に侵入し、心臓弁膜症や腎炎の誘引になります。なりやすいイヌ、ネコは?
どんなイヌ、ネコでもなりますが、歯並びの悪い短頭種のボストンテリア、シーズー、パグなどや、顎(歯槽骨)が小さく、歯と歯茎の間の溝が浅い小型犬(ポメ、ヨーキー、チワワなど)は特になりやすいです。治療方法は?
麻酔下で、超音波スケーラーという器具により歯に付いた歯垢,歯石を取り除き、歯肉も中をきれいに洗浄して、抗生物質の軟膏を注入します。 炎症がひどくない場合、歯根膜が再生し、ポケットになっていた部分がだんだん塞がって歯肉が戻ってきます。
病状によっては、抗生物質を2週間以上続けることもありますし、抜歯を選択せざるを得ないこともあります。予防方法は?
① 日頃から歯磨きをする。
② 歯垢のつきにくいフードを与える。
③ かむものを与える。
④ 人間のおやつを食べさせない。
などがあります。特に歯磨き習慣をつけることが大切です。最低でも3~5日に1回は行いましょう。

転ばぬ先の杖ワンコ・ニャンコの血液型測定とドナー登録のお願い

ペットさんの血液型が何型か、ご存知でしょうか?
私が質問すると、多くの飼い主さんから、犬や猫にも血液型があるのですか?と逆質問が帰ってきます。 ワンコ・ニャンコの血液型判定については、測定試薬の供給状態が不安定で、入手し難かったため、血液型の測定はあまり普及していませんでした。
極端な場合、交通事故など大量の失血に際して、そのワンコに輸血歴がなければ血液交叉適合試験さえ行わないまま緊急輸血を行っていました。
ワンコの場合、初回の輸血では重篤な反応を起こすケースは多くないので、イチカバチカでも輸血するメリットがデメリット(不適合輸血による重篤な事故)を上回ると判断されてきたからです。
最近になり、ワンコ・ニャンコの血液型を判定するキット試薬が安定して入手できるようになり、簡便に、かつ迅速に血液型測定ができるようになりました。
それらの状況を踏まえて、皆様に提案(お願い)が2つあります。  

1つは、皆様の愛犬・愛猫の血液型を調べさせていただきたいと言うことです。
「いざという時」のために、血液型を把握してカルテと愛犬手帳に記載しておきたいのです。安全に輸血ができます。費用は4000円です。  

2つは、ドナー犬、ドナー猫として登録をお願いしたいのです(体格・栄養の良い子のみ)。  

イヌ、ネコの保存血は入手が難しく、品質も悪いので使い勝手が大変悪いので、輸血が必要なワンコ・ニャンコが出た場合、愛犬・愛猫の血液を提供いただきたいからです。
これは、純粋に助け合い・皆様のご好意によるものです。
もちろん我が家のコーギーのコーちゃんがドナー登録第1号です。<参考>
犬の血液型は国際標準法としてDEA(イヌ赤血球膜抗原)により9種類分類されます。
今回、調べたいのはそのうちの血液の適合性を見るために重要なDEA1.1抗原の有無(DEA1.1+かDEA1.1-か)についてです。
ネコではABグループシステムが用いられており、A、B、ABの3種の血液型に区分され、新生仔同種溶血現象や輸血の際に重要となります。ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。

飼い主の皆様に アル中ワンコにご用心!!

唐突ですが、お酒は良いですよね。
第一に食事が美味しくなりますし、風呂上りのビール、就寝前のワンショットも穏やかな睡眠に必需品です。家族で飲むも良し。友人とにぎやかに飲むも良し。時には一人でボーッとしながら飲むもまた良し。人生の味わいを深めてくれます。エエッ??愛犬や愛猫と酌み交わす酒も捨てがたいですって?これは、聞き捨てできません。
ワンコはアルコールの毒性に弱い体質の動物で、ワンコにお酒を飲ませるのは動物虐待に相当する行為です。非常に古い実験結果ですが、大まかに言ってアルコールによるワンコの致死量は人間の1/5と記されています。
言い換えると、ワンコは人間の5倍、お酒に弱いと言うことです。その文献のデータから換算しますと、体重5kgのプードルに日本酒とっくり半分(100ml)を投与すると死んでしまうワンコがでることになります。くわばらくわばら。  

現れる毒性所見は人間もワンコも質的に同じで、   

急性毒性所見(イッキ飲み)は
中枢神経:運動失調、痙攣、意識障害、反射消失 呼吸器系:呼吸抑制、呼吸不全
循環器系:脱水症状、まれに血圧低下、ショック
消化器系:嘔気、嘔吐 代謝系:代謝性アシドーシス
その他:低体温、高アミラーゼ血症、低カリウム血症  

などであり、慢性毒性所見(慢性中毒)は、  

肝臓:アルコール性肝炎→脂肪肝→肝硬変
すい臓:膵炎 などが現れます。治療方法:
・急性中毒:補液により脱水とアシドーシスを補正し、循環血液量を確保します。酸素吸入や昇圧剤、ステロイド剤を投与し ショックに対応し、回復を待ちます。
・慢性中毒:強肝剤、利胆薬の投与 を行います。  

予防方法: ワンコを晩酌のお供にするのはやめましょう。
ウイスキーボンボンはチョコレートの毒性(本体はテオブロミン、これにもワンコは弱い)にアルコールの毒性が加わります。ご用心。
ご不明な点がありましたら何なりとご質問ください。

愛猫家の皆様へ 恋の季節にご用心!!

ニャンコが野生動物だった頃、北半球での繁殖期(発情期)は1月から3月の丁度この時期に限られていたそうです。
ニャンコの妊娠期間(2ヵ月)、授乳・子育て期間(3-4ヶ月)の関係から、餌となる小動物が豊富な春から初夏に親離れさせるにはこの時期に交尾を行う必然性が強かったのでしょう。
家畜化され食べ物を得る苦労がなくなり、さらに、室内飼いにより寒さの心配が少なくなるにつれ、繁殖期は不明確になりました(多くは年3-4回の発情周期)。でも、野生の名残か、やはり今頃の時期は、配偶者を求めて、夜更けに公園などに集まって、お相手を求める声が盛んに聞こえます。雄の猫さんどうしの競争も熾烈で、時には腕力に訴えてお相手を奪い合う場面も眼にしますよね。
野性の本能をそっと見守ってあげたいとも思いますが、色々なリスクもありますので、ご注意いただきたくこの文書を作成致しました。  

リスク1:皮下膿瘍。恋敵との激闘により、掻き傷、噛み傷を受けると、皮膚の下に細菌が入り(猫の皮膚はとてもしなやかで丈夫なので外見からは分からないことが多いです)、概ね7~10日後に皮膚がパンクして黄緑色のとても臭い膿が大量に出てきます。
侮れない病気で、時には血液の中にまで菌が入り込み、敗血症ショックに陥り、命を落とす危険もあります。  

リスク2:エイズや白血病ウイルス、伝染性鼻気管炎ウイルスなどをもらう。
猫エイズやある種の白血病はウイルスの感染症です。これらのウイルスはお母さんのお腹から出る時の産道感染や母乳を飲むこと、子供を舐めてあげる時の唾液による母子間感染以外では、交尾時の体液による感染とケンカにともなう創傷感染が多く、後々、大変なことになりがちです。去勢をしていないオスニャンコの抗体陽性率は去勢済みのニャンコの4倍多いとの統計があります。  

リスク3:猫ひっかき病(ヒトがかかる病気の原因になります)。バルトネラ・ヘンセレと言う猫ひっかき病の病原菌を日本の猫は約7%の頻度で保有しています。バルトネラ菌はもともと猫につく猫ノミがもっていますが、猫ノミから猫にバルトネラ菌が感染し、その猫に引っ掻かれたり、咬まれたりすることにより猫どおし、あるいは猫から人に感染します。この菌は猫に対しては病原性がありませんので、この菌を持っていても、猫には症状は出ません。しかし、保菌者として菌を持ち歩き、飼い主を噛んだり、引っ掻いたり、あるいは傷のある部分をなめたりした時に、この菌をうつす事があるのです。人間に感染したときの症状は主にリンパ節炎で、猫に引っ掻かれた後10日頃から傷が赤くはれ、手の傷なら腋窩(脇の下)リンパ節が、足の傷なら鼠径(足の付け根)リンパ節が腫れ上がり、時には鶏の卵くらいになります。ほとんどの人で微熱が長く続き、全身倦怠、関節痛、吐き気等があります。幸い抗生物質が良く効きますので、猫に噛まれた後などにこのような症状を認めたら、早めに病院に行くことをお勧めします。リスク4:交通事故に遭遇。ニャンコがこの時期に交通事故に遭う頻度は非常に多く、1年間の全件数の4割に達するほどです。原因は、激情に駆られ、前後の見境を失って道路に飛び出すからです。リスク5:マーキング(臭いつけ行動)。発情期の雌が近くにいると、雄ネコ君のマーキング行動が強まります。普段は上手にトイレを使える子も、部屋のあちこち尿を振り蒔くことがあります。リスク6:流産・子宮内膜炎。猫さんの恋が成就し、目出たく懐妊した後、流産をしたり、子宮内で胎児が死んでしまったりすると子宮内膜炎を起こすこともあります。リスク7:捨て猫の増加。結果的に望まれない子猫が誕生し、捨て猫・野良猫(何と言う嫌な言葉でしょうか?)が出来てしまいます。
ノラさんは、予防注射を受けることもありませんので、他の猫さん達に色々な病気をうつす原因にもなります。対応1:室内飼いに徹すること。
子供の時から室内飼いに慣らしておいて、発情シーズンはケージ内で生活してもらう。対応2:不妊手術を行う。
ここに結論を落とすと、何だか獣医さんの営業戦略みたいになって本意ではありませんが、子供を産ませたい、子孫を残したいとの明確なご希望がある場合を除いては、やはり雄雌を問わず不妊手術を済ませるほうが、猫さんの健康維持、その他のリスクを総合して良い結果を生むと考えています。ご不明な点がありましたら何なりとご質問ください。

愛猫家の皆様に ブラックチン(なんのこっちゃ)にご用心!!

