|
 |
 |
 |
「動物界、脊索動物門、脊椎動物亜門、哺乳綱、食肉目、裂足亜目、イヌ科、イヌ属、イヌ」これが、私たちが愛してやまないワンコたちの分類学上の位置づけです。
最後の「イヌ」が「種」を示していて、すべてのワンコたちは「イヌと言う種」の哺乳類なのですよね。
生物の学名を論文等に記す場合、『二命法』と言って、分類の最後の二つ、すなわち、属・種をラテン語で書くことになっています。 例えば、私たちヒトはHomo sapiens(ヒト属・ヒト)と表され、イヌの場合、Canis familialis (イヌ属・イヌ)となります。
そ〜ん〜なの〜常〜識〜。でも、その常識が私の中では長年大きな不思議だったのです。 チワワとグレートデンではどれほど大きさに差があるのでしょうか? 体重で言うと、30-40倍にもなります。
地球上に現存する、あるいはすでに死滅してしまったあらゆる脊椎動物の中で、ワンコほど、一つの種の中で体格・体型のふぞろいな種はありません。
エッ?カバとコビトカバだって体重差が楽に10倍はあるじゃないか。ですって? そのとおりですが、コビトカバは立派に独立した「種」で、カバとは分類上異なる生き物なんです。
「種」とは、一言で言うと生殖能力を持つ子孫を残せるかどうかで定義されます。 例えば、ウマとロバが結婚するとちゃんと子供が出来ます。 そうです。その子供はラバです。 でも、ラバには子供を作る能力がなく、一代限りです。 ですから、ウマとロバは別の「種」になる訳です。
チワワやヨークシャーテリア、セントバーナードといった、ワンコのいわゆる「種類」は「品種」に該当するもので、全てCanis familialisで同じ「種」です。
同一の「種」なのに、体格に大きな差が生じるメカニズムを明らかにしたいという野望を持つ研究者は大勢いましたが、これまで容易には解明されずに今日まで来たわけです。
ところで、ワンコのご先祖様はオオカミ。 むかしむかしの大昔(約1万5000年前)、一部のオオカミが、人間と共同生活を始めるようになったそうです。
きっかけは、単独で獲物を狩ることが困難な、小さくて、か弱いオオカミ?が、人間の狩のお供をして、ご褒美に獲物のおこぼれをもらうようになったことや、人間集落に入り込んで、人間によって外敵から身を守ることを覚えた、などの可能性が推測されています。
そして、「猟の手助けが上手」や「番犬として有能」、「従順」など人間に役立つワンコが選ばれ、残される行為(原始的な選択育種)が連綿と行われ「飼い犬」の姿かたち、性質の原型が出来上がりました。
さらに、近年になってからは愛玩犬や使役犬を目的に、より計画的・人為的に淘汰が行われ、各犬種の体型や能力、特徴が急速に分化・固定していったと言う歴史があります。
現在のワンコの体格から過去(オオカミの体格)を振り返ると、グレートデンやセントバーナードなど、大型方向への変化は部分的。 体重の増加はせいぜい2-3倍にとどまります。
一方、小型方向への変化はずっと大幅かつ急速で、チワワやヨークシャーテリアなどではオオカミの10-20分の1にも小さくなっています。 イヌの体格は大型化と小型化が同時進行している状況ですが、全体としては小型化の方向にあると言えるのでしょう。
ここら辺までは、私たちが中学・高校で習った、ダーウィンの進化論やメンデルの遺伝の法則で論ずることが出来る範囲・内容です。
では一体、ワンコの体の中ではどんなメカニズムが働いて、チワワの子犬はチワワの体格に、柴犬の子犬は柴犬の体格に収まる様に制御されているのでしょうか?
このメカニズムを解明するために、米国立ヒトゲノム研究所やユタ大などの研究チームは、細胞の成長や分裂を促す遺伝子の働きを制御するDNAを調べる、膨大な研究を行い、その研究成果を米国の科学誌サイエンスに発表しました。
研究の標的となった遺伝子は「インスリン様成長因子1(IGF-1)」と呼ばれるものです。
この物質は主として肝臓・筋肉などで、成長ホルモンの刺激により作られるペプチド(低分子のタンパク)で、骨の成長点の細胞分裂を促進する作用を有する広い意味での「ホルモン」です。 人間やマウスにもあり、人間の成長障害(小人症)にも関係しています。
研究は2段階に分けて行われました。
第1段階は、同じ犬種の中での体格の差とIGF-1の関係を調べるものです。 研究の対象となったのはポルトガル・ウオーター・ドッグと言う犬種。
そうです、米国オバマ大統領一家の愛犬としてホワイトハウスに住むことになった、ボー君のポルトガル・ウオーター・ドッグです。
この犬種は個体間の体重差が3倍ほどもあることが特徴で、この研究には向いているのです。
体格差と遺伝子の変異の関連性を探るために約500頭のポルトガル・ウオーター・ドッグの骨格をX線で測定するとともに、血液を採取し、DNA分析を行いました。
その結果、IGF-1にかかわる遺伝子を構成するDNAの配列の違いが体格の差に関係していることがわかったのです。
いささか専門的になりますが、15番染色体のIGF-1遺伝子の働きを制御するDNA塩基配列に特定の変異があると、成長が抑制されて身体が小さくなること、具体的には15番染色体のある場所の塩基が、小型のポルトガル・ウオーター・ドッグではアデニン、大型のだとグアニンという具合に違っていたのです。
次いで、研究の第2段階として、チームはアメリカ中のドッグショー会場を巡り、143犬種の計約3200頭分のサンプルを得、DNAを分析して、この塩基配列変異と犬種としての体格についても研究をすすめ、関係があることを突き止めたとのことです。
将来、この遺伝子を操作することにより、チワワ並みのサイズのセントバーナードやその逆のチワワが誕生するかもしれないですね。
でも、あまり可愛くないかもね。
|
 |
 |
「動物には疼痛性ショックは存在しない。故に、動物医療において、痛みは重要な要素ではない。」 これは、私が獣医大学の学生だった時に、家畜外科学の教授の授業で教えられたことです。
私のみならず、臨床獣医師となった同窓生の殆どが、教授の講義の影響を受けたことと思います。
教授の言われたことの前半部分は、生物学的(医学的)には正しいことです。 「ショック」の正確な定義は専門書に任せますが、ザックリ言って、「急性に生じる全身の循環不全のために生命を維持するに必要な血液供給が途絶える危険な状態」を表します。
そして、ショックは原因により 1.神経原性ショック(疼痛性ショック) 2.循環血液量減少性ショック 3.アナフィラキシーショック 4.敗血症性ショック 5.心原性ショック などに分類されます。
神経原性ショックは、疼痛などをきっかけとして血管迷走神経反射が生じ、心拍出量の低下、末梢血管拡張→血圧低下が起こるもので、ワンコやニャンコなど動物では起きる率は大変少ないのです(皆無ではありません)。
くだんの教授が現役のころ、麻酔装置も現在の様なものはなく、麻酔薬を静脈内に注射すると言う、リスクの高い方法でした。
ですから必然的に麻酔の程度(深度と言います)は、必要最小限の浅い麻酔になることが多く、手術中、動物が少々痛がろうが、鳴き声を上げようが、押さえつけてやり終えることが多かったです。
外傷についても、痛さ対策は後回しで、傷の整復や感染症対策を優先した対応でした。 「動物には疼痛性ショックは存在しない。」がお墨付きのように用いられていましたね。
今思えば、動物たちに気の毒な事をしました。 動物たち自身も、看病する飼い主さんも、痛いのや、痛がるのを見るのは絶対にイヤですよね。
教授のフレーズの後半部分、「動物医療において、痛みは重要な要素ではない。」 には、大いに異を唱えなければなりません。
そんな風潮が、大きく変わるきっかけになったのは、ワンコの変形性関節症に対する米国の臨床研究の成果でした。 関節の痛みで、散歩を喜ばなくなってしまった年老いたワンコに新しく開発された消炎鎮痛剤を投与すると、投与しなかったワンコと比べ、イキイキと軽やかに散歩が出来るようになり、食欲も増して、QOLも改善されたと言う報告です。
別の研究では、外科手術に際して、痛みを少なくする処置を十分に行うと、術後の回復が良好であることが証明され、疼痛管理に対する獣医の関心が高まったのです。
近年、飼い主さんがペットさんの健康管理に力を尽くされるようになったお陰で、長生きの動物が増え、結果的にがんを始めとする慢性疾患に罹患する割合が増えています。
がんの中でも、根治療法(手術や抗がん剤治療など)の適応にならない場合(進行してしまった場合など)、治療の中心・方向性は「QOLの維持」特に「苦痛の緩和」になります。
そのための、お薬の品揃え(痛み止めだけでなく、抗うつ薬や睡眠薬、麻酔薬、ステロイドやオピオイドと呼ばれるものまで)と、適切に使用する薬学知識は、臨床獣医師にとって必要不可欠な素養になっています。
病気から来る苦痛を軽減し、飼い主さんと心を通わせる大切な、そして幸せな時間を少しでも長く持たせてあげたいと痛切に思うのです。
|
 |
 |
「娘が、迷い犬を拾ったので、飼う事にしました。元気がないので診て下さい。」と、 Yさんが、シーズー犬を連れて来院されたのが6月のこと。
早速、拝見しましたが、痩せて、ほとんど丸裸に脱毛し、貧血症状を示す雌ワンコ。 外傷は認められませんでしたが、放浪の影響か、衰弱し、表情が乏しく、「意欲」を感じさせないこともあって、あたかもうつ病の老犬の様でした。
診察を進めていくと、歯牙の磨耗や歯石の付着が殆どなく、水晶体の混濁等の加齢所見が無いことから、2歳程度の若犬らしいことが分かりました。
私はこの段階で、この犬の病状が容易でないと判断し、 「Yさんのお気持ちは素晴らしいと思いますが、この犬を飼う事は治療費も含めYさんの負担が大き過ぎます。 健康な子犬を飼う様に考え直してはいかがですか?」 とお勧めしました。
Yさんのご意志は固く、 「何かの縁です。飼いますので、治療してください。」 と、実にきっぱりおっしゃいました。
そこで、さらに診察と検査を進めたところ、エコー検査で肝臓が極度に腫大し、肝機能検査でも測定限界を超えるほど悪い値を示し、貧血の指標であるヘモグロビン濃度や全身の栄養状態の指標である血液中の蛋白濃度が著しい低値を示すこと、甲状腺ホルモン分泌不全までが存在することなど、外観以上に状態が悪いことが判明しました。
各種検査所見の意義や経過の見通し、治療方法、治療費概算など、洗いざらい説明して、Yさんの反応を伺いましたが、「分かりました。治療して下さい。」 の一言で、拍子抜けするくらいでした。
ヤッピーちゃん(申し遅れましたが、Yさんは彼女に『ヤッピー』という素敵な名前を付けていました。)が、どんな事情で、いつから放浪生活が始まり、その間何を食べていたのか、どんな目にあってきたのか、ワクチンの接種は?などなど、分からない事だらけでしたので、肝臓障害、貧血、脱毛などに対し、点滴注射による対症的な治療を開始しました。 ご家族全員での手厚い看護もあり、ヤッピーちゃんは、治療に良く反応し、食欲も回復。 日に日に元気を取り戻してくれました。
点滴注射を飲み薬と食餌療法に切り替えてからも、各種所見は私の見通しを上回るペースで改善し、現在では甲状腺ホルモン濃度(甲状腺に対する積極的な治療はしていない)さえ正常値を示すほどです。
それに伴い、表情は活き活き。動作もきびきび。体毛も生え揃い、美少女系に大変身。 精神的にも落ち着いて、すっかりYさんご家族の一員。人気者になりきっています。
私には、初診の時にYさんのおっしゃった、「何かの縁」の一言が深く心に残りました。 「袖刷りあうも他生の縁」、「一期一会」。 「出会い」って不思議ですね。 「縁」って良いものですよね。
私も皆様や皆様のペットさんとの「出会い」や「ご縁」を大切にして参ります。
それにしても、ヤッピーちゃんの以前の飼い主さんは、どんな事情があって彼女と別れ別れになったのでしょうか? 病気なので、置き去りにしたのでしょうか? 迷子になって、今も彼女を探し続けているのかしら? なんて呼ばれていたのかな?