ブラックチン???
あまり耳にしない言葉ですよね。英語のスペルはBlack Chin つまり、黒い下顎のことです。
そう言われても、まだ何のことか分からない?
ごもっともです。もったいぶらずに、本題に入りましょう。  

どんな病気か?:「病気」というよりは「状態」あるいは「症状」の表現が適当かもしれません。
典型的なケースを例示しますと・・・
そろそろ中年に差しかかる、5歳くらいのやや肥満型のニャンコの下顎部皮膚が(被毛)が点状に黒く汚れ、ティッシュで拭ってもきれいにならない。
無理やり、拭くと出血(血が滲む)し、後でその部分が熱を持ったように赤みを増し、腫れてしまう。
と、まあこんな具合です。 人間の首筋などに出来る「黒ニキビ」と質的に類似した変化で、下顎の毛包(毛穴の皮脂腺)に皮脂が詰まり、開口部の脂肪が酸化し、黒ずんで小黒点として見えることから俗に「ブラックチン」と呼ばれます。皮膚科学的には開放面皰(めんぽう)あるいはざ瘡(ざそう)と言う診断名がより適切だと考えられます。放っておくとどうなるの?:見た目(美容上)の問題が大きいです。かわいいニャンコ君のお顔に黒いブツブツがあるのは、飼い主さんには苦痛でしょう。
また、眼に見えない皮膚の下では、毛穴が詰まってしまう→皮脂やケラチンが行き場を失う→毛穴が破裂して真皮内(皮膚内部)に皮脂などがあふれる→そこに細菌感染が生じて細菌性毛包炎を引き起こす→更に、一つ一つの毛包炎が融合して大きな病変を作ると言う経過をたどります。  

なりやすいネコ・誘因は?:ネコの種類、性別と「なりやすさ」の間に関連性はありません。中年から初老のネコになりやすいと言う説がありますが、はっきりしません。
ただ、アカラスというニキビダニの寄生やカビの感染、白血病ウイルスの感染、アトピー体質、皮脂の分泌過剰、免疫異常、ストレスなどが誘因になることが段々と明らかになってきました。
つまり、この病気は色々な要因が積み重なって発症(悪化)することが特徴と言えます。治療・ケアの方法:治療の基本は、患部周辺を清潔に保つことです。刺激の少ない薬用シャンプーを温湯で薄めに溶かし、ガーゼなどに浸して清拭してください。場所が下顎ですので、出来れば毎食後にお願いします。
また、細菌感染が原因として重要なので、抗生物質の投与が治療の柱になります。 抗生物質入りのクリーム剤(軟膏は油脂性基剤なので避けましょう)はもとより、症状が激しい時には経口投与や注射も必要です。
説明したように、この病気には「誘因」が積み重なって発症する場合が多いので、一つ一つの誘因(アカラスやカビなど)を丁寧に根気良く除去することも重要です。
症状が強い時期にはステロイド剤や痒み止めも使います。お願い:愛猫のお顔の皮膚病であり、飼い主さんとしてはとても気になるのは良く理解できます。
ただ、決して重篤な病気ではありませんので、過度に深刻にならないようお願いします。
また、逆に気を緩めると悪化することが多いので、気長・気楽に治療を継続いただくことが何よりも大事だと考えます。  

以上、可能な限り平易に、かつ詳しくご説明致しました。
ご不明の点は何なりとご質問ください。

侮らないで ニャンコの便秘にご用心!!

ネコなのに便秘なんて・・・  

不思議な感じがしますが、肉食獣のネコは本質的に便秘になり易い動物です。私たちが「便秘」と聞いてイメージすることは、
「今日で3日もお通じがなくて、気持ちが悪いし、吹き出物が出そうで嫌だわ。コーラックのお世話になろうかしら」
程度の軽いものだと思います。でも、ニャンコの便秘はそんなものではありません。非常に深刻で、重篤な場合もある病気なのです。
ニャンコの便秘の本質は「骨盤内腔のサイズを超えた巨大な糞塊が出来てしまう」と言う、およそ人間では考えられない状況にあります。人間も含む動物の骨盤は「出産に際し胎児が通過できる」ことを前提に設計されています。
人間の場合、どれほど激しい便秘でも、赤ちゃんの頭より太いウンチはあり得ないでしょう。でも、ニャンコの場合にはそんなことが実際に起きてしまうのです。ニャンコの赤ちゃんはせいぜい200g。頭のサイズは人間の親指くらいですよね。つまり、ニャンコの骨盤は親指が通るくらいの広さしかない訳です。
そして、普段ニャンコがしているウンチのサイズも概ねそれぐらいですよね。
ですから、排便機構に破綻が生じ、親指よりもデッカイウンチが腸の中に出来てしまうと、悪性の便秘が起こるわけです。  

特に、  

① 肛門に近い部分の腸が袋状にふくらむ憩室と言う病変の存在
② 便通をコントロールする神経の失調や伝達障害
③ 便を肛門方向へ運搬するための腸平滑筋の筋力が不足
④ 病的な肥満(腹腔内脂肪過多)で腸管の蠕動運動が行えない状態
⑤ 便が固まりやすく、便が腸内を移動し難くなるような食事習慣
⑥ 便を我慢させてしまう飼育環境(トイレが不潔)
⑦ 交通事故などで骨盤の変形・神経損傷などの後遺症を生じた

などの要因があると、便秘の危険性が高まります。なお、この病気は、便の貯まった結腸が風船のように膨らむので「ネコの巨大結腸症」と呼ばれることもあります。症状:
元気・食欲がなくなり、全体的に弱ってきます。  

しぐさや顔つきが普段と違って苦しそうな感じ(飼い主さんが一番分かりますよね)を示し、気持ち悪そうに口元をクチャクチャさせたりします。
長期化すると、体もどんどん痩せていきます。
ひどくなると、口から便を吐く(吐糞)ことさえあります。
腹部を触診すると、極太のニンジンか、さもなければダイコンのような、ゴリゴリとした石のように硬い糞塊が触れるようになっています。
レントゲンを撮ると便とガスで膨らみきった大腸が見られます。また、血液検査などで、腎機能や肝機能の異常、脱水や貧血が見つかることもあります。診断:トイレにいかない、トイレに行っても便が出ないと言う飼い主さんの説明があれば大体見当がつきます。
慎重に診察し、触診により腸内の糞塊を確かめ、レントゲン検査を行って診断します。  

治療:応急的に便を出してあげること、根本的に便秘の原因を取り除くことを順序だてて治療します応急処置、とにかく便を出す:全身(吸入)麻酔をかけて作業するようにしています。
* グリセリンを含んだ温湯を直腸から入れて便をふやかし、便の滑りを良くする
* 腸をマッサージし、出来るだけ直腸のそばまで便を下ろす
* 指と器具を使って、少しずつ便をほぐしながら全ての便を掻き出す
* 1回で完全に便が取り除けないときは、奥の方にある便が自然に下りてくるのを待って、翌日も同様の作業を行う
便を出し終えて数日すると、現金なくらい元気になりますが、根本の原因を取り除かない限り、いずれまた便秘⇒応急処置を繰り返すことになります。根本的に原因を取り除く:
* 事故の後遺症などで、骨盤が狭くなっている場合:狭くなった骨盤を広げるステンレス製の「骨盤腔拡張プレート」と言う器具で矯正する。 術後、多くのネコは排便が改善されます。
* 大腸に憩室がある場合:憩室のある部分の大腸を切り取り、つなぎ直します。
* 腸の運動神経の障害や大腸の筋力が低下している場合:消化管運動機能促進剤などの薬物療法を行いますが、完治は難しいです。
* 食餌に問題がある場合:肥満の防止に役立つ、便通を保つ適切な処方食を与えることが治療の基本です。
* トイレの不潔:飼い主さんに気を付けて頂くしかありません。ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。

『てんしき』はありますか? おなかの張りにご用心!!

長津田の、とある大福寺の和尚さん。
厳しい修業を積んだ、位の高い僧侶ですが、気位の方もまた高く、「知らない」と言うのが大嫌い。その和尚さんが風邪をひきましてな。お医者様が往診中です。
診察が終わり、お医者様から「少し下腹が張ってますが、『てんしき』はありますか?」と聞かれた和尚さん。
本当は『てんしき』の意味を知らなかったのですが、「知らない」と言うのが口惜しくて、つい、「ありません」と答えてしまいました。「ほう。『てんしき』はありませんか。では、薬を調合しておくので、小僧さんにでも取りに寄越すように」
と言って帰って行かれました。さてさて、和尚さん。『てんしき』が何か、気になって仕方がない。
そこで、小坊主の珍念を呼び、自分は知っているふりをして、探りを入れます。和尚:「これ、珍念や、珍念。お前は『てんしき』と言うものを知っているか?」
珍念:「へっ?『てんしき?』何ですかそれは?」
和尚:「なに?『てんしき』を知らない?しょうがないやつだな。まあいい。門前の花屋から、『てんしき』を借りてきなさい」珍念に「『てんしき』を貸して下さい」と頼まれた花屋の親父。これもまた『てんしき』が何か知らないが、知ったかぶりして。花屋の親父:「『てんしき』は二つあったが今は無い。一つは床の間の置物にしていたら、お客が見て「大きくて、きれいで、珍しい『てんしき』だと誉められたので、おみやげにやった。もう一つは、お味噌汁の身にして食べた。」といい加減なことを言って、珍念を追い返します。 それではと和尚さん、珍念をお医者様の所へ薬取りに行かせ、「先ほど、和尚さんをご診察の折りに、『てんしき』があるか、とおたずねでしたが、私は、『てんしき』と言うものを知りません、どんなものだか、教えてください。」と訊ねる様に命令します。珍念は「面倒くさいな」と思いながらも、薬を取りに行き、お医者様に『てんしき』とは何かたずねると・・・。医者:「『てんしき』とは、放屁(ほうひ)のことだ。」
珍念:「ホウキ?」
医者:「いや、おならの事だ。」
珍念:「おならって言いますと?!」
医者:「屁だ。」 珍念:「屁って言いますと、あのお尻から出る、臭~いやつ?黄色いやつ?」 医者:「色まではわからんよ。」お医者様の説明では、ガスが溜まっている場合には腸の動きを高める薬を配合する必要があるので、「『てんしき』はありますか?」とたずねたと言う。ここまで来ると、珍念もピンときましたな・・・。
「和尚さんたら、『てんしき』を借りてこいって言ったぞ。じゃ今まで、おなら借りに歩いていたのかな。花屋の親父は、二つあったって言ったぞ。一つは床の間の置物にしていたら、お客様が、「大きくて、きれいで、珍しい『てんしき』だと誉められたので、おみやげにやった。もう一つは、お味噌汁の身にして食べた。
だって。
おならって食べられるのかな?
そうか!! みんな『てんしき』がおならだって知らないんだ。
うちの和尚さんも知らないんだ。 よーし。和尚さんには、『てんしき』は盃だって言っちゃおう!!」珍念から、「『てんしき』は盃」とニセの報告を受けた和尚さん。
「そうだ。呑酒器と書いて『てんしき』と読む。良く覚えておきなさい。」
などとえらそうに講釈しています。翌日、再度往診に来たお医者様に・・・和尚:「昨日、『てんしき』はない。と答えましたが、実は粗末なものですが、『てんしき』はありました。」
医者:「そうですか、ある方がよろしいですからな。」
和尚:「先生は『てんしき』がお好きでしょう?」
医者:「いや、好きなことはありません。もよおすことは、たまにありますが。」
和尚:「もよおす、なんて風流な。先生はお好きそうに見えますよ。きっと毎晩、奥様と二人で結構な『てんしき』を交わしておいででしょう。」
医者:「いや、そんな事はしません。」
和尚:「先生のために、寺伝来の『てんしき』を出してご覧にいれましょう。」
医者:「い、いや、それにはおよびません!!」
和尚:「まあ、遠慮なさらず。珍念や、三段重ねの『てんしき』を持ちな~。」
医者:「三段重ねの『てんしき』?これはたまらん。臭い。臭い。」毎度、馬鹿馬鹿しい『てんしき』の一席ですが、天失気と書くのだそうですね。 「訊くは一時の恥、訊かぬは一生の恥」とは言い得て妙ですね。 落語には庶民が「権勢とか権威とか言うもの」を笑い飛ばしてしまう痛快さがあり、私は好きです。ところで、ワンコもニャンコも人間同様『てんしき』をしますが、人間のそれと比べ、かなりくさいですよね。コタツの中での『てんしき』は遠慮願いたいです。ワンコ、ニャンコなどの肉食動物の『てんしき』にはアミノ酸の代謝産物であるインドールなどの低級アミン類(臭いの元)が多く含まれるから臭いが強いのです。でも、臭くたって『てんしき』があるのは、消化管が機能している証拠。
消化管がどこかで閉塞してしまうと『てんしき』も出なくなり、お腹がガスでパンパンに充満してしまいます。特に仔犬で注意が必要なのが、腸捻転や腸重積、腸が腹腔から会陰やそけい部に脱出して戻らなくなる嵌頓ヘルニアなどの重篤な通過障害です。
放置すると腸が壊死してしまい、取り返しがつかないことになりますので、しばしば開腹手術が必要になります。また、ワンコはボタンだの桃の種だの消しゴムだの、ビニール袋だの腸に詰まりやすいものを丸呑みすることが多いので、異物による通過障害も毎年数例、経験します。このような場合には、詰まってしまった腸管から上の部分(口に近いほう)に大量の『てんしき』が溜まっているのが、レントゲンで確認できますし、お腹を打診するとポンポンと鼓を打つ様な音が返ってきますので、通過障害の見当がつきます。症状:初期症状として、嘔吐下痢がみられ、続いて便が渋って出にくくなる、「裏急後重(りきゅうこうじゅう)」と言う状態になります。
ガスが溜まりすぎると、とても苦しがり(七転八倒)、ショック状態に陥ることがあります。別の病気との鑑別:同じようにお腹が張る病気に、腹水があります。腹腔内に血液やリンパ液由来の水分が大量に貯留し、お腹が膨れてくる病気で、これも危険な状態です。
また、子宮の内側が細菌感染を起こし、炎症産物で腫れ上がる子宮蓄膿症の場合や、お腹の中の癌が巨大化した場合にもお腹が張りますが、経験のある獣医師であれば見分けることは容易です。予防:特に予防法は思いつきません。『てんしき』の状態・臭いにも普段から注意いただき、特に異常な臭いがしたり、お腹が、普段より張っているように感じたら、なるべく早く来院頂く事くらいです。ご不明な点がありましたら何なりとご質問ください。  ↓梅干の種が小腸に詰まって、ガスが充満。

愛猫家の皆様へ 腎臓病にご用心!!

ニャンコは色々な腎臓の病気に罹りやすい動物です。
最初に生じたものがどのような種類の腎臓の病気であっても、最終的には「慢性腎不全」と言う終着駅の病態に陥ることが多く、こうなると治療に難渋します。
「慢性腎不全」は、加齢とともに頻度が増え、8歳では8%、12歳では15%、15 歳になると25%、なんと4頭に1頭の割でこの難病を発症すると言う統計があります。
ビックリですよね。ニャンコに慢性腎不全が多い原因の第1は、ご先祖様が元々乾燥地(エジプト、アラビア半島など中近東の砂漠地帯)に生息していたことから、他の動物に比べ腎臓の尿を作る組織=ネフロンの数が少ないという特徴があり、キャパシティーの少ない腎臓で目一杯がんばっていることにあるそうです。他に、正しくない食習慣(高蛋白質、高塩分のキャットフードなど)、排尿障害(FUS)の病歴、ウイルス感染の病歴等により、障害を受けた腎臓が、加齢とともにじわじわと機能を衰えさると考えられています。さらに、アレルギーなど免疫機能の異常も原因になると言われています。病気の特徴は?:慢性かつ進行性の病気です。完全には治り難い(一旦症状が落ち着いた様に見えることがあっても治ったわけではありません)ので、じっくりと腰を据えて病気に付き合うことが大切です。どんな症状?:病気の進行状況により症状は異なります。
初期には時々「食欲が低下する」、「熱が出て、だるそうな様子を示す」、「水を飲む量が増えたり減ったりして、それに応じて尿量が不安定になる」などの症状を示します。猫には良くあることですので、注意していても見逃してしまうことが多いです。病気が進行すると、初期症状に加えて「痩せてくる」、「目が落ち窪んだ顔貌」、「皮膚・被毛の張りがなくみすぼらしくなる」、「口内炎が出来て、口臭が強くなる」、「食べたものや胃液を吐く」、「ひどくのどが乾いて、飲水量が増える」、「尿量が増える」、反対に「尿が殆ど出なくなる」、「顔や体のむくみ」などの症状が目立ってきます。腎臓には赤血球の産生を促すホルモン(エリスロポエチン)を作る機能がありますので、腎不全の動物では「性質の悪い貧血」を合併します。末期には尿毒症症状としての「けいれん発作」、「意識がぼんやりする」などの神経症状が出てきます。また、腎臓組織の変化により、診察(触診)の時に、硬く、ごつごつと変形した腎臓を触れることもあります。診断はどうするの?:血液検査(腎機能検査)と尿検査によりおこないます。
蛋白質の老廃物である、窒素成分(BUN)やクレアチニンの血液中の値、尿蛋白の程度を中心に調べます。この検査により、病気の進行状況も確かめられます。
より詳しく調べるためには、腎臓の組織の一部を採り(バイオプシー)、病理組織検査を行います。  

治療方法は?:  

① 食餌療法:食餌療法がこの病気の治療の基本です。初期の段階から、低塩分、低蛋白質の腎臓疾患用の処方食を続けることにより、病気の進行を遅らせることが可能です。
② 食餌療法以外の家庭でのケア:特別なものはありません。何時でもきれいな水が飲めるようにしておくこと、温かい(涼しい)場所におき、風邪をひかさない様に気をつけることなどの一般的なケアは経過を大きく左右します。
③ トイレ:トイレをいつも清潔に保ち、排尿・排便を我慢させないことも重要です。
④ 薬物療法:薬物療法は食餌療法で充分な効果が得られない場合や、病気が進行してしまったときに使います。脱水症状に対する補液(点滴)、尿毒症症状の原因になる老廃物(残余窒素)を腸管で吸着し、大便に出させる飲み薬、ビタミン剤、感染を合併している猫には抗生物質も用います。一部(約30%)の猫では副腎皮質ステロイド剤がとても良く効きますので、一度は副腎皮質ステロイド剤を使って、反応を見ます。
⑤ 透析療法:猫では腹膜透析と言う方法を行います。透析を行った後は、症状の軽快が得られます。
⑥ 腎臓移植:最近になって動物でも腎臓移植手術の例数が増えてきて、治療成績も安定してきました。大学病院での手術になり、費用も決して少なくありませんが、ご希望がありましたら、適切な大学病院を紹介いたします。予後(症状の経過見通し)は?:残念ですが、この病気は良くなったり悪くなったりを繰り返しつつ、進行していきます。以上、ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。

犬種と、なりやすい病気について:保険に入っちゃおうランキング

最近は、ペットの保険が随分普及してきて、不意の病気や交通事故などに際し、飼い主の皆様と私たち獣医師の双方にとり有難い味方になってくれる場合が多いですよね。
保険料は基本的に体の大きさにより設定され(大きいワンコほど保険料は高い)、犬種による特性はそれほど重要視されていないように見受けられます。
でも、それぞれの犬種には、様々な要因によりなり易い病気があり、したがって保険の有利さにも違いがあります。近藤ペットクリニックが独断と偏見により作った保険に入っちゃおうランキングを以下のとおり発表します。
ご参考にしてください。  

では、保険に入っちゃおうランキング、堂々の発表です!!  