何はともあれ、今が一番幸せだよね。 お話ししてよ。ヤッピーちゃん!!
|
 |
 |
8月も下旬に入って、ようやく ようやく暑さが和らぎましたね。 24節季の処暑は8月23日。立秋は8月8日。 今から、2週間近く前に季節が秋に入っていたなんて。 今年の7、8月の猛暑から受ける感覚で言うと、ぜんぜんピンと来ません。
でも、立秋とは、秋の「気が立つ」の意。 気温が37℃!!を超えていても、入道雲の上空に筋雲が見えていたり、葛や萩に蕾みがついたり、アキアカネが舞っていたり、確かに秋の気配は忍び寄っていたのですね。
秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる とは、昔の人の季節感とその表現力の豊かさに感嘆させられます。
ところで、「気配」と言う言葉。 ワンコがご主人の帰宅を何故か感じ取る能力に驚かされることが良くあります。 帰宅時間に関係なく、足音など聞こえるはずもない、はるか遠くからご主人の「気配」を感じ取り、玄関まで出迎えるワンコは普通にいます。
「早く帰って来ないかな」の思いが、ワンコの感性を研ぎ澄まして、ごく僅かな「気配」を察知できるのでしょうね。 健気だぞ。ワンコ。
「気配」の本質についてインターネットで検索すると、「生物の活動により発せられる電磁波エネルギーで、例えば人間が歩くと、歩行の都度50v/mの電磁波が発生し、皮膚にある感覚器を刺激して感じられる」云々の記述が沢山出て来ます。
インターネットで得られる情報は玉石混交。 全面的に信じるには覚束ない情報源ですが、説明できない力が動物に備わっているのは確かでしょう。
気配を察知するのは獣医に取っても、必要な素養。 なぜなら、動物は口をきいてくれませんし、野生の弱肉強食の世界を生きて来た記憶からか、「弱み」を隠そうとする本能があるので、病状が進むまではっきりした症状を表わさないことが多いからです。
その前段階で、「あれっ?何か変だぞ」と、体調の変化・異常を嗅ぎ取るセンスが重要なのです。
「何か変だぞ」と感じれば、診察をより注意深く行いますし、必要な検査を行うことも出来、早期発見・早期治療の道が開けますからね。
また、治療継続中の動物の「変化の兆し」を気配として感じることもあります。 検査の数値や臨床症状には変化は認められないものの、「良くなる気配」、逆に「悪化する気配」が理屈では説明できませんが、感じられる時があるのです。
医師も獣医も診察に際して、見て(視診)、聴いて(聴診および飼い主さんからの問診)、叩いて(打診)、触って(触診)、嗅いで(口内炎、外耳炎、尿毒症などに際してはとても重要)の、味覚以外の五感を総動員しての主観的診察+検査成績(客観的データ)の評価を行いますが、説明不能な「異常の気配」を発信する動物は確かに存在し、臨床獣医師としてはそれを感じ取るセンサーを磨かなくてはならないと思うのです。
こちらが、過労や寝不足、風邪引きなど体調不良の時は、このセンサーの感度が落ちてしまいますので、私自身の体調管理も大事な仕事の内だと考えています。
現在、午後10時を過ぎたところ。 そろそろ、愛犬こーちゃん、のんちゃんとの夜のお散歩に行って、明日に備えて早めに休む事にしましょう。
|
 |
 |
昔から「オソロシイこと」を表す言葉として、「地震・雷・火事・親父」というのがありますよね。
日本列島は地震列島。 地震の巣の上に高層ビルが建ち並び、その間を折り重なるようにして新幹線やら、高速道路やらが走り回っているのですから、日本の日常の危うさを痛感させられます。 中国奥地の四川省の地震でも、先日の東北内陸部の地震でも、大きな山が丸々崩れ落ちた映像が繰り返し放映されて、地震エネルギーのもの凄さを思い知らされました。
耐震強度が不足していて、震度6程度で倒壊する恐れのある公立の小中学校が10000棟もあるにもかかわらず、耐震補強が遅々として進んでいないとの報道も眼にします。 工事に必要な予算「1兆円」が障害になっているそうですが、四川の子供たちに及んだ、とんでもない災厄が日本でも起きる可能性があるなんて、冗談じゃありません。 日本得意の免震技術の粋を凝らして、校舎の補強・子供たちの安全確保を最優先にするようお願いしたいです。 こうしている数分後にも起きる可能性があるわけで、地震がオソロシイものの筆頭に挙げられるのも当然のこと。
続いて雷。 当院を建築した8年前には周囲に建物はなく、野中の一軒屋状態でした。 ですから、雷が鳴り始めると我が家に落ちるのではないかと、いつも冷や冷やしていました。 家の中にいる限り、雷の直撃に遭っても、人的被害は心配ないそうですが、病院業務はカルテ管理など、コンピュター頼りの部分が多いです。
実際、数年前にあった長津田変電所の落雷事故の際には、PCのデータファイルが破壊され、ゼロから入力しなおしになり、大変な思いをしました。
火事も平和な日常を一瞬にして破壊するオソロシイ人災です。火の用心!!
そして、「親父」ですが、私の周囲にはオソロシイ親父なんて居ません。 実父も義父も私のダンナも、子供たちにはミョウに物分かりの良い、優しい(頼りない)オトーサンです。 調べてみると、地震・雷・火事・親父の「親父」の元々は「山嵐(やまじ)」。台風の古語です。 この「やまじ」がいつの間にか「親父」に変化しての「地震・雷・火事・親父」。 台風なら確かにオソロシイ。
ところで、ワンコにとって「オソロシイ」の横綱は、なんと言っても「雷」でしょう。 ピカッが怖いのか、ゴロゴロが怖いのか、雷の間中、部屋の隅でガタガタふるえっ放しのワンコ、悲鳴を上げるワンコ、果てはお漏らしするのまでいます。 また、恐怖に駆られて脱走して、迷子になったり、交通事故に遭うワンコも少なくないので、雷の時は家の戸じまりをお忘れなく。
ワンコにとって、飼い主さん一家は「オオカミなどの群れ」に相当し、自分は群れの一員だと言う風に自覚しています。 「群れ」には秩序とその秩序を維持するボスが不可欠。 ワンコは群れの中で、ボスに支配され、服従することを好み、秩序の中に安らぎを感じる性質があります。
普通、家族のリーダーはお父さん。「親父」ですよね。 多少横暴でも、頼りになる親父に服従しているのはイヌにとっては幸せな状態。 優しいが頼りにならないリーダーの下は居心地が悪く感じられ、ワンコ自らがリーダーになろうと試みる(反逆)する場合もあります。 「飼い犬に手を咬まれる」はこう言う状況で起こりがちです。
そんな訳で、皆様の「群れ」がボスのリーダーシップの下(ガンバレ親父!!)、平穏な日々を送れることをお祈りする次第です。
|
 |
 |
僕たち、パグやブルドック、フレンチブルにボクサー、ペキニーズやシーズー、キャベリアそれに狆などなど、お顔全体が前から押しつぶされたように平坦ですよね。
僕たちほど顕著ではありませんが、チワワもポメラニアンも、かなりお鼻が短くて、その分、幅の広い顔つきをしています。
それに比べ、コリー、ボルゾイ、アフガンハウンド、グレーハウンドなどは鼻筋がスッキリ通っていて、スタイルも抜群。かっこいいですよね。あこがれちゃいます。
僕たちイヌの祖先について、細かいところでは不明な点はありますが、オオカミから進化したことは定説になっています。 ご先祖様のオオカミの頭を標準に、それより長く変化したのを長頭型、短いのを短頭型、 さらに短いのを極短頭型などと区分しているそうです。
実は、僕たちのペッチャンコの鼻には、生きていく上で有利なことはあまりありません。 まず、闘いに不利です。世間ではブルドックは喧嘩に強いイメージが広がっていますが、これは誤解。 本当に強いのはブルテリア。僕たちの短い口吻ではどうしたって咬みつき難いですからね。
次に、ペチャンコ鼻になってしまったせいで、顔面・頭頚部のパーツの配置に無理が生じ、 様々な病気の原因を抱え込んでしまいました。
例えば、眼が収まる眼窩は浅くなり、広くなり、要するに眼が金魚の出目金の様に飛び出てしまい、角膜に傷を負いやすくなっています。 波及して角膜炎、緑内障、白内障などの発症率が高いのです。
それに、顔の皮膚が弛んでダーツになっているので、汚れが溜まり易く、皮膚病の温床になっているのです。 シャンプーの時には皺を伸ばして襞の奥まで洗ってくださいね。
顎が小さくなって、歯槽骨も上下42本の歯列を収容するスペースが不足し、歯並びは悪いし、歯周病になりやすいのも悩みの種です。 歯磨き、よろしくお願いします。
呼吸する時の空気の通り道も狭く、曲がり方が急で、色々なトラブルを起こしやすいです。 その代表が短頭種気道症候群と呼ばれる病気で、鼻孔、鼻甲介、鼻咽頭の軟口蓋後端部、および舌骨装置における気道狭窄によって生じる呼吸困難です。 ム、ムズカシイ。舌を噛みそうです。
特に軟口蓋が普通より長く、空気の通り道を塞いでしまう軟口蓋過長と言う状態に陥りやすく、麻酔の時の事故がこわいです。獣医さん泣かせ。 短頭種気道症候群がひどい場合には軟口蓋切除術などの手術が必要になります。
おまけに、親父キャラのブル君には人間並みに睡眠時無呼吸症候群もあるんですよ。 お父さんには申し訳ないけど、笑えますよね。
頭蓋骨も扁平(横広がり)に変形していて、脳・脊髄液の流れが阻害される脳圧亢進に伴う病気も起こりやすいですし、頭が骨盤サイズに比して大きいので、お産の時がまた大変なんです。
ブル君などは帝王切開で生まれる割合がとても高い(当院では50%を超える)ので、お産のことを考えると、気分がブルー。 ついダジャレが出ちゃいました。座布団1枚もらえませんか?
そんな、不利なペチャンコ顔ですが、僕たちの容貌には人間のハートを和ませる作用があるんです。 間隔が開いたパッチリのおめめで、首を傾げてウルウル見詰められて、胸キュンとならない人はいませんよね。 ですから、欧米でも日本でも僕たちは人気犬種の上位にランクされているのです。すごいでしょ。
チャーミングな半面、少しハンデを負って生きている僕たちを、可愛がってくださる飼い主さんにお願いがあります。
僕たちにとって、太り過ぎは何一つ良いことはありません。 特に、「短頭種気道症候群」の最悪のリスクファクター(発症要因であり増悪因子)なのです。 フードの袋に印刷されている、カロリー表示を調べてください。そして1日の必要量を計算し、その量を守って欲しいのです。
僕たちは皆、食いしん坊で、お腹いっぱい食べられないことはとても辛いのですが、我慢します。 さらに、運動不足は呼吸に関与する筋・骨格を脆弱化してしまいます。 お散歩をみっちりさせて下さい。 その様にして体重・体調管理を徹底していただきたいのです。
ところで、本題の「鼻がペッチャンコの訳」ですが、僕たちの頭の形(形質)を決定付ける遺伝子については、解明されていない様です。 「短い鼻の方が長い鼻より優位」程度の記載はありましたが、根拠は明らかでなく、それ以上の記述は見つかりませんでした。
人間については、民族学的な観点からの研究や、先天疾患の原因遺伝子解析などの研究から、顔かたちに与える遺伝子は、かなりのところまで分かっているようですが・・・。
皆様の中で、ワンコの鼻の形についての情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えて下さいね。
|
 |
 |
「ラニーニャの影響」とか「北極振動」とか色々原因が取りざたされていますが、なんにしても、大寒目前のこの頃。本格的に寒くなりました。
狂歌に、 ひもじさと 寒さと色を比らぶれば、 恥ずかしながらも ひもじさが先とか言うのがあったように記憶しています。 食欲などの本能に列せられるほど、昔の人には冬の寒さが堪えていたのでしょう。
そう言えば去年、底冷えのする初冬の日曜日、菊花展を見に横浜の八景園に行った折、岐阜から移築したと言う、合掌造りの古民家に立ち寄りましたが、寒がりのダンナが「昔の人はこんな寒い家で良く冬を越せたな」と呟いていたのを思い出します。
その家は、お台所や洗濯場は北側にあり、しかも土間の構造。 そこでの長時間の炊事洗濯は体の芯まで凍えそうです。
その点、最近の家は高断熱、高気密の上に床暖房まで備わって、冬でも快適ですよね。 ニャンコはもちろんワンコも毎日ヌクヌク快適で結構だと思います。
今月8日は我が家の愛犬、コーギーのコーちゃんのお誕生日で、満11歳になりました。 ワンコの11歳は人間の年齢に当てはめると60〜64歳くらいに相当します。 一昔前、10歳以上のワンコは、「すごく長生きですね」と感心されたものですが、今のワンコたちにとって10歳なんて還暦前後。 元気盛りですね。人間の還暦も元気盛り。 コーちゃんも団塊世代の私達もまだまだこれからです。
この様に、人間、ペットともに健康で長生きの時代ですが、これには食生活、医療・保健衛生の向上と並んで、 住環境の進歩がものすごく寄与しているのだと思います。
日本の住宅は、木造在来の軸組み工法、枠組み壁工法、鉄骨と各種の外壁材を組み合わせる工法、鉄筋コンクリート工法と 実に様々ですが、それぞれの工法関係者が知恵と技術を競い合ったお陰で、四季を通じて住みやすい質の高い住宅に進化していると思います。 関係者に敬礼したいですね。
寒い話題ばかり書きましたが、日の出の時間が確実に早まっているのにお気づきですか? また、早暁に南東の空を見上げると、春の星座の代表、おとめ座の一等星のスピカが高度を上げてきています。 今、スピカは月のすぐ側にありますので、肉眼でも判かり易いです。
庭先では沈丁花のつぼみがシッカリふくらんで来ていますし、玄海田公園の北側の畑では菜の花が黄色い花を開き始めています。
まさに「冬来たりなば、春遠からじ」です。 ワンコのお散歩も億劫になりがちな此の頃ですが、冬場の肥満は本格肥満の始まりですので、無理のない範囲でがんばりましょうね。
|
 |
 |
ぼくたち、ダックス、コーギー、シーズーにバセットなど、みんな足が短いでしょ?
皆さんは、足が短いぼくたちの仕草に独特の愛らしさを感じてくれますよね。 実は、ぼくたちの体型・仕草には人間の母性本能を刺激する働きがあることが分かってきています。 だから、日本でもアメリカでもぼくたちが人気犬種の上位を占めちゃうのです。 ヤッタね。
愛らしいだけでなく、足が短いには短いなりの理由と言いますか、必然性があるのです。
ぼく、ダックスはアナグマなど狭い穴を隠れ家としている小動物を狩るのが元々得意だったのですが、もっと上手に穴にもぐれる体つきを求めて、足の短い両親を選んで子孫を残し続けた結果この体型を獲得したのです。
イギリスはウエールズ地方が故郷のコーギー君は、牛の番をする使役犬として飼育されていて、主なお仕事は牛を牛小屋や輸送列車に追い込むことだったのです。
列車なんかに絶対に乗りたくない牛さんはひずめで蹴ったり、角を振り回すなど抵抗します。 その時にコーギー君の低い体つきが威力を発揮して、牛の攻撃を避けつつ、後ろ足の踵部分に咬み付いて、牛を牛小屋などに誘導して行くのです。
コーギー君もぼくと同じように選択交配を続けて足の短い遺伝子が固定されたのです。
では、ぼくたちの足が短くなる、発生メカニズムはどうなっているのでしょう?
それは、足の骨の成長板(成長軟骨)が普通のワンコに比べ早く閉じてしまい、それ以後足の骨が成長を止めてしまうことによると説明されています。
四肢の骨に限局して骨端線早期閉鎖が起こる現象はごく早期から始まっていて、頭や胴体など、他の骨格は成長し続けるのに手足だけが伸びなくなってしまう結果、体に比べ足が短いスタイルが出来上がるのです。
本質的には、「成長障害」と言う病気に該当するものです。 でも、長年にわたる交配の結果、この遺伝子は固定され、この状態が、ぼくダックスの正常な姿ということになっているのです。
えっ? 「短い足で、長めの胴体を支える体型に無理はないのか」ですって? すごく鋭いご指摘です。
そうなんです。無理があるんです。 特に背骨に年齢とともに様々な疲労性の変性疾患が出てきてしまいます。
どんな無理があるのか?
普通のワンコが階段を下りる時のことを考えてみてください。 例えばコーギー君と同じくらいの胴体、体重で足が長いシェルティーちゃんの降り方は、四本の足を左右順番に繰り出し、スムーズに体重移動をしながら降りることが出来ます。
でも、短足コーギー君は両前足一緒にトントンと降りていますよね。 その都度、体重×落下速度の二乗のエネルギーがコーギー君の背骨を直撃し、クッションの役割の椎間板にダメージを与え続けるのです。 その衝撃が積み重なり、ぼくたちは脊椎椎間板症→ヘルニアの道を進みやすい宿命を負っているのです。
ここで、「体重」と言うKey Wordが出てきましたよね?
人間と違い4本足のぼくたちは、背骨が水平につながっています。 家に例えると、家の重み(体重)を支える「梁」の役割ですね。 直立歩行の人間の背骨は縦方向につながっていて「大黒柱」になぞらえることが出来ると思います。
柱と柱の距離が長い梁には、短い場合より歪みの力が大きくかかりますが、ぼくたちの背骨(梁)にも、常に体重に比例する歪みの力が加わるのです。
ですから、ぼくたち胴長・短足ワンコの飼い主さんには、まず「肥満防止・体重減少」を、心からお願いするのです。
ぼくたちは食いしん坊ぞろいで、ご飯やおやつが人生最大の楽しみです。 やさしい飼い主さんは、ご飯やおやつを沢山くれたがりますが、心を鬼にしてくださいね。 さらに、階段やソファーなどの昇り降りは回避するよう、お願いします。
誤解を招かないようにつけ加えますが、適度な運動や散歩は背骨を保持する役割の筋肉を維持する上で、絶対に必要なものですからね。ダメなのは階段昇り降りです。
|
 |
 |
今年は、季節の移りかわりが急ですね。 みなみ台周辺も落ち葉が舞い散り、あっという間に真冬の装いです。
オオカミをご先祖とするワンコは、寒いのヘッチャラ(チワワなど例外はありますが)。 この季節が一番好き。体毛の状態も食欲・元気も絶好調。
広場などで放してあげると、冬枯れた木立の間を嬉々として走り回りますよね。 そして、お家に帰ってみると、体側の毛などに、「ひっつき虫」がひっついているのに気付かれ、取ってあげるのに苦労された経験がおありの方も多いのではないでしょうか?
植物は子孫を残すために,種子を飛び散らすいろいろな工夫をします。 カエデやタンポポのように風に乗って遠くに飛んでいくもの、ホウセンカのように自力ではじけ散るもの、甘く、栄養豊富な果実を実らせ、鳥類に食べさせて糞中に排泄されるものと、さまざまです。
ひっつき虫の正体は、言うまでもなく植物の果実(種子)で、動物に付着することにより、種を少しでも広範囲に運んでもらい、子孫繁栄の確実性を増す営みです。
生物学では動物に種を運んでもらうやり方を「動物拡散」と呼ぶそうですが、宮崎県知事さんではありませんが、「そのまんま」のネーミングですよね。
みなみ台に多い「ひっつき虫」はオナモミ(正確にはオオオナモミ)とイノコズチです。
オナモミはキク科の植物で、一風変わった名前ですが、由来は、果実が衣服に引っかかる様子を表すナズム(滞ると言う意味の動詞)があり、転じて、ナモミになり、さらに雄ナモミ(オナモミ)に変わったそうです。ナルホド。 別に、葉をもんでつけると虫さされに効くというので「生揉み(ナモミ)」から付いたとの説もあるそうです。ナルホドナルホド。
この様にオナモミは薬草ですが、とりもなおさず毒草でもあり、毒性成分としては, carboxyatractyloside(カルボキシアトラクティロシド:早口言葉見たいです)が同定されているそうです。 この成分をラットに注射すると13.5mg/kg と言う微量で半数の動物が死に至る程の猛毒で、子牛などの中毒(低血糖症状)が報告されています。
ひっつき方は、実の周囲に、かぎ状になったトゲトゲがあり、それがセーターなどにからみつきます。
イノコズチはヒユ科イノコズチ属の植物で、茎の節が猪の膝のように膨れている様子から付いた名前ですが、中国では猪ではなく牛膝と呼ぶそうですね。 面白くありませんか? イノコズチのひっつき虫はオナモミと比べずっと小さい代わりに、数が多く、絡み着き方も強力で、ワンコやニャンコの体から取り除くのに苦労しますよね。
また、マルチーズなど長毛種の眼の周りの毛に絡みついた場合、結膜を刺激して激しい結膜炎を引き起こすこともありますので、ご用心。
オナモミ同様、イノコズチも薬草・漢方として古くから使用されます。 今頃の時期に根を採取し、洗って乾燥させた後、煎じてに飲むと神経痛、関節痛などに効くとされています。女性の月経不順や婦人病にも効果があるといわれています。さらによく煎じてシロップ上にしてガーゼなどに塗って貼ると乳腺炎にもよいといわれています。
薬用成分にはステロイド骨格を有するエクダイステロンやイノコステロン、ベータシトステロール、スチグマステロール、ならびにそれらの配糖体も含まれるそうです。
さて。夜の帳が迫ってきました。 今日も冬晴れのお散歩日和。 いつものコースより一足伸ばして、愛犬こーちゃん、のんちゃんお気に入りの岩川周遊コースをハーフスピードで、一回りしてきましょう。 ブラッシングでの「ひっつき虫取り」が待っているけど覚悟は良いよね。
↓ ↓ オオオナモミ イノコズチ |
 |
 |
最近、テレビのワイドショーや新聞の社会面では、聞くに堪えないような事件や犯罪が多くて、気が滅入りますよね。 自分の肉親を餓死させたり、年金受給をストップされるのを避ける為に、病死した親を庭に埋めて、生きているかのように装うなど、獣医の私としては「あなたこそ本物のケダモノよ」と言いたくなります。
そんな輩と比べるのは、失礼すぎますが、当院を受診くださる皆様がワンコ、ニャンコを大事にされている様子は、「慈しむ」と言う言葉そのものに感じられるのです。
「慈しむ」は「愛しむ」とも書くそうですが、広辞苑には目下の者や弱い者に愛情を注ぐ。かわいがって大事にする。と説明されています。 使用される文例として、「わが子を慈しむ」が上げられています。
腎臓病から尿毒症に陥り、衰弱が進行していったCちゃんは、家族全員に見守られながらの幸せな最後を迎えました。ワンコとしては最高に「慈しまれた」一生だったと思います。また、どんなに衰弱してもトイレに関して手を煩わせなかったのは自尊心の強いCちゃんらしく、親孝行でした。最後の最後まで懸命に手を尽くされた、ご一家の皆様には本当に頭が下がる思いです。
脊椎障害の手術を都内の大学病院で受けたものの、腰から下に完全麻痺が残ってしまい、以後5年もの間不自由な生活を余儀なくされているNちゃん。どうしても避けられない、床ずれ(褥瘡)を生じながらも、リング座布団の使用による除圧の工夫など、飼い主さんの深い愛情に支えられて、重い障害はあっても充分に満ち足りた毎日を送れています。
華奢な体に6匹もの赤ちゃんを宿し、何とかお母さんになれたRちゃん。 産後のきつい体に鞭打って、懸命に赤ちゃんの面倒を見ていました。赤ちゃんの中には、低体重児も混ざり、母乳を自力吸引できないため、生育が安定するまでの2週間は、昼夜の区別なく2時間おきに哺乳に当たられた飼い主さんのご苦労。ワンコのお母さん、人間のお母さん、お疲れ様でした。
口腔内に扁平上皮がんという悪性腫瘍が出来て、ご飯を食べられなくなってしまったネコのMちゃん。 日に日に痩せて行くので、最後の手段の抗がん剤治療を行い、一時的にはがんが消えましたが、結局再発してしまい、亡くなりました。 つらい抗がん剤治療(やはり色々な副作用が出ます)を行った夜には、(5クール延べ3か月にも及びました)、ひと晩中、Mちゃんの体をさすり、励まし続けてくれました。
トイプードルの中でも、断然小柄なCちゃん。 17歳という高齢を迎えた今、僧帽弁閉鎖不全と言う重い心臓病と、乳がん、左全眼球炎、子宮内膜炎を患っていて、満身創痍の状態です。 僧帽弁閉鎖不全の結果、心臓が肥大し、房室ブロックという不整脈にも脅かされ、毎日が「今、そこにある危機」の状態です。 そのため、乳がんや全眼球炎、子宮内膜炎に根本的なメスを入れることができません。 でも、「Cちゃんと過ごせる1日1日が貴重で愛おしい」とおっしゃる飼い主さん。 その1日1日が充実したものにするお手伝い(治療と言う言葉は相応しくありません)には絶対に気が抜けません。
以下、路島は霊峰先山千光寺のご住職のことばだそうです。
多くのものを慈しむことが 真の幸福を育んでいることに 気付こう
そうですね、他者を慈しむと言うことは、自分自身を高めることにつながるんですね。 私もまずダンナを慈しむことから始めるつもりです。
でもこれが、なかなかムズカシイ!! 反省しよっと。
|
 |
 |
| ◆秋深し みなみ台の猛禽類たち:颯爽チョウゲンボウとチョイワル百舌鳥 |
例年、秋が深まる今頃、みなみ台公園の木立周辺に出没していたチョウゲンボウ。 今年は姿を見せなかったので、「開発が進んでしまったこのあたりは、もうチョウゲンボウが棲息できる環境ではないのか」と気落ちしていましたが・・・。
颯爽とした姿を見せてくれました。 10月31日の水曜日午前6時。 メガネのパリミキの上空、約10mでした。
細身で、いかり肩で、先細りの尾を持つ独特のスタイル。 ワシ・タカの仲間にしてはせわしない羽ばたき。 加えて、お得意のホバリング。 見まごう事ない、チョウゲンボウです。
残念ながら、カメラを持っていませんでしたので、写真をお目にかける事は出来ませんが、ご報告致します。
チョウゲンボウはタカ目ハヤブサ科の猛禽類。 アフリカやヨーロッパ、アジアに広く分布しています。 日本では春から夏の間に、山間などの冷寒地で繁殖・子育てをし、秋から冬にかけては関東や西日本の平地で過ごすライフスタイル。 この生き方(小規模な渡りを繰り返す)は「漂鳥」と呼ばれるそうです。