第1位:シーズー  
 皮膚疾患、外耳炎、眼のトラブル、肥満に伴う疾患が特に多い犬種です。
第2位:コッカスパニエル  
 皮膚疾患、外耳炎、眼のトラブル。
第3位:リトリバー(ゴールデンなど)種
 股関節疾患、皮膚疾患、腫瘍。 第4位:ダックスフンド  椎間板症、膝関節脱臼、てんかん、皮膚疾患など。
第5位:チワワ
 水頭症、膝蓋骨脱臼、眼のトラブル、僧帽弁閉鎖不全など。  

以上のランキングの根拠、病気になりやすい因子は以下のとおりです。  

1. 体型に基づく要因(解剖学的要因)
① 目が大きくとび出ている→角膜炎、結膜炎、緑内障:パグ、シーズー、コッカスパニエル、フレンチブル、チワワなど
② 下まぶたがめくれている→結膜炎(チェリーアイ):ブラッドハウンド、バセットハウンドなど
③ 耳が垂れている→外耳炎:コッカスパニエル、ダックス、ビーグル、シーズー、プードルなど
④ 胴長で短足→椎間板症(ヘルニア):ダックス、コーギー、シーズー、スコティッシュテリアなど
⑤ 扁平な頭部→気道狭窄、気管虚脱:パグ、ブルドック、シーズー、フレンチブルなど
⑥ 扁平な頭部+狭小な骨盤→難産:ブルドック、フレンチブル、チワワなど  

2. 遺伝要因  

① 股関節形成に関わる遺伝子→股関節形成不全:リトリバー種、コーギーなど
② 膝関節形成に係る遺伝子→習慣性膝蓋骨脱臼:チワワ、ダックス、ポメラニアン、マルチーズ、プードル、ヨーキーなど
③ 頭蓋骨形成に係る遺伝子大泉門開放、水頭症:チワワ
④ てんかん形質→本態性てんかん:ビーグル、ダックス、プードル、シェルティーなど  

3. いわゆる体質  

① 肥満体質→脊椎・股関節・膝関節疾患、糖尿病:ダックスト、コーギー、シーズー、シェルティー、パグ
② アトピー、アレルギー、脂漏体質→皮膚炎、外耳炎:シーズー、コッカスパニエル、柴犬、ダックス、シェルティー、ホワイトテリア  

4. 気質に係る要因  

① ハイテンション気質→交通事故に遭いやすい、迷子になりやすい:ボーダーコリー、コーギー、フレンチブルなど

5. その他、複数の要因の関与  

① 循環器系→僧帽弁閉鎖不全症:キャベリア、マルチーズ、ポメラニアン、チワワなど
② 腫瘍→リンパ肉腫など:リトリバー種以上の内容には、科学的裏付けの不足など、異論、反論、Objectionは多多あることとは存じます。
でも、長年ワンコの病気を診続けて来た開業獣医の経験も侮れませんよ。

ほっとかないで!! 停留睾丸にご用心

人間の男の赤ちゃんでは、睾丸が陰嚢に収まった状態で生まれて来るのが普通ですよね。
ところが犬の場合、誕生時には睾丸はおなか(腹腔)の中にあるのです。誕生後に、それが鼠径(そけい)管を通って段々と下りて来て、通常、生後1カ月程度で陰嚢の中に収まります。
たまに途中停車してしまい、陰嚢に入らないことがあり、この状態を停留睾丸と呼びます。「病気」ではありませんが、問題が全くないわけではなく、処置を施したほうが良いものです。どうやって調べるの?:
生後1カ月を過ぎたオス犬の陰嚢を外から触ると、中にクリクリしたものが入っているのが分かります。このクリクリが睾丸ですが、停留睾丸の場合は、陰嚢を触っても、中には何も入っていません。片側だけのこともあれば、両方とも入っていない場合もあります。どこに「停留」してしまっているの?:
当院で手術した24例の集計では、おなか(腹腔)の中に停留していたのが11例(46%)、おなかからはでたものの、陰嚢まで移動できずに鼠径部に停留してしまっているものが13例(54%)です。待っていても出て来ないの?:
3ヶ月を過ぎても下りて来ない場合、その後に降りてくる可能性は1%以下との統計があります。私自身は3ヶ月を過ぎて下りて来たCaseは1例も経験していません。放って置くとどうなるの?:
直ちに重大な問題が出る訳ではありません。しかし、睾丸組織は、低い温度でなければ正常に発育できないと言う特徴があります。 大切な睾丸が陰嚢と言う無防備な腹腔の外に存在するのは、そこの温度が低いからです。
ですから、腹腔内や鼠径部に停留している睾丸は高温の影響を受け、成熟することなく、却って萎縮していきます。 また、最大の問題点は将来、腫瘍(癌)化するCaseが非常に多いこと(正常の13.4倍多いと言う統計がありますが、経験的にはもっと高いと思います)です。しかも、殆どが悪性のものです。
ちなみに、当院で経験した停留睾丸による睾丸癌の症例は2006年8月現在で7例あり、そのうち1例(プードル種)は腹腔内に小玉スイカ程に増殖した睾丸癌(セミノーマ)が存在し、摘出に大変苦労しました。  

生殖能力は?:
片方が正常な位置にあれば、生殖可能です。
但し、停留睾丸は高い頻度で遺伝すると考えられていますので、子孫を残さないことが基本です。どんな犬種で多いのか?:内外の文献を調べてみましたが、停留睾丸を起こしやすい犬種は認められていないようです。停留睾丸にならない方法(予防)は?:
停留睾丸のワンコは子供を作らない、停留睾丸のワンコを産んだことのある母犬や父犬を繁殖に用いないルールを守ること以外、予防法はありません。  

治療はどうするの?:
以前は男性ホルモンの投与で治療することが試みられていましたが、効果は殆どありません。
外科的に切除(去勢)する手術が薦められます。  

① 睾丸が腹腔内に停留している場合:皮膚・腹部筋肉を切開し、停留している睾丸を腹腔内から引き出し、切除する去勢手術を行います。
② 睾丸が鼠径部に停留している場合:その部分の皮膚を切開し、停留している睾丸を切除する去勢手術を行います。
まとめ:
停留睾丸を持つワンコは放置しないで、去勢手術を受けさせてください。  

それにより、  

・ 将来の発がんを未然に防げますし
次の効果も副次的に期待できるからです。
・ 性質が穏やかに、おとなしくなる
・ 無駄吠えが減る
・ 発情など生殖に伴う煩わしさがなくなる
・ 排尿管理がし易くなる(マーキングをしなくなる)  


ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。

男性専科!! ワンコの包皮炎にご用心

ワンコ君のペニスの先やペニスの先の毛に、灰白色のネバネバしたものが付着していませんか?
このネバネバは、性腺、前立腺などの分泌液がペニスを通って出てきて、ペニスとペニスを覆う包皮の間に溜まったもので、それが毛に付着した状態なのです。
ネバネバが透明で少量であれば、生理範囲であり問題ありません。でも、犬のペニスは下腹部にあり、地面や床などの雑菌に接する機会が多い上に、尿の残りのしずくが留まりやすく、さらに、包皮内、亀頭周囲は粘膜組織であり適当な湿度も十分で細菌の繁殖にはぴったりの条件が整っています。
ですから、包皮は感染を受けやすく、黄緑がかった膿を出すようになりこの症状を包皮炎と呼びます。
包皮炎に関与する菌は、特別なものではなく、ありふれたブドウ球菌や大腸菌、それに真菌(カビ)などの、いわゆる常在菌がほとんどです。
包皮炎それ自体は特に危険な病気ではありませんが、  

① 動物にとっても、飼い主にとっても不潔・不快。
② 包皮炎→尿道炎→膀胱炎→腎盂腎炎と進展する場合がある。
③ 付近の皮膚(内股など)に湿疹を誘発する場合がある
④ 治り難く、一度治っても、再燃しやすい
などから、あなどり難いものです。包皮炎になりやすい要因は?
① 性腺の分泌活動が盛んな若いワンコ
② 室外で飼われていて、ペニスが土埃などで汚れやすいワンコ
③ 足が短く、地面とペニスの先が近いワンコ
④ 膀胱炎など尿路感染症を有するワンコ
があげられます。症状は?
① ペニスの先やペニスの先の毛に黄緑がかった膿状の分泌物(ネバネバ)がつく
② 付近の皮膚炎(必発ではない)
③ 敷物や人間の洋服などにも、ネバネバがつき、特有の臭気
④ 自分のペニスの先を頻繁になめる
⑤ 局所から出血(炎症がひどい場合)
などです。 予防法・治療法は?
① お散歩から帰ったら(排尿後)局所を、ぬるま湯で薄めた薬用シャンプーで拭い洗いする
② 足の短いワンコは、ペニスの先の毛を短めの「<型」にカット
③ 抗生物質含有の眼軟膏(刺激が少ない)を包皮内に注入
④ 膀胱炎などの尿路感染症を有する場合には、それを治療する
⑤ 去勢手術(性腺からの分泌液を減らす)  

などで対応します。

コツはとにかく「辛抱強く続けること」に集約されます

ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。

ネコ引っ掻き病にご用心(し過ぎないで)!!