大きさはハトを一回り大きくしたくらい。 猛禽類にしては優しげな眼差しで、意外とかわいい顔をしています。
河川敷や水田、畑などの開けた場所と雑木林が混在する環境を好み、ネズミや小鳥を捕らえて食べるそうです。 確かにみなみ台周辺には恩田川の川辺、田畑、クヌギなどの雑木林も残っていますので、生息する最低限の条件は満たしているのでしょう。
漢字は「長元坊」。語源は不詳。 北関東の方言に、トンボを意味する「ざんげんぼう」があり、「トンボの飛び方に似ている鳥」⇒「鳥ザンゲンボウ」⇒「チョウゲンボウ」と変化したのではないかとの説があるそうです。 ホバリングからツツッと平行飛行に移る、チョウゲンボウの飛び方は、確かにトンボのそれを彷彿とさせるものがありますよね。
話題をモズに変えましょう。 「秋深し」と言う訳で、高木のてっぺんから、モズの鳴き声が元気良く聞こえるこの頃です。 チョウゲンボウと比べると、グッと地味な存在のモズですが、ナカナカドウシテ侮れません。
一匹狼で孤独を好み、繁殖時期(この時だけは夫婦で暮らします)以外は単独行動をとり、自分の縄張りを作る習性があります。ちなみにモズもチョウゲンボウ同様「漂鳥」です。
この時期に聞かれる、「キキキ、キチキチ、キーキー」の鳴き声は縄張り宣言。 生きていくのに必要な食糧を確保できるテレトリーを主張し、他のモズに「入ってくるなよ!!」と警告を発しているのです。
モズは嘴から尾の先までの体長が約20cm。 スズメより一回りほど大きいサイズで、「小鳥」の範疇ですが、獰猛果敢な肉食鳥類で「小さな猛禽類」と表現されます。
モズが捕食するのは、ハチ、ミツバチ、蝶・蛾など飛翔中の昆虫、バッタ、カマキリ、各種の甲虫、クモ類、ムカデ、トカゲなど地面にいる各種動物、ヤゴやカエルなど水辺の動物、果てはスズメやカワラヒワなどの小鳥まで、悪食と言いますか、許容範囲が広いと言いますか、ストイックとは無縁の食性を備えています。
モズは漢字では「百舌」または「百舌鳥」と表記されますが、ほかの鳥や動物の鳴き声を真似するのが得意なので、「百舌」。
とりわけ、ウグイス、メジロシ、ジュウカラ、スズメ、カワラヒワなど小鳥の鳴き声が得意。 スズメを襲う時には、鳴き声で安心させておいて、不意を突く作戦だそうです。やりますね。
モズには捕らえた獲物を木の枝先などに突き刺しておく習性があります。 名高い「モズの早贄(はやにえ)」ですよね。 後で食べることもあるので、冬の食料確保が目的と考えられていますが、忘れ去られ、春までそのまま哀れな姿を晒すこともあります。 一説では、体が小さく、一気に食べることが出来ないので、獲物を枝などに刺して固定し、引きちぎって食べるが、途中で満腹になると残りをそのままにしてしまったのが早贄である、というものもあります。
モズの面構えは、太くて先が鋭く湾曲した嘴を持つことに加え、歌舞伎の「勧進帳の弁慶」の様な眼の周りの隅取りが、不良っぽいと言うかワルの雰囲気を漂わせています。
でも、体も小さく、ワルに徹しられないので、せいぜい「チョイワル」。
チョウゲンボウやモズなど、いわゆる猛禽類は生態系の頂点に位置する生物です。 彼らが棲息できるみなみ台は、多様な生物が相互に影響しあって生きて行ける、豊かな自然が残っていることになります。
この環境を、後々の世代まで保ってあげたいものですよね。
|
 |
 |
当院ではこの春から毎月1回、皮膚科専門医を招いての皮膚科外来を始めました。 10月で6回目。早いもので半年になろうとしています。 専門医・講師として、私の出身校、TN大学付属動物医療センターで皮膚科学を専攻する新進気鋭の獣医師、K先生に来て頂いています。
皮膚疾患はワンコ・ニャンコの病気として動物病院を受診する頻度が最も多い、普通の病気ですので、開業歴30年に迫る私にとっては、軽く1000例を超す動物たちの皮膚病治療をし続けてきたことになります。
この普通の病気の大半は型通りの治療に期待通りに反応してくれるのですが、一部には皮膚疾患の裏側に内分泌系、アレルギー・膠原病系など、隠れた病気が存在し、そのために難治性を示すものもあり、中々侮り難いものです。
また、生活習慣(飼い方)が原因・悪化要因になっているケースもあり、治療を行う上で、飼い主さんのご理解が不可欠な場合が多いものです。
つまり、「ありきたりの病気である反面、奥の深い病気」であり、獣医師側としても、「通り一遍の知識で済まそうと思えば済ませられる反面、より深く掘り下げれば、相応の成果が上げられる病気」であると言えます。
私自身の診療に対する慣れ・マンネリを打開し、長年身に付いた錆を除去する目的もあり、上記の専門外来をスタートさせた次第です。
皮膚科専門外来のやり方は、対象を1日3−5組程度の少数とし、前半・後半の2部構成にしています。 前半は皮膚病の種類、成因、症状、経過、治療、予防、ご家庭でのケアのポイントなど全般について、K先生がスライドを用いて解説してくれます。 飼い主さんへの啓蒙活動・セミナーですね(これは無料)。
後半は個々の患者さんについて、専門医と私で診察を行います(通常の診察料と検査費、薬代を頂いています)。 これまでの当院での診察所見、検査所見、治療歴、経過などを踏まえつつ、ゼロベースで診察をやり直します。
また、隠された内臓疾患が皮膚病の背景に存在する可能性が示唆された場合などは、TN大学付属医療センターで精密検査を行うこともあります。
この作業を通じて、患者さんに対しては、皮膚病全般の知識と最先端の診断と治療を提供することができますし、私にとっては、皮膚科学を基礎から学びなおす貴重な機会を得て、当院としてのレベルアップに繋がっています。 その成果を当院の患者さん全てに展開できますので、私としては二重三重に有意義な企画だと自画自賛しているところです。
ところで、論語に 学びて思わざれば すなわち暗く (学而不思則罔) 思いて学ばざれば すなわち危うきなり (思而不学則殆) と言う孔子様の教えがありますよね。
この教えは、「物事を修得する際、何を学んでいるのかを考えながらでないと、その本質は理解できない」その一方で、「我流や独学で、その基礎的な部分の積み上げがなければ、習得したものは砂上の楼閣にすぎない」ことを意味するそうです。
要するに、「学び(教科書や講義から得る知識)」と「思考(自分で考察すること)」とが、どちらも深く・バランスよく実践されなくてはいけないということだと私なりに解釈しています。
前述しましたとおり、私は開業して以来、これまでに1000例以上の皮膚疾患のワンコ・ニャンコの皮膚疾患を治療して来ました。 これらのワンコたちの診療・経験を通して、本当に沢山の事を学ばさせていただきました。
ただ、省みますと、その「学び」に「独学」、「独善的」な傾向があったことは否定できません。
皮膚科専門外来に来てくださっているK先生の診察は、新しい検査方法・診断基準に裏付けされているだけでなく、進め方がロジカルと言うか合理的で、とても参考になります。
TN大学時代の同級生で現教授であるI先生がK先生を推薦してくださった時の言葉、「彼は若いけれど、頭がよくて、よく勉強する。何よりも性格が素直な好青年」の通りの前途有為な若者です。
でも、私だってまだまだ。 臨床経験に、新技術・新理論を加えて、皆様のペットさんのためにがんばっちゃいますからね。
|
 |
 |
今夏の猛暑と少雨の影響からか、山野できのこ類がたくさん採れるとの報道を眼にします。
イリュージョンのプリンセス天功さんの別荘でマツタケが沢山採れたと、ご自身のブログに掲載していますが、一体どこの山奥に別荘をお持ちなんでしょうね。
マツタケは今年も、国産はおろか輸入物も庶民の口には届きにくい値段ですが、マツタケだけがきのこではありません。 スーパーの生鮮食品売り場には、味良し、香り良し、歯ざわり良し、の様々な種類のきのこがてんこ盛りのこの頃ですね。
横浜近辺もきのこのシーズン。 みなみ台公園には面白い形のキツネノチャブクロ(狐の茶袋)がそこかしこに生えていて黄色い胞子を風に乗せて振り撒いていますし、鮮やかなオレンジ色のカワラタケ(正確な分類・種は知りませんが)も眼を楽しませてくれますよ。
学生時代、今ごろの季節は学園祭も終わり、次のテストまでは少し間がある時期でしたので、友人達と誘い合って、奥多摩や山梨のあまり嶮しくない山々に出かけたことが楽しく思い出されます。
私が卒業したTN大学は、獣医学科の他、農学、林学、養蚕学、農芸化学など、City Boyとは対極にある野性児的な学生が大部分でしたので、バンカラ、out door系の友人はたくさんいたのです。
大抵、テントか管理人さんのいない山小屋(まき割と掃除を条件に宿泊無料)に泊まり、持参した缶詰や採集した山菜をおかずに飯盒炊飯と言う貧乏旅行でしたが、最近食べるどんなグルメ料理よりも美味しかったように思われるのは、若かった故でしょう。
本格的な冬が訪れる前の山は恵みが多く、サワグルミや栗などはランプの下での晩酌の格好のつまみになり、アケビは食後のデザートに人気がありました。
また、ナメコ、キクラゲ、シイタケなど、きのこ類は、味噌汁や鍋の具に最高でした。 野生のナメコは「これ本当にナメコ?」と疑うほど大きく、500円硬貨ほどもあり、はじめは恐る恐る食べましたが、あのヌルヌルと風味は栽培ものとは比べものにならないほど深く「思い出の山の味」です。
事件はそんな秋の山小屋で起こりました。 獣医学科は臨床実習があり他科の学生より、授業がタイトでしたので、1日遅れで仲間の待つ、山小屋にたどり着いたのです。
「着きましたよー」の声にも返事がなく、「どうしたのかな?」と入って行くと、先着の仲間たちが真っ青な顔でシュラフ(寝袋)に入って震えていたのです。
傍らには、食べかけのお鍋と飲み残しのウイスキーの瓶。 一目で、集団食中毒と分かります。
比較的元気な下級生に事情をたずねると、 「肉厚の美味しそうなヒラタケが倒木にたくさん生えていて、それを鍋にして食べた。 とても美味しかったが、食べ始めて1時間も経った頃、寒気がして歯の根が合わなくなり、猛烈な腹痛に続いて下痢・嘔吐に襲われた。 お腹の中が空っぽになるほどの吐き下しは朝まで続いた。」 との返事。
同行した林学科の先輩はそのキノコをじっと見て、「こりゃツキヨタケ(月夜茸)だ。よく死ななかったな。しぶといやつらだな。」とあきれていましたっけ。
事情をさらに尋ねると、 「去年も、ほぼ同じ場所にヒラタケが出ていて、鍋にして食べた。 今回のきのこは、ヒラタケにしては、少し紫がかった色だし、カサの厚みも少し違うかな、と思ったが、同じ時期に、同じ場所に、よく似たきのこが出ていたので、疑いもなく採ってきた。」 とのことで、明らかに不注意。生半可な知識は危険千万。
その晩、そのキノコを採った場所に行ってみましたが、ツキヨタケの名前の通り、キノコは確かに、ぼんやりと発光していましたね。
生療法(生兵法でしたっけ)は怪我のもとですね。 チャンチャン♪♪。
下の写真はキノコ好きならみんな知っている「工房はやし」さんのサイトから拝借したツキヨタケの発光風景です。 欧米では「極東の鬼火」とか「狐火」と呼ぶそうですが、ピッタリ。
|
 |
 |
みなみ台を開発するに際し、住宅都市整備公団は多くの地主さん方に先祖伝来の大切な土地を供出してもらったそうです。 その頃のこのあたりは、わずかな人家と畑が散在している以外、丘陵あり、谷あり、小川あり、沼ありの、正に「原野」でした。
地主さん方が供出された土地は、公団が直接購入するか、開発終了後、供出した土地の面積に応じて(一定割合を減賦した上で)いわゆる換地として旧地主さん返却するか、いずれかの選択肢があったそうです。
返却を選択された地主さん方は、その土地を自宅や店舗や集合住宅の用地としてなど、様々に利用されていますが、「農地」として登記している方も少なからずおられます。
例えば、玄海田公園北側に隣接する区画。 宅地風にひな壇に造成されていますが、そこでは四季を通じ丹精された野菜類が実に多種類栽培されていて、「生産農地」であるのはもちろん、環境緑地としての機能やさらに、都会の子供たちが自然に触れる数少ない機会を与えてくれていて、生物の教材・情緒面の発育でも役に立っていて、近隣住民に感謝されています。
その畑では今、落花生が黄色い花の時期を終え、子房つきの花柄を地中に落とし込んでいて、ピーナッツの殻が出来始めているのが、とても興味深く観察できます。 この様子を見て、私は「落花生」の語源を初めて知りました。
「農地」として登記するメリットの一つに、固定資産税が「宅地」と比べ格安な事もあるそうですね。
とりあえず、固定資産税の安い農地登記を行い、いつか時期を見て宅地・商業地に変更する高等戦術。
でも、農地として登記した以上、農作物を作らないと「課税逃れ」と判定され、宅地と同じ税率を課されますので、地主さんはそれらしい作物を植え付け、『ここは畑だよ』と主張しています。
ほったらかしに耐え、なおかつ一応農作物と認められるものに「栗」があるそうです。 かくして、みなみ台には手入れのよくない栗の木畑があちこちに点在する事となりました。
これらの栗は植えられてからもう6-7年。 雑草が生い茂る、栗の木畑には肥料不足のためか生育不良で人間の背丈を越せない栗の木が、それでも一生懸命生きていて、緑から黄金色に色変わりしつつある栗の実(イガ)をたわわに実らせています。
そこには、開発のために森を追われたカブトムシ、クワガタ、カミキリなど色々な甲虫類が命を紡ぐ場として集まってきています。 地主さんにとって、栗の実を収穫することは二の次、三の次。節税が主目的。 ですので、収穫されずに落果した栗の実はクリミガなどブナ科の植物の種子を食べ物とする昆虫類を養い、それを食べ物とする小鳥たちを養ってくれています。
栗の木程ではありませんが、柿も栽培が容易な植物。 栗同様、みなみ台にはびこっています。 土地が地主さんに返却されてからまだ日が浅いので、柿の実を付けるには至っていませんが、やはりツクツクホウシ、ヒグラシなど柿の樹液を好む昆虫の揺りかごの役目を果たしています。 もう2、3年もすれば糖分たっぷりの実を付けてヒヨドリ、メジロなどに、冬季の貴重な栄養を補給する役割を担ってくれるはず。
あと、桃があれば「桃栗3年柿8年」の完成です。 ですが、病虫害に弱く手入れが大変な桃の栽培は地主さんから敬遠されている様子で、桃畑はありません。 それで、みなみ台では「栗栗3年柿8年」。
|
 |
 |
米国ブラウン大学医学部老年科のDosa助教授が、New England Journal of Medicineと言う一流の医学雑誌に、2歳の雄ネコ、オスカーの不思議な行動のことを寄稿しています。
オスカーは子猫のときにロードアイランド州プロビデンス市にあるストリートハウスと言う、ホスピスタイプの老人医療施設の職員に拾われ、以来、その医局で飼われているそうです。
ネコらしく、気儘な毎日を送る身の上ですが、「病棟回診と看取り」を行うスーパーキャットとして有名です。 その不思議な能力を紹介したく、翻訳しましたのでご一読ください。 Dosa助教授の論説は次のような書き出しで始まっています。
「ネコのオスカーは、医局にある机の上で、束の間のまどろみから覚め、片目を開けて彼の王国(縄張り)を睥睨する。 やおら、あくびを一つして、2歳の体躯を前に、後ろに屈伸する。机から飛び降り、ボウルの水を飲み、おやつを一口食べてから、満足気に『さて、一仕事するか。』とでも言うようにゆっくりと歩き出す。」
彼の「一仕事」は前記のとおり、病棟回診です。仕事場としている3階の病棟フロアーには重い認知症や、がん末期のお年寄りなど、終末期の患者さんがケアを受けているそうです。 彼は、そんな重篤な入院患者さん一人一人をくまなく、毎日、診て回ります。その様子を、Dosa助教授は次のように形容します。
「病室310にはTさんと言う、乳がんに侵され、やせ細り、黄疸症状を浮かべた末期の老婦人がモルヒネ注射の影響で、まるで死んだように眠っている。 オスカーは病室に入ると、ベッドに飛び乗り、注意深くTさんを観察し、息を嗅ぐ。そして、ベッドから離れる。まるで、『よし。この人はまだ大丈夫。』と言っている様に。」
オスカーは他の病室でも、同様な行動を繰り返した後に、313号室に入り、Kさんと言う婦人患者を訪れます。その様子を、
「K婦人は、規則的ではあるが浅い呼吸を繰り返し、見舞いの人もないベッドに一人横たわっている。オスカーは他の患者にしたと同様、観察し、呼気を嗅ぐ行動をとる。 そして、何かを感じたようにくるくると体を回し、枕元にじっとうずくまり、動きを止める。 そのまま、1時間が経ち、看護士がオスカーの存在に気付く。 看護士は急いでカルテ棚からカルテを取り出し、各所に電話をかける。 電話から30分もすると、家族が集まり始め、用意された椅子にかけてK婦人を取り囲む。 司祭が呼ばれ、最後の祈りをK婦人に捧げる。 オスカーは依然として枕元に寄り添い、ゴロゴロと優しくのどを鳴らし続ける。 若い孫の一人が、『あのネコは何をしているの?』と尋ね、K婦人の娘が涙をこらえながら、『お婆様が天国に行ける様、手伝ってくれているのよ』と答える。 さらに30分経ち、K婦人は息を引き取る。 これを見届けて、オスカーはあたりを見回して、静かに部屋を後にする。」 と綴っています。さらに、
「オスカーは自分の机に戻り、一日の長い休みに就く。 彼の日々の仕事はこの様に終わる。 今日に限って言えば、3階の病室では310号室を含め、もうこれ以上の「死」は訪れないはずだ。 事実、この日に限らず、オスカーの興味を惹く者以外、死を迎える患者は出ていない。」 と、結ばれています。
Dosa助教授は、 「オスカーには患者の死を予知する能力があり、それは説明不能な力である。 この施設の3階病棟では25名の患者が死を迎えたが、オスカーはいずれも記述した通りの方法でそれを予知した。 オスカーの『患者の傍に寄り添うという行動』が差し迫った死の指標になること、それにより患者家族へのタイムリーな連絡が可能になるという不思議について、医師や看護士など病院職員は理解し、受入れている。 のみならず、オスカーは臨終の患者の孤独を慰め、安らかな旅立ちの手助けをするので、彼の仕事振りを医療スタッフも家族も有難いものと感じ、病棟の廊下には彼の壁画が感謝を込めて飾られている。」 とコメントしています。
オスカー君の死を予知する超能力も凄いとは思いますが、私は、臨終間近な患者さんに寄り添い、癒してあげる優しさが彼の真骨頂だと思います。 ガンバレ!! ネコのオスカー君。
|
 |
 |
皆様の愛猫(イエネコ)のご先祖様がリビアヤマネコである可能性が高まりました。
つまり、ペルシャもシャムもアメショーもスコティッシュも日本猫も、みーんなリビアヤマネコの子孫だと言うことです。
リビアヤマネコはアビシニアンをふたまわりほど大きくしたような外観を持ち、その名のとおり、アフリカのリビアを中心に中近東まで広く分布している、体長約60cmの野生種ネコです。
そのリビアヤマネコがニャンコのルーツらしいと言うことは、体型の類似性、古代エジプト人のお墓に合葬(ミイラとして)されていたこと、壁画などに描かれている猫がリビアヤマネコに似ていることなどから「推測」はされていました。
古代人が苦労して栽培し、やっとの思いで収穫した穀物などを盗み食いするネズミの「番ニャンコ」として、人と生活を共にし始め、その後、世界各地に広まって様々な品種が出来て行ったと考えられています。
今般、この「リビアヤマネコ先祖説」が、科学的な手法の「ミトコンドリアDNA」の解析、つまり遺伝子解析を用いて確認されたのです。
私も獣医師の端くれとして、新しい科学技術を学び続ける努力は欠かさないようにしていますが、遺伝子解析いわゆる「ゲノム」と称される分野は文献ひとつを読むにも一苦労です。 言い訳がましくてナンですが、私たちの学生時代の獣医専攻カリキュラムにはゲノムなぞ、影も形もなかったのです。
乏しい知識と辞書を動員して、米英独などの国際研究チームによりweb版サイエンス誌に発表された論文を読んでみました。以下要約。 ・ 野生のヤマネコが家畜化され、イエネコになっていく過程や、様々な品種に分化していく過程は「遺伝子配列の変異パターン」として遺伝子上に記録される。 ・ ヨーロッパヤマネコ、リビアヤマネコ、アジアヤマネコ、アフリカヤマネコ、ハイイロネコの各野生ネコと、イエネコの計979匹について、母側から受け継がれる「ミトコンドリアDNA」の遺伝子を解析し、各野生ネコ、イエネコ相互の近縁性を調べた。 ・ その結果、イエネコの遺伝子配列の変異パターンはリビアヤマネコとの共通性が際立っていた。 ・ リビアヤマネコのうち、地中海東部沿岸に生息する、少なくとも5つの母系が基になり、家畜化し、イエネコとして広がったことが分かった。 ・ 他の各ヤマネコはリビアヤマネコの亜種に位置づけられる。 ・ リビアヤマネコの家畜化は文明発祥の地として知られる「肥沃な三日月地帯」で始まった農耕集落形成と関連づけて解釈される。 なるほど、たいそう大規模かつ詳細な試験ですね。ニャンコ君たちのルーツが判明して良かったね。
ワンコと比べ、暑さに強い体質、水泳が得意でないこと、水分を少量しか摂らないで、濃い尿を少ししか出さない体質、それにより尿路結石症になり易い体質、腎不全を生じやすい体質も、中東の砂漠を住処としているリビアヤマネコの血を受け継いだからと思えば納得。
ところで、日本には「イリオモテヤマネコ」、「ツシマヤマネコ」2種類の貴重な野生種ネコが生息しています。
沖縄の西表島で、動物文学作家の戸川幸夫さんと琉球大学が協力して未知のヤマネコのオスメス各1匹を捕獲し、イリオモテヤマネコと命名、学会に発表したのが1967年ですから今からちょうど40年前のことです。20世紀最大の発見。
イリオモテヤマネコは、湿地や川辺を好み、ネズミ、小鳥、昆虫などの他、カエル、魚、エビ、サワガニなどの水辺の生き物を常食とし、水中の生き物を捕らえる時には、潜水泳法もヘッチャラの、ネコのイメージとかけ離れた行動を取る動物です。
もし、イリオモテヤマネコが家畜化・ペット化されていたら、水難救助ニャンコとして大活躍していたかもしれませんね。シャンプーもぜんぜん平気だったりしてね。
|
 |
 |
ご近所さんのお庭では、「入谷の朝顔市」で購われた、行燈仕立てのアサガオが、毎朝、藍色の瑞々しい花を咲かせています。
アサガオは奈良時代から平安時代にかけて、遣唐使により薬用植物として持ち帰られたもの。種子に下剤の薬効成分が含まれるのだそうです。
アサガオが観賞用植物として人々に愛でられる様になったのは江戸時代に入ってからのこと。 暇な旗本侍などが副業にせっせとアサガオの品種改良を行い、大輪のもの、八重咲きのもの、花弁が様々に変形したもの(品種)を生み出しました。
日本は皐月、牡丹、オモトや菊など多くの園芸植物を生み出していますが、アサガオも世界に誇れる園芸植物の一つと言って過言ではないとおもいます。
アサガオは一年草ですので、園芸品種を固定・維持するには毎年、交配、採種を行う必要があります。 しかし、八重咲き品種や花弁が変形した品種は不稔性・一代限りですので、正常な花のアサガオどうしを交配し、八重咲きのアサガオを得る必要があります。