「たけしの本当は怖い家庭の医学」でネコ引っ掻き病が取り上げられましたね。
扱いがややセンセーショナルであったこともあり、皆様には、ご心配のことと存じます。 でも、皆様のようにニャンコをきちんと飼育していただいているご家庭では、決して「怖い」ことはありません。
ネコ引っ掻き病の全体像をご紹介し、ご理解を深めたいと思いこの文書を作成しました。どんな病気か?:ネコからうつる人間の病気です。
ネコに引っ掻かれたり、噛まれたりした人間が、発熱などの症状を示すことがあることは、古くから知られていました。
感染症らしいことは見当が付けられていましたが、病原体はごく最近までわかりませんでした。
1992年にバルトネラ・ヘンセレという細菌が原因である事が突き止められました。どんな症状?:症状は主にリンパ節炎で、ネコに引っ掻かれた後10日頃から傷が赤くはれ、手の傷なら腋窩(脇の下)リンパ節が、足の傷なら鼠径(足の付け根)リンパ節が腫れ上がり、時には鶏の卵くらいになります。微熱が続き、全身倦怠、関節痛、吐き気等があらわれる事もあります。危険な病気なの?治療法は?:普通(健康な人の場合)は自然に治ることが多いです。しかし、エイズの患者さんやがんの患者さん、あるいは体力の落ちているお年寄りでは麻痺や脊髄障害などの重大な症状を引き起こす例も報告されていますので、注意をしていただきたいのです。治療には抗生物質が用いられ、大変よく効きます。ネコはどんな症状を起こすの?:この菌はネコに対しては病原性が低く、ネコには症状は出ません。どのようにして媒介されるの?:バルトネラ菌はもともとネコノミがもっています。
ネコノミの吸血によりネコにバルトネラ菌が感染し、そのネコに引っ掻かれたり、咬まれたりすることにより人に感染します。
日本では、平均すると約1割のネコがバルトネラ菌を保菌しています。
地域別では北海道など北国のネコの保菌率は低く、季節別ではネコノミの活動性が高まる夏に高く、ネコの年齢別では1歳未満の幼ネコが高く、ネコの性別ではオスが高い傾向があります。
なお、ネコノミがヒトを刺した時にもヒトへ感染することがあるとされています。患者数は?:日本では過去、約600例の患者が報告されています。診断方法は?:この病気にかかっているかどうかの診断は主に血清学的検査でなされます。バルトネラに対する抗体価を蛍光抗体法により測定します。予防のポイントは?:  

* 毎月のノミ駆除 これが全てと言って良いほどです
* 室内飼い
* 雄ネコの場合去勢手術を済ませる
* 爪を短く切っておくこと
* 食べ物を口移しで与えない  

等に心がけて頂くことが予防のポイントです。
また、ネコに引っ掻かれたり、咬まれた時は傷口を流水でよく洗い、消毒(オキシフルやマキロンで可)することも大切です。おわりに:ネコの居る生活は私たちに潤いを与えてくれる楽しいものですが、人獣共通感染症についての配慮は必要です。
そして、この病気に関しては飼い主さんが防ぐことが可能です。
「ネコをノミから守ってあげること」これが人間の健康を守ることにも繋がるのです。ご不明な点がありましたら何なりとご質問ください。!

愛犬家の皆様に 乳腺腫(乳がん)にご用心!!

「乳腺腫(乳がん)?そんな恐ろしい病気のことなど聞きたくないよ!!!!」とおっしゃるかもしれませんね。 

実際にはさほど深刻な内容ではありませんのでお気楽に読んでみてください。

イヌの乳腺腫の特徴(人間との比較)
犬は乳腺に腫瘍ができ易い動物です。
避妊手術をしないで8歳まで生きると、30-40%が乳腺腫になると言う調査結果があります。ホントびっくりですね。

犬の乳腺腫の特徴としては、性ホルモンの存在下で発生、増殖(転移、再発)が活発になることがあげられ、この性質を性ホルモン依存性と言います。
ですから、避妊手術を行い、性ホルモンの分泌をストップした犬では乳腺種の発生率は0.05%まで激減するのです。これまたびっくり。

性ホルモン依存性は人間の乳癌でも見られますが、ワンコほど顕著ではありません。

ワンコの場合、悪性と良性の区別では50%が悪性(腺がんなどのいわゆる乳癌)で、50%が良性であると言われています。ある程度大きくなった腫瘍では、視診、触診することでおおよそ悪性、良性の区別がつきますが、正確には摘出した組織を病理検査して調べる必要があります。 悪性の確率は人間の場合よりずっと低いことがお分かりいただけると思います。

症状は?
初期のうちは、食欲も元気も普段どおりで、抱っこした時やお腹を撫でている時に乳腺にしこりがあるのに気付く場合が多いです。
病気が進むと、しこりは硬くなり、ごつごつした感じで、表面の皮膚に静脈が走ってきます。時にはピンポン球以上にまで大きくなり、皮膚が潰瘍を起こし、じくじくと出血することもあり、膿んでいやなにおいがすることもあります。 

なお、見た目には元気そうでも、実際は貧血状態になっていることが多いです。 

治療方法は? 

しこりに気付いたら、出来るだけ早く摘出手術を受けることをお勧めします。早いほど切除する範囲は狭く、手術は軽く済むからです。
悪性の乳がんはもちろん、良性の乳腺腫でも手術することをお勧めします。 例外は老齢の場合や他の病気を持っていて、麻酔・手術に大きな危険を伴うことが予想される場合です。手術の仕方(術式)は個々に状況を観察して決めますが、大別して

① 片側の乳腺(5個)を全て(腫瘍がない乳腺も)皮膚とともに切除し、同時に卵巣と子宮を全摘し、数ヶ月後に反対側の乳腺を全て取る方法。これが基本術式です。
② 腫瘍のある乳腺のみを切除し、卵巣と子宮も全摘する方法。
③ 腫瘍のある乳腺のみを切除する方法(早期で良性のものと判断できる場合か、体が弱っていて①、②が出来ない時に選択されます)。  

のいずれかの方法で行います。乳腺だけでなく、子宮・卵巣も取るのは、性ホルモンの分泌を抑え、再発や転移を抑制するためで、極めて効果的です。「性ホルモン依存性」の特徴を逆手に取る訳です。
人間の乳がんでも、昔は子宮・卵巣を全摘する方法が行われていたそうですが、抵抗感が強いようで、今は女性ホルモン拮抗薬(アロマターゼ阻害薬)を使う方法が一般的ですね。

手術のリスク、予後(症状の経過予測)について

当院では過去に80件を超す乳腺腫摘出手術を実施していますが、この手術による死亡などの事故・過誤は今まで1件もありません。
また、大変幸運なのだと思いますが、子宮・卵巣も摘出する術式を用いたCaseでは、再発や転移を生じた例はありません。
なお、手術以外の治療は、抗癌剤の投与や放射線療法がありますが、大学病院での実施が望ましいと思います。ご希望でしたら、適当な大学病院を責任もって紹介いたします。

予防方法について

メスのわんこの場合、子供をつくる計画がない場合、性ホルモンの分泌が活発になる前(最初の生理の前)に不妊手術を済ませておくことは、ワンコの乳腺腫の極めて効果的な予防方法ですので、ご検討下さい。

また、乳腺腫は眼に見える、触ることが出来る腫瘍です。
飼い主さんご自身で早期発見が可能ですので、時々チェック(グリグリの有無)してください。
ご不明な点がありましたら何なりとご質問ください。

お尻だって洗って欲しい:肛門腺にご用心!!

ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。  

ワンコ・ニャンコが床・道路などにお尻をこすり付ける、変な動作をしませんか?
これは、まず間違いなく肛門腺(肛門嚢)に分泌液が溜まって炎症が生じ、気持が悪い(痛かゆい)状態なのです。
専門的には肛門腺炎と呼びます。細菌が入り、肛門腺や肛門周囲の膿瘍にまで進展してしまうこともあります。 一寸した注意でケア・予防可能なものですので、ぜひご一読ください。肛門腺って何?:肛門腺はイタチやスカンク、フェレットにある袋状の臭腺で、肛門の出口付近両側(時計の8時20分の位置)にあります。 良く「イタチの最後っぺ」や「スカンクが毒ガスを発射」と言いますが、本当は肛門腺から刺激性の臭い分泌液を出して敵から身を守っているのです。なぜ肛門腺炎になるの?:ワンコ、ニャンコの場合、肛門腺は退化しつつあり、名残の組織と言っても過言ではないですが、それなりに分泌活動をしています。
普通、排便の時にこの分泌液も同時に体外に排出されるので問題になりませんが、小さな犬種や室内犬では排出する力が弱くなっていて、液が肛門腺(嚢)の中に溜まってしまい、場所が場所だけに細菌感染(炎症)してしまうのです。どんな症状?:お尻を床などに擦り付けて、「いざり」の様に滑らせる動作が最も特徴的な症状です。要するに痒いのですが、人間のように手で掻くことが出来ないので、このような動作をします。ニャンコでは自分で肛門周囲を舐める動作も良く見られます。また、炎症が酷くなると排便時に痛がって、キャンキャン鳴いたり、排便を我慢してしまうこともあります。
炎症が強くなると肛門腺の出口が狭くなり、益々溜まりやすくなる悪循環に陥り、袋がパンクし、皮膚表面に排液・排膿することさえあります。予防は出来るの?:時々(シャンプーの時など)、肛門の両脇を絞るように押してあげて下さい。黄緑がかった薄茶色の分泌液が出て来たら、一件落着です。
絞る時のちから加減など、要領が分からない時はご相談ください。ワンコ、ニャンコの違いは?:ワンコの肛門腺分泌物は比較的粘調度の低いサラっとした液体ですが、ニャンコのそれはクリーム状でツブツブマスタードのような性状です。悪化した時の治療方法は?:排便時に苦痛を訴えたり、肛門の周辺が腫れたりした場合は、是非ご来院下さい。抗生物質の注射や外用剤塗布、場合によっては小切開、肛門腺の摘出などの処置を施します。その他の注意:以上の症状の原因は殆どが、肛門腺炎ですが、稀には会陰ヘルニアや大腸、肛門腺の腫瘍の場合もあります。最後に:毎日のお散歩、排泄の後に足やお尻の周りをサッと洗う習慣をつけることは、信頼関係を増す効果があります。
なぜなら、動物にとって、お尻付近は「急所」であり、そこを飼い主の手に委ねることは、飼い主への服従と信頼を意味するからです。
また、お尻の周りの毛を大きめに刈り上げて置くことは毎日を清潔に過ごす「こつ」です。ワンコもニャンコも「人間は良いよな!!ウオッシュレットがあってさ。ペットのお尻だって洗って欲しい!!」と思っているのです。

糖尿病にご用心!!

ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。
おしっこにアリが群がる様子を見て、糖尿病の存在を指摘したのはギリシャ時代の医者ヒポクラテスでしたよね?
この出来過ぎたエピソードは一種の寓話・作り話だろうと半信半疑でしたが実際にあるんです。  

先日、わが愛犬コーギーのこーちゃんの散歩途中、電柱に残った半乾きのおしっこに無数のアリが集まっているのを見つけました。
おしっこの主がワンコであり、糖尿病である可能性は極めて高いと思われます。人間の頻度と比べるとはるかに少ないのですが、ワンコにもニャンコにも糖尿病は普通にあります。
糖尿病は原因が解明されておらず、したがって「予防」は出来ないので「予防のコーナー」にはそぐわないとも思いましたが、早期発見・早期治療は糖尿病の場合とても重要ですので、ご一読ください。・ ワンコ、ニャンコの糖尿病の原因:膵臓のβ細胞がダメージを受けてインスリンを十分に分泌できなくなった状態が根本にあり、そのために血液、組織中にブドウ糖が異常に溜まってしまう病気です。
β細胞がダメージを受ける、そもそもの原因には遺伝、アレルギー、ウイルス感染など諸説ありますがイヌネコの場合、充分に解明されていません。
しかし、肥満と加齢が糖尿病の誘引になることは人間の場合でも動物でも同じです。・ 症状は?:水を沢山飲んで尿を沢山すること、食餌の量と関係なく急にやせてくること、だるそうに息づかいが荒くなること等が特徴的です。・ 糖尿病の合併症:血管の障害、腎臓の障害、神経の障害を伴う場合が非常に多く、3大合併症といわれます。血管の障害により足などが腐る(壊疽)こと、腎臓の障害により腎不全に至ること、神経(+血管)の障害により網膜症に至り眼が見えなくなるなどが起こり得ます。また、感染に弱くなる特徴もあります。・ 糖尿病の分類:若年時に発症し、インスリン分泌がほとんど見られなくなるタイプ(Ⅰ型=インスリン依存型)と肥満などが引き金になり、インスリン抵抗性が高まるタイプ(Ⅱ型=インスリン非依存型)に分類されます。ワンコ、ニャンコの場合もこの分類は有効だとされます。・ ワンコ・ニャンコの糖尿病の比較:米国の調査によると、ワンコの発生頻度はニャンコの4倍多いとされています。・ 糖尿病の治療:糖尿病はごく一部の例外を除き、治癒することはありませんので、食事療法と薬物療法をほぼ一生継続することになります。  

① 食餌療法:食餌療法(カロリー制限)が糖尿病の治療の基本です。以前は適切な食餌を作るのは大変でしたが、今は糖尿病の処方食が市販されています。
② 薬物療法:薬物療法は血糖値を100-150mg/dl程度に保つ量のインスリンを毎日皮下注射することです。ニャンコの場合、経口糖尿病薬も使います。・予後(将来予測)について:上述のとおり、糖尿病は完全に治すことは出来ません。食餌療法をしっかり行い、定期的に受診(検査)し、決められた量のインスリンを注射して頂くと、何年でも元気でいられます。 N 家のニャンコのシロ君は、初診時400mg/dlを超す血糖値を示したⅠ型糖尿病ですが、飼い主さんがきちんと食餌療法とインスリン注射を続けて下さっていて(下の写真はNさんが注射をしているところです)、血糖コントロール良好で、闘病生活2年の今日も元気に過ごしています。優等生。ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。

愛犬家の皆様に 熱中症にご用心!!

ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。 でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。
まだ梅雨も明けていないのに、熱中症ワンコが発生してしまいました。
幸い発見が早く、大事に至らなくて済ましたが、危ないところでした。これからの夏本番に向け、ワンコたちの強敵、熱中症についてご説明したいと思います。「熱中症です」と、お話すると多くの飼い主さんは一様に「この程度の気温・暑さで?」、「家の中の涼しいところにいるようにしていたのに?」などと疑問を口にされます。
でも、日本の夏はワンコには本当に危険。熱中症になり易いのです。
その訳は、
・ 犬はそもそも寒冷地出身
・ 犬は汗腺がないので汗をかけない
・ 犬は呼吸により気化熱を放散し体温を下げるが、湿度が高いと下がりにくい
などの特性があるからです。熱射病になりやすい犬・誘因・飼育環境
・ 犬種:シベリアンハスキーなど北方犬種、大型犬、短頭種
・ 心臓疾患を有する犬:体温上昇防止には肺の循環血液量を確保することが大切ですが、心臓疾患を持つ犬はこの調節機能が上手く働きません。
・ 肥満犬:説明の必要もないくらい、ご理解いただけると思います。熱射病になると犬の体の中はどう変化するのか?
体温が上昇し、脱水状態になると、それまで拡張していた血管が収縮します。そして、筋肉の痙攣がおきます。そのため、ますます体温の上昇を引き起こし、遂には全身の体細胞を構成するタンパク質が変質し始めます。
特に、骨格筋にその変化が強く出て、いわゆる「横紋筋融解症」に類似した状態になります。イメージとしては生卵のタンパク質が熱によって変化してゆで卵になってしまう感じです。そして、タンパク質が変質してしまった細胞は、急速に壊死していきます。 血管の収縮により血液の循環が損なわれ、心臓や腎臓などの内臓や脳の細胞もダメージを受けてしまいます。
さらに、壊死した筋肉からミオグロビンという蛋白質が流れ出し、腎臓に溜まってしまい腎臓に取り返しのつかない障害を起こします。 熱中症は命の危険がある病気・後遺症を残す可能性のある病気だということを、忘れないでください。症状は?
・ 初期症状:激しくあえぐような呼吸をして、大量のよだれが出ます。体温(直腸体温)は40℃を超え、脈拍が速くなり、耳の内側や口の中の粘膜が充血します。
・ そのまま放置すると:嘔吐や下痢(時に血液混じり)、けいれんを起こすことがあります。
・ さらに重症になると:脈拍が弱くなり、呼吸不全を起こし、チアノーゼを起こして意識が薄れるなどのショック症状を引き起こし、死に至ります。犬は、たとえ体調が悪くなってもギリギリまで我慢してしまう傾向があり、飼い主さんが異変に気付いた時には手遅れというケースが多くなります。 また、症状はかならずしも順番通りに進行するわけではありません。 嘔吐や下痢、けいれんは意識を失ってから、あるいは意識を失うと同時に起こることもありますし、まったく起こさないこともあります。 尿量が減りほとんどおしっこをしなくなりますが、数日後にコーラのような色のおしっこが出ることもあります。尿の中にミオグロビンという筋肉の成分が排泄されるためです。こうなると腎機能障害の後遺症が残ってしまう場合が多いです。
夏場、ワンコがうずくまって、ぐったりしていたり、元気に遊んでいたのにいきなり倒れてしまったような時には、まず熱中症を疑った方が良いでしょう。診断はどうするの?
以上の症状の存在と体温が40℃を超えていたら熱射病、熱中症と診断し、治療を開始します。治療方法は?
①応急手当:熱中症と診断されたら、1分1秒を惜しんで体温を下げなくてはいけません。  

当院では
・ 濡らしたタオルを体にかける
・ 犬の体に水をかける
・ 血管が皮膚の近くを通っている脇の下や内股、首周りにアイスノンを置く。
・ 氷水で浣腸し、体の中から急速に冷やす
等の方法を組み合わせて用います。  

②水分補給:体温を下げることと平行して水分補給を行います。意識があり、水を欲しがるようなら、すぐに冷水を飲ませます。さらにリンゲル液などの点滴注射を行い、失われた水分・電解質を補給し循環血液量と尿量を確保します。
③その他の治療:症状にあわせて強心利尿剤、ビタミン剤、副腎皮質ホルモン剤を使います。ケイレンが治まらない時には睡眠薬を使うこともあります。ショック症状を起こして呼吸や脈拍が止まってしまった場合には、人工呼吸や心臓マッサージなどを行います。予後(症状の経過)は?
熱中症の予後は高体温・脱水症状がどれ位続いたかで、全く異なります。
早期に気付き、適切に処置された場合には、後遺症を残すことなく3-4日で回復します。一方、高体温が長時間続き、筋肉など細胞障害が生じた場合には危険な状態が1週間以上数週間続き、予断を許さないことになります。予防方法は?
・ 居所に留意、直射日光を遮る木陰など
・ 車中へおいておかない
・ バリカンでサッパリ、サマーカットに
・ 日中のお散歩、運動は避ける
・ 何時でも水が飲めるように
・ 太らせないようにご不明な点がありましたら何なりとご質問ください。

飼い主の皆様に 除草剤にご用心!!