つまり、普通のアサガオを多数交配し、多数の種を蒔き、苗を作り、苗の葉の特徴・形質から八重咲き遺伝子を持つ確率が高いものを選択すると言うものです。 江戸の園芸家はメンデルより早く遺伝の法則を理解し、利用していたことを示し、アサガオは江戸文化、江戸期の科学技術の高さを象徴する植物と言えるでしょう。
ところで、皆様は「雨降り朝顔」と言う言葉を聞いたことがありませんか? ヒルガオのことをそのように呼ぶ地方があるそうです。
「ヒルガオの花を摘むと雨が降る」との言い伝えから来ているとの説が根強いですが、「花の中に唾を入れると雨が降る」、果ては「おしっこを入れると雨が降る」とか言う迷信まである様です。
愛犬家にとって雨降りは、お散歩の妨げになるので、あまり歓迎できません。 当院では、お預かり(入院もしくはペットホテル)しているワンコにも、「心身のリフレッシュ」の目的で朝夕のお散歩を可能な限り行います。 雨降りの時は、お散歩コースを短縮して対応しますが、ワンコのストレス解消も効果半減です。
ですから、ヒルガオの花を摘んだり、花の中に唾を入れたり、おしっこかけたりするのは勘弁してください。
そのヒルガオが、みなみ台のそこかしこで、ピンクの花を咲かせています。 みなみ台に自生しているのは「コヒルガオ(小昼顔)」と言う種類で、ヒルガオと殆ど同じ花を咲かせますが、特徴的な葉の形で区別できます。
人工的、繊細で、やや病的?な美しさのアサガオに対し、ヒルガオは野性的で健康的。「雑草」そのもの。 溌剌とした、小ぶりな花は日中まで咲き続けます。 がんばって咲いているところが「健気な先住民」と呼びたくなる所以です。
分類学上、ヒルガオ科に属しますが、ヒルガオ科の特長は「つる性」と、5枚の花弁が合体して、五角形の漏斗状・ラッパ状の花を形成する「合弁花」があげられます。
日本で見られるヒルガオ科の植物にはアサガオ、ヒルガオ、コヒルガオ、ハマヒルガオ、ヨルガオがあり、意外なことにサツマイモもヒルガオ科に属します。 そう言えばサツマイモの葉の形はアサガオに似ていますよね。
ヒルガオはサツマイモ同様に地下茎(お芋)を作る多年草で、毎年同じ場所に生えて来ます。
地下茎を粉末にしてもち米と一緒にしてヒルガオ餅として食べる地方や,混ぜご飯にして食べる地方もあるそうです。 どんな味がするのかな?早速試してみましょうか。
また、若芽もおひたし,塩漬けなどにして食べられるとのこと。 さらに、乾燥させ、煎じ薬(利尿、強壮、疲労回復)としても使われるそうです。
前記のとおり、サツマイモはヒルガオの仲間ですので、ヒルガオそっくりの美しい花が咲きます。 気温、日照など開花に必要な条件があわないので、この辺りではサツマイモの花に出会う機会は殆どありません。でも、沖縄では秋になるとサツマイモ畑はヒルガオそっくりの花が咲き乱れるそうです。是非見たいものです。
ヒルガオは万葉の時代には「かおばな(容花・顔花)」と呼ばれ、多くの和歌の題材に取り上げられています。
その中で、大伴家持が離れて暮らす奥さんを偲んで詠んだ、 高円の 野辺の容花 面影に 見えつつ妹は 忘れかねつも は、家持さんの思いがストレートに伝わるので、私は好きです。
「かおばな」と言う呼び名が古来存在し、中世・近世になって朝の顔花⇒朝顔、昼の顔花⇒昼顔、夜の顔花⇒夜顔と区別して称されるに到ったと、これは私の推論です。 どなかか、正確な経緯をご存知の方がいらっしゃいましたら教えていただきたいです。
花言葉は「絆」。つるでシッカリ絡み付く様子から来ているのでしょうか?
この雑文を書くために、ヒルガオについて調べるにつれ、この植物の意外なほどの奥の深さを知りました。
「雑草」と一括りにするのではなく、みなみ台の健気な先住民全てに敬意を持って接するべきだと痛感した次第です。
コヒルガオ コヒルガオの特徴的な葉 ↓ ↓
|
 |
 |
「診察室の壁新聞」のネタが全くなくなってしまっても、この生き物、コウガイビルだけは取り上げまいと心に決めていました。
でも、先日、パピオン君の飼い主さんから「駐車場でみたグロテスクで不思議な生き物」の質問を受け、それがコウガイビルであることを認めざるを得なかった時から、さらに毎夜恒例の愛犬コーちゃん、ノンちゃんとの散歩の途中で、久しぶりに実物に遭遇してしまった瞬間から、まるで強迫神経症患者のように、キーボードに「コウガイビル」と打ち込んでいる私がいました。
皆様にとっては、馴染みのある生物ではないでしょうが、コイツはそれほどにもインパクトのある生き物なのです。 分類学上は、扁形動物門に属し、ゴカイ(釣り餌のあれ)やプラナリアに近い生物です。コウガイビルの名前の由来は「頭の形が笄(こうがい。昔、婦人がまげに挿して飾りにした)に似ている蛭」ですが、蛭とは言っても、血を吸う蛭とは別ものであり、動物や人の血は吸いません。
みなみ台周辺をうろついているコウガイビルは、オオミスジコウガイビルという種類で頭の巾が1cmくらい、体長は10cmから1メートル(見たら絶対ビックリしますよ)くらいまでバリエーションがあります。 何しろ、縮まっている時と体を伸ばした時の差が大きすぎるので、どの状態を以って体長と言うのか???です。
体はとても軟らかく、簡単に千切れますが、千切れた尻尾からは頭が、頭からは尻尾が再生する能力があります。さすがはプラナリアの仲間。
コウガイビルの専門家(世の中にはいるんですね。)は「背面に縞模様や横班模様を持つ美しい種類が多い」と本などに紹介していますが、「美しい」と表現できる寛容な心?を尊敬しちゃいます。
この辺でよく遭遇するコウガイビルスポットは、岩川沿いの遊歩道で、出没する時期・時間帯は梅雨時から夏の雨上がりの深夜です。 興味のある(怖いもの見たさ?)方は懐中電灯を持って、カメラつき携帯も忘れずにレッツゴー。画像を送ってください。
コウガイビルの口は頭部ではなく腹部にあり、食べ物となるミミズ、ナメクジなどに絡み付いて、消化液を吐き出して溶かしながら食べるそうです。 私は食べている現場は見ていませんが、動物看護士のSさんは目撃したことがあるそうです。
確かに、かなりキモイ生き物ですが、みなみ台の先住民であることに変わりはありません。 益々開発が進むみなみ台はひっそりと、遠慮がちに生き続けているコウガイビル君たちにとって住みにくい場所になりつつあるのだと思います。
不幸にして、彼に遭遇してしまったとしても、驚かず、驚かさず、「見なかった振り」で通り過ぎるのが、人畜無害なコウガイビル君への思い遣りだと考えるのです。
|
 |
 |
| ◆みなみ台のゆかいな先住民達:ニャンコの眼そっくり!! ニホンヤモリ |
病院前の駐車場で、ヤモリの子供が一匹ペッチャンコになって干乾びていました。
数年前から、夏の夜、居間の窓ガラスにヤモリの影がチラチラ見え隠れしていて、気になっていました。
ダンナに言っても、「俺は見たことないよ。真夏の夜の夢じゃないの。」などと憎まれ口を利くので、何とか証拠をつかみたかったのです。
配偶者まで得て、子供を作っていたなんて、「なかなかやりますね」の気分です。 ペッチャンコ子供ヤモリのご冥福を祈りつつ、ヤモリについて、ウンチクを語らせていただきます。
ヤモリは生物学上、爬虫類(綱)、有鱗目、ヤモリ科、ヤモリ属に属します。 日本には13種のヤモリが生息しているそうですが、関東地方に分布しているのは「ニホンヤモリ」一種だけ。 ですから、我が家の「壁チョロ」もニホンヤモリと判断して、まず間違いないところ。
そのニホンヤモリは体長10〜14cm、全身をウロコに覆われ、扁平な体型で、人家近くを棲家とし、ハエやカやガなどの昆虫類、蜘蛛類を常食とします。
漢字では「家守」と表記されますが、「家に邪気を寄せ付けない」ことに由来するという説と、「家の害虫を食べてくれるから」、と言う説があるようです。
カメレオン程上手くありませんが、ヤモリも皮膚の色(濃淡)を変えることができ、同じ個体でも、白っぽい体色からダークグレー、赤茶けた色まで、周囲の環境によって変化します。
昼間は戸袋などの隙間に潜んでいて、灯ともし頃、明かりに寄って来る虫などを狙ってチョロチョロと出てくる、夜行性のハンターなのです。
ハンティングの武器である、 @ 暗闇でも獲物を見分けられる眼 A 垂直の壁や天井裏などを素早く、自由に歩きまわれる「趾下薄板(指下板)」を持つ手足 B 大きく開いて、ガなどを一口で捕らえる口 の3つが、厳しい生存競争を耐えている拠りどころなのでしょう。
眼は、体の割りに大きく、瞳孔が縦長に出来ているので、私的にはニャンコの眼そっくりに見えます。 ただし、ヤモリには目蓋がなく、目蓋の代わりに透明なウロコで覆って眼球を保護しています。 そのため、ヤモリを飼育しているもの好きの話によると、寝ているのか、起きているのか、分からないそうです。
趾下薄板(指下板)は多くのヤモリの仲間にある足の裏に見られる大型のウロコ。 ここには、ごく小さな「鈎針」の様な突起が無数にあり、これを引っ掛けることで、垂直な壁を敏捷に昇降・水平移動することが出来ます。
ガラス窓さえ上ることができますので、アマガエルの様に「吸盤」を持っているかのように誤解されますが、そうではなく、ミクロの鈎針をガラス面の凹凸(あるんですかね?)に引っ掛けて移動するそうです。まるで忍者ですね。
口は、カメレオンの長い舌などの特別な仕組みはなく、ただ、自分の頭ほどもあるガを瞬時に確実に捉える様、ガバッと開閉することができるのが特長です。
狩の方法は「待ち伏せタイプ」ではなく、「追跡タイプ」と要約できます。
弱肉強食のこの世の中。 ヤモリを獲物にしようと、狙っている動物はたくさんにますが、夜行性、敏捷性、扁平な体で狭い隙間に逃げ込むこと、尾の自切(トカゲ同様シッポ切りします)による眼くらまし、などなど弱者の知恵を総動員して生き抜いている姿は本当に健気です。
ニャンコの眼そっくりとはいえ、お世辞にも「可愛いい」とは言い難いヤモリ君ですが、毒もなく、人間には一切悪いことはしない、みなみ台の先住民です。
もし、家に住み着くヤモリ君がいたら、歓迎してあげてくださいね。
↓ ↓ 駐車場のペッチャンコ子ヤモリ ニホンヤモリ
|
 |
 |
動物病院を営んでいる者にとって、永遠のテーマは「自分の病院をどう位置づけ、どの様な形で動物たちの医療に貢献することを目指すか」にあると思います。
飼い主さんの立場に立てば、 ・ 家の近くにあり ・ 腕が良くて ・ 動物の扱いが丁寧で ・ 昼夜を問わず ・ どんな病気でも、どんな怪我でも、的確に対応する動物病院・ホームドクター が理想ですよね。 さらに、 ・ 診療の価格が安く ・ 医療スタッフの対応が親切で ・ 十分な時間を取って、分かり易い説明と質問の機会が持たれ ・ 病院内が清潔・快適で ・ 飼育・しつけなど関連することにも気軽に相談に応じられるならば、 なお結構なことだとお思いになるでしょう。
さらに、さらに言えば、飼い主さんの事情・価値観・生命観などに基づく様々な「希望」を理解し、尊重する態度(獣医側の価値観を過剰に押し付けない、適度な距離感・バランス感覚)のホームドクターが好ましいでしょう。
獣医師・院長の心がけ次第で、実現可能なことも沢山あり、殆どの獣医師は、飼い主さんのご要望に添えるような病院を作り上げることを目指します。 しかし、精神論だけでは「理想の動物病院」作りは100%無理。
個人の動物病院では、自分自身を含む医療スタッフのトレーニング、備えられる医療器具などに制約がありますので、動物たちに提供できる医療には自ずと限界があります。
また、診療の価格と設備・機器、スタッフ数などサービス(つまり診療の質)には反比例の関係があり、充実した高度な診療を提供しようと思えば思うほど、経費がうなぎ昇りに上昇し、皆様から頂く治療費は高く設定せざるを得ない悩みがあります。
同様に、高度な(高価な)設備を償却するには、相応の患者数が必要なわけで、そうなると1件あたりに使える診察時間を短縮するか(そんなこと私には出来ません)、獣医師・スタッフの数を増やして対応するかと言う選択が生じます。
私は、皆様や動物たちとのコミュニケーションを何よりも大切にしたいと思いますので、私が直接対応できる範囲、眼が届く範囲を超えてまで、患者さんの数を増やしたいとも思いません。
要するに、「あれもこれも(診断機器も手術器具も)自前で備えたい。あんな病気の治療もこんな手術もやり遂げたい。皆さんや動物たちの満足される笑顔を見たい。」と言う獣医師としての欲求・理想と、「ホームドクターとしての守備範囲の線引き」の狭間で日々悩んでいるのが現状です。
人医の世界では、 ・ 医院・診療所(ホームドクター、かかりつけ) ・ 救急病院・総合病院 ・ 大学病院など高度医療施設 ・ リハビリテーションなど慢性期の療養型施設 が役割分担を明確に、適切な医療を受けられる仕組みがありますよね。
獣医界でも、米国では人間の医療に近い体制が整えられていて、開業獣医はいわゆるプライマリーケアに徹して、ワクチンの接種、フィラリア予防薬の処方、比較的軽度な疾患の診療に対象を絞り、複雑、重度な疾患は「総合動物病院」に紹介するそうです。
現在の日本では、その様な「総合動物病院」の絶対数は不足していますが、獣医大学付属病院など高度医療施設の数が徐々に増えています。
飼い主さんの視点に立った、良いホームドクターであるには、自ら研鑽を重ねて知識・技能を高め、完結できる範囲を広げつつ、大学病院・専門病院との連携を円滑に行える体制を作ることも不可欠になってきています。
これにより、「必要以上の設備投資を抑制し、診療コストを適正に保つ」と言う副次的効果が生じることも無視できません。 今流の言い方をすれば「外部リソースの活用」でしょう。
基本的には、「紹介」と言う形式で、大学病院などと連携するわけですが、ペットさんの病状、飼い主さんのご希望を、正確に大学サイドに伝えることが重要ですので、当院での検査、治療内容をまとめた診療情報提供書(いわゆる紹介状)を作成し、飼い主さんに託すとともに、電話やMailで大学側担当医とコンタクトし確認の作業を行っています。 結構な手間なんです、これが。でも、良い連携のためには手を抜けません。
各領域の専門医を病院に招聘し、セミナーを開講したり、専門医と共同で診療に当たることも、より良い診療を提供する一つのスタイルでしょう。
動物たちの寿命が延びていますので、高齢期の慢性疾患の動物をケアすること、ケアのお手伝いをすることが重要性を増しています。 その観点から、看護やリハビリの技術やスタッフ全員の意識のレベルアップにより、丁寧かつ粘り強くケアできる体制を作ることも今日のホームドクターには大切な要件です。
クドクドと、埒もないことを書き連ねてしまいました。 ペットさんが限りある生命を終えたときに、「飼い主さんと、思いを共有することが出来たら、ホームドクターとしての勤めを果たせたことになる」と思うこの頃です。
そうなれることを励みに、今日も笑顔でがんばっちゃいましょう。
|
 |
 |
「日本住宅都市整備公団」から「都市基盤整備公団」に、さらに「独立行政法人都市再生機構(通称UR都市機構)」へと、まるでヌエの様に変身・変態を繰り返し、生き抜いているのは、したたかと言うか、凄い生命力ですね。
名前がどう変わろうとも、みなみ台の宅地開発の主役を演じてきたのが「旧公団」であることは間違いない事実。
「お役所仕事」などと能率とコストパフォーマンスの悪さばかりを揶揄されがちな公団ですが、地盤補強など造成工事の丁寧かつ堅固なこと(時間と金に糸目はつけません)は、さすがですし、住民としては安心です。 公団の大いなる遺産と言えるでしょう。
もうひとつ、公団が遺してくれたものにシロツメクサとゲンゲの群落があります。 梅雨入り前のこの時期、みなみ台一帯は、公園や空き地、道端などにシロツメクサとゲンゲの群落が緑の縞々模様を作っていて、とりわけ瑞々しいですよね。
公団により開発され、林野だったこの辺りが順次ひな壇の造成地に変貌していきましたが、工事が一段落する都度、土留めの目的と土埃を抑えるために、盛り土部分をはじめ地表全体にシロツメクサやゲンゲの種子を惜しげもなく蒔いていきました。
「蒔く」と言っても、普通思い浮かぶような種蒔きの光景とは異なり、種子を含む糊状の液体をタンクローリーのホースとノズルを用いて、これでもかと吹き付けたのです。
それが春になると一斉に萌芽し、緑の絨毯と化し、初夏のちょうど今頃、シロツメクサの白とゲンゲの赤紫色の花が咲き誇るという仕組みです。
こうして、みなみ台全域にシロツメクサ、ゲンゲの絨毯が生じましたが、その後、マンションや家々が建つたびに、姿を消していきました。 でも、公園や空き地、道端にはその名残がまだまだふんだんにあり、私たちやワンコのみならずミツバチなどの昆虫を喜ばせてくれています。
我が家の愛犬、コーギーのこーちゃんとノーフォークテリアののんちゃんもこのお花畑が大好きで、散歩に行くと必ずその中で一休みしています(下の写真見てね)。
ところで、クローバーと通称されるシロツメクサですが、名前の由来は大航海時代のヨーロッパの商船が、中近東やアジアにガラス器、陶磁器などを輸送する際、破損を防ぐために、干したシロツメクサを詰め、クッション代わり用いたことにあるとのことです。
白い詰め物の草→シロツメクサの意味だったのですね。
一方、ゲンゲは通常はレンゲあるいはレンゲソウ(蓮華草)と呼びますが、ゲンゲが標準和名です。 10 個ほどの紅紫色の花が車輪状に並んでいる姿がハス(蓮華)に似ていることが名前の由来とのことです。
シロツメクサもゲンゲもマメ科の植物で、空気中の窒素を栄養として取り込むことができる性質があり、やせた土壌を肥沃な土地に変えるパワーを持つすぐれものです。この力で、荒れ地の緑化や牛の飼料植物として現在でも重宝されています。 この花たちを見ると、「花の首飾り」や「花の冠」を作った、自分の子供の頃と、子供を育てていた頃の楽しい思い出がよみがえります。
でも、「手に取らで やはり野におけ 蓮華草」の句のとおり、そっと放って置くのが一番ですよね。
シロツメクサの花言葉は「約束」、「私を忘れないで」など。ゲンゲのそれは「私を癒す」、「苦しみを和らげる」などで、利尿や解熱などの薬効があるからだそうですね。初耳。
マメ科の植物ですから当然、花の後に小さな小さな豆が実りますが、シロツメクサの実はサヤエンドウに、ゲンゲの実はインゲンマメに似ています。とても面白い。
焼肉店「牛角」の対面にあった、旧公団事務所は売却され、スポーツセンターに建て替えられるなど、みなみ台から「公団」の影は薄くなっていますが、造成工事が丁寧だった「安心」と「シロツメクサ」、「ゲンゲ」の群落は、確かに公団がここを開発した証として残っています。
|
 |
 |
今頃の季節になると、大学時代の恩師K先生のお顔がしきりに思い出されます。
先生は私が在学していた頃は、研究者として晩年を迎えておられて、「好々爺」と言った感じでしたが、本当は「凄腕」「切れ者」の学者だったのです。
フィラリア症は世界中の熱帯、亜熱帯から温帯地方に見られるワンコにとって致命的な寄生虫病で、K先生がバリバリの研究者だった頃(昭和30年−40年くらい)は感染の仕方や予防方法、治療方法など分からないことが多い病気でした。
媒介する昆虫(中間宿主)が「蚊」であることは分かっていましたが、成虫になると20cm以上の大きさになるフィラリアが、小さな「蚊」に媒介された後どのような経路を辿って固有寄生部位である右心室・肺動脈に至るのか明確になっていませんでした。
これらの研究はアメリカで盛んに行われており(イギリスやドイツなど先進ヨーロッパ各国にはフィラリアは存在しません)、日本では母校のTN大学家畜内科を中心に細々と進められていた状況でした。
アメリカの研究が「物量(人、金、物、情報)」に物を言わせた正攻法だったのに対し、K先生の研究手法は「頭と手はいくら使ってもただ」をモットーに、考え抜いた研究プランと日本人らしい手先の器用さを生かしたユニークなやりかたで、世界中の研究者たちを出し抜き続けていたのです。
先生はフィラリアを媒介する「蚊」を飼育すること(ボウフラを採取し羽化させる)から始められました。当然時期は夏ですよね。 飼育した「蚊」にフィラリア症に罹っているワンコの血(血の中にはフィラリアの赤ちゃんが泳いでいます)を吸わせるとフィラリアの赤ちゃんは「蚊」の体内に入り、数週間後には1mm程の子供に成長して、「蚊」のくちばしに出てきます。
「蚊」のくちばしを拡大鏡下で分解し、くちばしの中にいるフィラリアの子供をリンゲル液中に回収します。本当に細かい手仕事です。 そして、子供フィラリアの数を数え、1頭の実験犬あたり50匹をリンゲル液とともに皮下注射して、人工感染を起こさせます。
人工感染をさせた犬を翌春、解剖して心臓・肺を調べると、50匹感染させたフィラリアの子供のうち20匹程度がちゃっかり大人になって右心室・肺動脈に入っています。つまり、「人工感染モデルが確立」されたのです。
先生が行った「人工感染モデルの確立」によって、フィラリア研究が大幅にスピードアップしたのです。 次にいよいよ、「フィラリアの子供の移動経路」の追跡です。 「皮膚→?→?→?→右心室」ですが、始発駅=皮膚、終着駅=右心室は明らかなのに途中駅(乗り換え経路)が分からない状態です。
アメリカの学者たちは、皮膚→筋膜下→腹筋穿孔→腹腔内→横隔膜穿孔→胸腔内→胸膜穿孔→肺→肺動脈→右心室(心臓)の移動経路を主張していましたが、先生はこの仮説に疑問を持たれ「人工感染モデル」を用いて実証されたのです。
1夏で作成できる人工感染犬は最大でも10匹が限界ですが、フィラリアの子供を皮下注射後、1−2週間から1ヶ月おきに人工感染犬を屠殺し、フィラリアの子供がイヌの体内をどう動いて行くかを追跡するのです。
1mm程度の透明な子虫を、実験犬の体内をまるで草の根を分けるように追跡しますが、全く発見できないケースも多く、何度かこの実験方法をあきらめかけたと伺いました。 結局、何年もの観察により、皮膚→皮下組織(筋膜・脂肪組織)→静脈→右心房→右心室⇔肺動脈の経路を突き止めて、学術論文として発表されたのです。
先生の論文の中で、筋膜下・脂肪組織で3cmほどに育った子供フィラリアが静脈壁を突き破り、静脈内に潜り込む正にその瞬間を捉えたことの記述が、研究者の興奮をそのまま伝わる様な表現で、とても印象的だったのです。
学術論文ですから、本来ならば感情・感覚を交えずに事実のみを淡々と述べる姿勢が正しいのでしょうが、先生のナマの表現の論文が私は大好きでした。
先生の「人工感染モデル」は日本の十八番(おはこ)となり、その後のフィラリア治療薬、予防薬の研究開発に貢献し、皆さんの愛犬がフィラリア症に罹らずにすんでいることに直結しています。世界中のワンコたちの大恩人。
残念ながら現在は、土壌内の自由生活線虫(極めて小さなミミズをイメージして下さい)が、フィラリアの予防薬のスクリーニングに用いられるようになっていて、欧米の製薬会社が資本力で研究の主導権を握った状態になっています。
今頃の季節になると、K先生の研究室で先生の研究をお手伝いしながら交わされた先生との会話(話の中心はこの季節に突き止めたフィラリアの移行経路)、いつも絶えることのなかった笑顔が懐かしく思い出されるのです。
ワンコの恩人、K先生いつまでもお元気で!!!