関東地方も梅雨入りし、木々の緑が深まっていますね。
この時期に、毎年のように発生するのがワンコ、ニャンコの除草剤による中毒です。
ここ、みなみ台周辺は公団により区画整理された新興住宅地なので、まだまだ空き地がたくさん残っています。
殆どの地主さんは、小まめに草刈をしておられますが、場所によっては除草剤を散布して済ませているところもあります。
雑草の勢いが盛んになる今頃が、除草剤の散布が盛んになる時期と言うわけで、中毒の発生も多くなる道理です。ひとくちに除草剤と言っても色々な種類があり、ヒトを含む動物に対し安全性が高いもの、強い毒性を示すものと様々です。
その中で有機ヒ素系、フェノール系の除草剤は毒性が強く、口に入った場合はもちろん、皮膚からの吸収も行われるので、散布されたところを歩いた動物が、自分の足の裏や体表についたものをなめることによっても、皮膚から直接吸収することによっても中毒をおこす可能性があります。宮ノ前第二公園のすぐ近くの空き地の枯れ方は、除草剤特有のものですので、ワンコのお散歩のときはもちろん人間の子供にとっても危険です。地主さん無神経。せめて、「除草剤散布につき立ち入り禁止」等の貼り紙をお願いしたいですね。除草剤中毒の症状  

・ 嘔吐、腹痛、下痢(血便)などの消化器症状
・ 脱水症状 ・ けいれん、意識障害などの神経症状
・ 呼吸
・循環不全 などが見られ、最悪の場合死亡する場合もあります。治療方法
・ 除草剤の種類に応じた解毒剤を投与する
・ 輸液、強肝薬、利尿薬の投与(対症療法)  

を行います。
予防方法
不自然な草の枯れ方をしたところに立ち入らないことに尽きます。
ワンコの場合はお散歩経路を確認すること。
ニャンコの場合は部屋飼いする以外お手上げですが、嘔吐など異常が見られたら早めに来院いただくことで重篤化を防止できます。ご不明な点がありましたら何なりとご質問ください。

愛犬家の皆様に 食いしん坊にご用心!!

ペットには、予想外のトラブルが起こることがあります。
でも、飼い主さんが気をつけてあげることで防げることがほとんどです。 このページでは、大切な家族であるペットを守るための情報をお届けいたします。  

立て続けに2件、異物を誤嚥つまり飲み込んでしまう事故が発生しました。
1件(仔犬)は発見が早く、人工的に嘔吐を起こさせる処置で飲み込んだものを吐き出したので、大事に至らなくて済ました。
飲み込んだものはビニール紐のようなものでした。
もう1件(成犬)は、飲み込んだ現場を確認できたわけではなく、嘔吐症状が強いので、検査のためにレントゲンを撮って判明したものです。
レントゲン写真からでは、飲み込んだものが何であるかまでは分かりませんでしたが、嘔吐症状、大きさ、レントゲン写真上の存在位置から緊急手術が必要と判断し、開腹手術をして取り出すことになりました。
お腹を開けると、十二指腸の部分が完全に詰まっていて瘤のように腫れ、ひどく充血していました。
十二指腸を切開し、出て来たもの(飲み込んだもの)は消しゴムです。 消しゴムは変質して石のようにカチカチになっていましたので、飲み込んでから長期(数ヶ月あるいは数年以上)にわたり胃内に存在したものと思われます。消化することも、吐くことも出来ないまま胃内に留まり、その後、何らかのきっかけで胃から腸へ運ばれて、十二指腸の部分で栓塞し、腸管組織に決定的なダメージを与える寸前だったのです。十二指腸には胆汁・膵液を分泌する管が開口していますので、デリケートな重要な場所です。 結果的には、無事回復しましたが、本当に危ないところでした。以上の他にも、焼き鳥を串ごと丸呑みし、竹串が胃壁を突き破ったケース、硬貨、ボタン、カーペットの端、ぬいぐるみの中身(スポンジ)、小石、桃の種、縫い針(咽喉の奥に刺さっていました)、などなど、誤嚥事故で来院するワンコは毎年発生しています。好奇心いっぱいで手当たり次第、何でも口に入れたがる子犬、食いしん坊ワンコの飼い主の皆様には、以下のことをぜひ徹底ください。

① 部屋の中、庭の中などワンコのいるところには、危険物を置かない。
② 食事は必ず食器から摂る様、しつけの徹底。
③ 誤嚥の可能性があったら、早めに来院(早ければ、吐かせることも可能です)。 
 

ご不明な点がありましたら何なりとご質問ください。

仔犬・仔猫を飼われる飼い主さん 糞線虫にご用心!!

ペットショップなどから、新しい家族として迎え入れられた仔犬や仔猫さん。

到着早々、下痢や血便に悩まされていませんか?
そんな仔犬の下痢や血便の原因は様々。
新しい環境へのストレスも原因になり得ますし、新しいフードが合わないこともあるでしょう。
一時は根絶に近い状態だった寄生虫、糞線虫によるものが、最近になって増加傾向ですのでご用心!!

糞線虫ってどんな虫?:
ワンコやニャンコ、サルやヒトの消化管に寄生する寄生虫です。
大きさは、約2mmの細長い白色糸状の虫です。この虫は動物の腸に寄生して過ごす世代と、外界で発育・交尾する2つの世代があります。外界にいるときは雄と雌があるのですが、動物の腸に寄生するのは雌だけです。
虫卵は楕円形、無色で殻の薄い卵で、糞に出てくる時にはすでに中で幼虫になっています。糞線虫が寄生し、下痢など様々な症状を示すのが糞線虫症です。

どうやって感染するの?:
・この虫は腸の中で孵化します。そのため、糞の中にはすでに孵化した幼虫の形で出てきます。
・幼虫は体の外で成長・脱皮を繰り返して、第3段階(第3期子虫といいます)にまで成長したものが摂取されると感染します。
また、皮膚から経皮的に体内に侵入して寄生することもあります。寄生するのは雌だけです。
・雄・雌の糞線虫の交尾も体外でします。
・皮膚から侵入した虫は肺に向かい、そこから口、消化管と移動して寄生します。
犬の腸には雌しか棲んでいませんが、無性生殖を行い産卵・孵化します。

感染しやすい場所は?:
仔犬や仔猫が閉鎖密集集団として飼育される場所、つまりペットショップなどが感染源となる場合が多いです。
しかし、体に糞線虫の第3期子虫が入ってから、発症するまで(便中に幼虫を排泄)の期間はバラツキが大きいので、どこで感染したかを正確に特定することは困難です。

どんな症状?:
腸炎を起こし、下痢や血便をします。また、体内に入った幼虫が肺を通過するときには咳が見られます。抵抗力が低下することで、幼い動物ではまれに死亡してしまうこともあります。幼虫が皮膚から侵入した場合、そこの部分の皮膚が皮膚病を起こし、赤み、痒みなど示すことがあります。

診断はどうするの?:
新鮮な便を用いて顕微鏡検査にて幼虫を検出して診断します。

治療はどうするの?:
従来はベンゾサイアミン系薬剤が糞線駆虫薬として用いられてきましたが、副作用が強いため最近ではイベルメクチンと言う薬剤(フィラリアの予防にも用いられる)が使われます。

注意点は?:
・糞線虫は感染力が強く、人間にも寄生しますので、ウンチは直ぐに処理することが大切です。皮膚からも感染することがありますので、しばらくは使い捨てのゴム手袋で、処理するほうが良いと思います。
・使っていた毛布などは処分したほうが良いです。
・糞線虫の生活環の特性から、「繰り返し駆虫」が必要です。2週おきに3回(あと2回)は駆虫する必要があります。

ご不明の点は何なりとご質問ください。

ウンチの中の暴れん坊 鞭毛虫にご用心!!

便が水っぽくて、嫌な臭いがします!!
そんな症状を訴えて来院されるワンコやニャンコのウンチを顕微鏡で調べると、ごくごく小さく、無色透明で外形不明な物体がうごめいて見えることがあります。

顕微鏡の倍率を上げ、光源を絞り、暗い視野の下コントラストを高めてよく観察すると、三日月形や円形に形を変え、鞭の様な尻尾を振りながら、ウロウロと動き回る生き物であることが、かろうじて認められます。
これが、鞭毛虫。
下痢などの消化器症状の原因になる微生物です。

鞭毛虫ってどんな虫?:ワンコやニャンコ、サルやヒトの消化管に寄生する寄生虫です。
正確に言うと、動物性原虫で、Giardia属に分類されます。
大きさは、白血球2個分ぐらいで、もちろん肉眼では見えません。便を顕微鏡で調べると、下痢便の中をウロウロ泳ぎまわっているのが見えるので、分かります。それをメチレンブルーと言う色素で染めると下の写真のように見えます。
日本のワンコやニャンコの便に存在する鞭毛虫はまず間違いなくランブル鞭毛虫という種類です。

どうやって感染するの?:
・この虫は腸の中でシストと呼ばれる卵を多数産み、便とともに排泄されます。
・シストは大変丈夫で、3ヶ月程度は感染能力を持ち続けます。このシストで汚染された水や食べ物を摂取することにより感染します。
・経口的に摂取されたシストは胃を通過後に速やかに脱嚢して栄養型となり、十二指腸から小腸上部付近に定着し、感染が成立します。

どこで感染したのか?:体に鞭毛虫のシストが入ってから、発症するまでの期間はバラツキが大きいので、どこで感染したかを特定することは困難です。頻度としてはペットショップや親元で感染する場合が多いです。

どんな症状?:腸炎を起こし、下痢、吐き気、嘔吐、腹痛などの症状が出現し、下痢が長引くと衰弱、体重減少などの症状を引き起こします。
下痢は1日数回から20回以上と様々であり、多くは水様ないし泥状便です。血便になることもあります。

診断はどうするの?:新鮮な便を用いて顕微鏡検査にて動き回る虫体を検出して診断します。

治療はどうするの?:メトロニダゾールと言う薬剤(トリコモナスの治療薬)が使われます。

注意点は?:
・再燃、再感染の問題:鞭毛虫の生活環の特性から、再燃、再感染するケースがしばしば見られます。不完全駆虫による再燃を避けるため、徹底的な駆除が必要です。治療薬を完全に飲ませること。1週間後に再度検便すること必要があります。
・人間への感染の問題:鞭毛虫は感染力が強く、人間にも寄生しますので、ウンチは直ぐに処理することが大切です。また、これまで、使っていた毛布などは処分したほうが良いです。

以上、鞭毛虫症について可能な限り平易に、かつ詳しくご説明致しました。

ご不明の点は何なりとご質問ください。

ワンコの眼下がジクジクしませんか? 歯癭(しろう)にご用心!!

皆様の愛犬が、眼の下の皮膚が時々、炎症を起こしジクジクと漿液や膿が滲んで汚くなり、そのうちに、かさぶたができることを繰り返していませんか?

皮膚病と見誤われがちな症状ですが、歯に根本原因があることがあります。

決して発生頻度の高い病気ではありませんが、適切な治療を受ける機会を逸してしまっているワンコが存在しますので、この病気について、問題点、治療法などご説明します。ご参照下さい。

どんな病気か?:歯石などが原因になり、上の臼歯(ワンコにも臼歯はあります)が歯周病に陥り、歯の根元(歯根部)に細菌が侵入・繁殖して膿を持った状態になることがあります。
溜まった膿は出口を求めて、トンネルを作り、歯茎に開口し、その穴から膿が滲み出ていました。この状態を内歯癭と呼びます。
結局、この歯は抜歯せざるを得ませんでした。
他の歯についても、全体的に歯石の貯留と歯肉炎が進行していましたが、スケアリング処置で救うことができました。

今後の治療・ケアの方法:
当面の治療:1本の臼歯の抜歯を行い、ほかの全ての歯のスケアリングを行いましたので、感染予防のため今晩から3日間、抗生物質を服用させてください。服用方法はご説明します。

今後のケア:
歯茎と歯根部の治療の基本は、患部周辺を清潔に保つことです。
出来る範囲で結構ですので、ガーゼなどを指に巻いて歯茎をマッサージするように清拭してください。なるべく毎食後、不可能なら、寝る前に1回で結構ですのでお願いします。2-3ヶ月後に再度診察する必要があります。

結論:
まだ5歳半のロボ君ですので、これからのお手入れで丈夫な歯に戻ることが期待できます。過度に深刻にならないよう、逆に気を緩めると再び、歯石沈着・悪化することが予想されますので、気長にケア・治療を継続いただくことが何よりも大事だと考えます。

以上、ロボ 君の状況について可能な限り平易に、かつ詳しくご説明致しました。

ご不明の点は何なりとご質問ください。

飼い主の皆様 子宮蓄膿症にご用心!!

蓄膿症とは文字通り、膿が蓄えられる病気。
人間の場合、蓄膿症と言うと、鼻の奥の副鼻腔に膿が溜る病態の副鼻腔炎を表すことが多いですね。
人間同様、副鼻腔の蓄膿症がニャンコに多く、極めて慢性・治療抵抗性の経過をとります。

今回取り上げた、子宮蓄膿症はワンコに多い病気(なぜかニャンコでは稀、当院の経験はワンコの1/5以下、それも子宮内に溜まるものは膿ではなく、粘液が大部分で子宮水腫の場合が大部分)で、子宮の中で細菌が異常繁殖し、全体が膿んでしまう状態です。
子宮内膜炎の終着駅で、外科的処置を要すると考えてください。
当院で診ている婦人科系の病気としては、乳がんと並んで手術件数が多いものです。

原因は?誘因(なり易いワンコ)は?:直接の原因は子宮内膜の細菌感染です。
起炎菌の主体はBacteroides属などの嫌気性と大腸菌の混合感染である場合が多いとされています。
誘因としては、性ホルモン分泌のアンバランス(下垂体-卵巣系の機能異常)、尿道・膀胱炎など尿路感染症の既往、以前のお産の回復が不良なこと(特に、流産した胎児や胎盤の一部が排泄されずに残ってしまった時)があげられます。
年齢は6歳を超した成犬が圧倒的に多いです。

どんな症状?:
臨床的には嘔吐する、水をたくさん飲む、食欲がなくなる、熱が出て元気がなくなる等の症状が見られます。
また、お腹が腫れる(子宮が腫れた結果です)、陰部から汚い粘液のような物(おりもの)が排泄されると言う症状が見られます。陰部から大量に汚い物が出るケースでは却ってお腹の腫れは少ないことがあります。
おりものは子宮頸管が閉まっているCaseでは見られず、陰部を良く舐めるワンコでは見過ごされることもあります。
乳房が張ってきて、乳首がピンク色になり、乳汁が出ることもあります。妊娠と紛らわしい症状です。
お腹を触診すると、痛そうな様子を示し、可視粘膜の観察で貧血の存在(舌や唇や結膜が蒼白くなるなど)認めることが多いです。
治療が遅れると、全身に細菌毒素が回り、ショック症状を起こして死亡します。

診断方法は?:
症状を注意深く観察することと、レントゲン撮影、超音波検査、血液検査(白血球数の増加)、陰部からの「おりもの」の顕微鏡検査などを総合して診断します。
当院では子宮蓄膿症と診断し、開腹手術した症例は累計で優に200例を超えていますが、いわゆる誤診は1件も経験していません。

治療はどうするの?:
抗生物質の投与で症状が治まることもありますが、効果は一時的なものです。
根治手術が現実的に最良の治療方法です。
術式は全身麻酔のもとに開腹し、卵巣と子宮を摘出する、卵巣・子宮全摘術です。
摘出した子宮は、漿液、膿などの混合物で充満し、赤黒く腫れ上がり、正常の数十倍の大きさで妊娠子宮の様になっている場合が大部分です。

「診断」の項で記載しましたとおり、当院では過去に100件を超す手術例を経験していますが、この手術による死亡などの過誤は1件もありません。
しかし、あまりにも治療が遅れ、全身状態が不良の時は危険が伴いますし、麻酔の事故や予測不能な事態はいかなる手術においても100%は避けられないものであることをご理解頂きたくお願いいたします。

予後(症状の経過)は?:
手術した場合、ケースバイケースですが、概ね2週間位で回復します。

予防方法は?:
子供を産ませる予定がないワンコの場合、不妊手術を済ませておくことです。

ご不明な点がありましたら、何なりとご質問ください。

ワンコ・ニャンコも歯が命 歯石溜まりにご用心!!

「芸能人は歯が命」このCMが盛んに流されていたのは、いつ頃でしたでしょうか?
私に言わせると「一般人も歯が命」ですし、「ワンコもニャンコも歯が命」です。

という訳で、ワンコ、ニャンコのお口の中(歯)を観察してみましょう。
犬歯は、鋭く尖って細長い形をしていますし、奥歯(臼歯)でさえ、刃物のような鋭く切れ込みのある形をしているのにお気付きになるでしょう。

元々肉食獣である彼らの歯や口は、獲物である小動物を捕らえ、かみ殺し、切り裂いて嚥下(丸呑み)すると言う機能に特化していて、草食動物のように食べ物を擂り潰し、唾液酵素で消化したり、反芻したりと言う機能はありません。

野性の世界では、歯がだめになった時は、生存競争に敗れるときであり、即ち死を意味します。ですから、彼らの歯はきわめて頑丈に出来ています。

さらに、肉食獣は虫歯と無縁です。それは彼ら口の中がアルカリ性で虫歯菌が繁殖しにくい環境だからです。人間の場合は、食後、歯垢から発生した酸によって、PH5.4(これは歯のエナメル質を溶かしてしまう酸度です)以下になり虫歯を作りやすい状況になります。

以上のように、本質的に丈夫な歯を持っているワンコ、ニャンコですが、ペット(伴侶動物)として、人間の好みに合わせて姿かたちを変えていくに従い、パグの様に平坦な口吻の品種(歯並びが悪い)やチワワやポメのように顎骨が小さく先細りの品種(歯槽骨が貧弱)が出来てきて、ひ弱な歯の持ち主が現れるようになりました。

また、ペットフード中心の食は、歯垢・歯石の蓄積を促し、歯周炎を持つ動物たちが急激に増加してきています。

ペットフードは栄養学的には完全食ですが、成分にスターチやカゼインが含まれるため、食べかすが歯など口腔組織に付着しやすく、また細菌の栄養源にもなるため、歯垢・歯石が出来やすい、溜まりやすい欠点があります。

これらの要素から、近年、お口のトラブルを抱えるペットさんたちが急増しています。

ここまで読んでいただいて、もう一度、ペットのお口を観察してください。
①茶色い歯垢・歯石が溜まっていませんか?
②歯茎が赤く腫れていませんか?
③歯茎から出血しませんか?
④口臭はしませんか?

以上に該当する症状があったら、要注意です。

さらに、
⑤空腹なのに食べようとしない。
⑥食べにくそうな様子。
⑦口に入れても落としてしまう。
⑧歯のぐらつき。
⑨抜けてしまった歯の存在。

等が見られたら、病気が進行している可能性が高いです。

どんな病気か?
いわゆる歯周病である可能性が高いです。
文字どおり、歯の周囲の病気ですが、歯肉に限局した炎症を示す歯肉炎と、さらに、歯根をおおっているセメント質、そのまわりの歯根膜、歯槽骨にまで炎症がおよんでしまったものを歯周炎と呼び区別しています。

発生頻度は?
前述のように、この病気になりやすい環境が増えていて、3歳以上のワンコの80%がこの病気を持っているとの報告もあります。

原因は?
歯垢、歯石をそのまま放置しておくことが原因です。

進行するとどうなるの?
歯が根元から抜け落ちてしまいます。また、細菌が血液に侵入し、心臓弁膜症や腎炎の誘引になります。

なりやすいイヌ、ネコは?
どんなイヌ、ネコでもなりますが、歯並びの悪い短頭種のボストンテリア、シーズー、パグなどや、顎(歯槽骨)が小さく、歯と歯茎の間の溝が浅い小型犬(ポメ、ヨーキー、チワワなど)は特になりやすいです。

治療方法は?
麻酔下で、超音波スケーラーという器具により歯に付いた歯垢,歯石を取り除き、歯肉も中をきれいに洗浄して、抗生物質の軟膏を注入します。
炎症がひどくない場合、歯根膜が再生し、ポケットになっていた部分がだんだん塞がって歯肉が戻ってきます。
病状によっては、抗生物質を2週間以上続けることもありますし、抜歯を選択せざるを得ないこともあります。

予防方法は?
①日頃から歯磨きをする。
②歯垢のつきにくいフードを与える。
③かむものを与える。
④人間のおやつを食べさせない。

などがあります。特に歯磨き習慣をつけることが大切です。最低でも3~5日に1回は行いましょう。

不明点がありましたら、何なりとご質問ください。