|
 |
 |
以前、「最も身近で謎の多い野鳥」としてスズメをご紹介しました。 ゴミを食べ散らすこと、縁起の良くないイメージなど、スズメと比べ、人気がないカラスですが、身近な割に不思議が多いと言う点ではスズメ同様、なかなか奥深い野鳥です。 当院の患者さんとして、スズメは来院することがありますが、幸か不幸かカラスは未経験です。
ところで、関東地方にはハシブトガラスとハシボソガラスの2種類がいますが、みなみ台周辺ではかなりハシブト君が優勢です。大体7:3くらいです。
両者の差を大雑把に言うとくちばしが太くてカアと澄んだ声で鳴くのがハシブト君、くちばしが細くてガアガア鳴くのがハシボソ君です。
ハシブトガラス ハシボソガラス 一言いわせて
嘴の太さ くちばしが太い くちばしが細め 遠目では区別不能
頭と嘴 頭との間に段差 頭との間に段差なし
全国分布 東日本に多い 西日本に多い この辺では混在
生息地域 森林と都市部 農村部、河原 この辺では混在
鳴き声 カーと澄んだ声 ガーと濁った声 ハスキーなハシブトもいる
鳴くときの動作 頭を低くし、尾を 頭をしゃくりあげ、 区別する上で 上下に動かしながら 上下に動かしながら 決定的な情報
お肉の風味 臭み強く、不味い 上品、美味 責任持てません
カラスの知能が発達していることは有名です。 記憶力(いじめた人間をシッカリ記憶。エサの隠し場所を正確に記憶。)、数量の認知能力(3までは認知できる。つまり巣の中から3個の卵のうち、1個を隠すと、カラスはその変化を理解し、探し回る。)、学習能力(くるみの実を道路に落とし、車に踏ませ、割って食べる。針金を曲げ道具を作り、エサをつり上げる。)、コミュニケーション能力(主に鳴き方で10種類程度の情報伝達ができる)それに、何より遊びの能力(滑り台で滑って遊ぶ。空中でゴルフボールを落として奪い合うゲームで仲間どうし遊ぶ。)、オランウータンなみです。感嘆させられますよね。
知能の裏づけになる脳神経組織についてですが、大雑把に言って神経細胞数がニワトリの約6倍もの密度で、鳥類では傑出していることが分かっています。
知能が発達した理由として、宇都宮大学農学部機能形態学研究室の杉田昭栄教授は、 「カラスは猛禽類のように鋭いつめなど特別な武器がなく、水に潜れるわけでもない。特長のない鳥だ。生き残るためには頭脳に頼るしかなかったのが知能化の理由だと思う。それに、お盆や正月で生ごみの量が減るなどえさが安定供給されない都市環境での生存には貯食などの学習応用能力が必要になる。生来の頭の良さに加えて、都市生活の厳しさが知能をどんどん高度化させている」と説明しています。 高い知能は勤勉の賜物なのですね。えらいぞカラス。
また杉田先生は、「人間は身勝手で、トキのように数が減れば大事にする。人間の節操のない生活で、どんどん生ごみの量が増え、カラスの繁殖を促している。ごみ排出量が減ればカラスの数も減り、以前のカラスと人間の良い関係が復活するのでは」と辛口のコメントをなさっています。
カラスは集団で社会・組織を作ります。リーダーを定め、偵察部隊、見張り役など役割を決めて生活します。トビやタカなどに襲われたときは、リーダーの指揮下、チームワークを発揮して戦うそうです。ヒエラルキー社会ですね。
カラス君の名誉を守るためにも、彼等の良いところを二つ紹介しますと、 ・ 清掃係を務めている:田畑、森、街中、どこでも動物の死骸や様々なゴミを食べ、消化し、有機物として排泄し、食物連鎖の一翼を担っている。 ・ 固い絆の一夫一婦制:毎年必ず?同じペアで巣づくり・子育てするそうです。
人に嫌がられても、邪魔にされても、「カラスの勝手でしょ」とわが道を行くマイペース野郎のカラス君。 夫婦仲が良くて終生、一夫一婦制を守って子育てするカラス君。 君たちなりに、勤勉に学習し、一生懸命生きているんだよね。 邪険にするのはやめて、暖かく(ムズカシイけど)見守ることにしましょう。
そして、もし君がケガや病気したら診てあげようね。
ハシブト君 ハシボソ君 ↓ ↓
|
 |
 |
みなみ台の宅地造成の際、工事による土地の保水能力低下に対応するため、遊水池(溜め池)がいくつも作られました。
これらの遊水池は仮設の性格を持ち、造成が進行し、下水路のネットワークが作られ、道路に並木が植えられ、各家々の庭に芝生や花壇、植栽が完了すると、地域全体の保水性が復活するので、遊水池はその使命を終え、段階的に埋め戻され、土地活用されるものだということです。
現在では、みなみ台公園に隣接する巨大な遊水地と宮ノ前公園近所の遊水地の2つが残るのみになりました。
みなみ台の2つの遊水池には、降雨後に一時的に増える排水側溝からの雨水だけでなく、周囲の雑木林などに源を発する湧水が常時流れ込み、流れ出ていますので、水質は良好です。
ちなみに、みなみ台周辺の、そもそもの地質を大まかに表現しますと、関東ローム層の上に山砂が厚く積もり、さらにその上に腐葉土が堆積している状態で、保水性・排水性を兼ね備えた特性があったそうです(住宅都市整備公団の資料より)。
降った雨水は、雑木林→腐葉土層→山砂層とゆっくり滲み込んで行き、やがて地下水となって山砂の層と関東ローム層の境に沿って流れ、所々の低地に泉として湧き出ていました。 いわば緑のダムの機能を果たしていたのですが、この機能が、宅地造成により毀損され、遊水池が必要になるわけです。
それはともかくとして、遊水池は人工の池ですので、もともと生物は棲息していなかったはずですよね。 でも、時間が経つにつれて(造られてからはや十数年)、水中には藻が生え、水辺には葦も茂り、ミジンコやタニシ、ヤゴなどの水棲小動物や魚も棲み付き、周囲にはカエル、ヘビ、トカゲ、野ネズミ、コウモリなどが繁殖して遊水地を中心とする小宇宙・生態系を創り出しています。
いろいろな野鳥の水場であり、餌場であり、憩いの場であり、繁殖の場にさえなっています。
水難事故防止のために遊水池周囲には厳重にフェンスが張り巡らされていますので、一般人が、そこに棲む生物を間近に観察することは不可能ですが、野鳥の観察は肉眼でも可能ですし、高倍率の双眼鏡で覗くことにより小魚の魚影を確かめることも出来ます。
みなみ台公園の展望台から双眼鏡であちこち覗いているワンコ連れの夫婦者は決して怪しいものではありませんので、早とちりして110番通報するのは止めてください。
魚など水棲動物は観察できる状況にありませんので、私がこれまでに、みなみ台公園下の遊水池周辺で観察できた鳥たちを列記しますと、その種類は以下のとおり、25種類におよびます。 カルガモ、カワラヒワ、キジバト、キセキレイ、ゴイサギ、コゲラ、コジュケイ、シジュウカラ、ジョウビタキ、スズメ、セグロセキレイ、チョウゲンボウ、ツグミ、ツバメ、ニホンキジ、ドバト、トビ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ヒヨドリ、ホオジロ、マガモ、ムクドリ、メジロ、モズ 他に、「私はこんな鳥を見たよ!」と言う情報がありましたら、教えてください。
食物連鎖の上位に位置する鳥たちがこれほど多種類生息していると言うことは、鳥たちを養い得る植物(木の実や草の種)やミミズ、昆虫、トカゲ、カエル、魚などの小動物が相当数生息していることの証です。 結構豊かな生態系が形成されていることがわかりますね。 キジが公園を闊歩しているなんて、「ここはホントに横浜市ですか?」の気分です。
でも、どうしても、気になることは、遊水池の将来についてです。 遊水地の所有権は公団から横浜市に承継されているとのことですが、市の財政状況から見て、将来、住宅用地などに転用されてしまう危惧を感じるのは私だけでしょうか?
人間の都合で、みなみ台の元々の先住者である動植物たちを追いやって、わずかに残した文字通りのオアシスの遊水池まで潰してしまうのは、あまりにも身勝手で、残酷な仕打ちだと思うのです。 横浜市議の○○先生、そこんとこよろしくご配慮くださいね。統一地方選、シッカリ投票しましたからね。
|
 |
 |
小林一茶の俳句、様々な民話、童謡、果ては伊藤四朗さんの電線音頭にまで、身近な野鳥と言うと誰が何と言ってもスズメですよね。
鳥たちの繁殖の季節が近づき、今年も我が家の屋根と出窓の隙間に3、4個の巣が作られていて、ベランダの手すりと巣の間を、夜明けから日没まで休み無くチュンチュン、バタバタとせわしなく往復しています。 もうすぐ可愛い雛達に会えることでしょう。
でも、あまりにも身近でかえって不思議が多いのもスズメです。
不思議その1:雌か雄か?見分けられる方はいらっしゃいますか? スズメは雌雄同色で、大きさも違いがありません。鳥類ですので、オスの生殖器は体内にあり、外からは見えないのでこの点では雌雄の区別には役立ちません。 見分けるポイントは、「抱卵斑」の有無です。卵を抱く(暖める)部分の羽毛が雌では少なく、母スズメの体温が直接卵や子スズメに伝わりやすくなっており、それを抱卵斑と呼びます。 春から夏の繁殖期にだけ現われます。自然の摂理ですね。 ですから解剖するか、血液検査(染色体検査、アメリカまで血液を送ると調べられます)をしない限り、繁殖期以外は雌雄の区別がつきません。 なお、カラスも雌雄同色ですが、体のサイズがオスの方が一回り大きいので、カップルで並んでいると見分けられるそうです(本当?私には無理です)。
不思議その2:スズメの寿命はどれくらいなの? 報告者により差が大きいです。巣立ちを終えたスズメの平均寿命は7年との報告、10年との報告、20年との報告があります。 ちなみに長津田のお米屋さんのチュン太君は15歳まで生き、まだまだ元気でしたが、事故で亡くなりました。 いずれにしても結構長生きなのですね。
不思議その3:何の仲間なの? ハタオリドリ科 スズメ属に分類されます。日本では、ニュウナイスズメと言う、スズメより一回り小さく色素が薄い、別種のスズメがいますが、私は見たことありません。どなたか、ご覧になった方がいらっしゃいましたら教えてください。 ハタオリドリは樹の枝にぶら下がるように織物の様な巣をつくります。スズメの巣もハタオリドリの仲間らしく、まん丸く整った、横に出入り口のある巣を作ります。
不思議その4:スズメ・雀の語源・意味は? 「鳴き声由来説」があり、鳴き声が「シュシュ」と聞こえるところから来たという説。また一説によると、「とり」には尾の長い「とり」たちを「鳥」と表記し、尾の短い「とり」たちを隹と表記する使い分けがあるとのことです。 したがって、「雀」は小さくて、尾が短い「とり」をあらわすのだそうです。半信半疑。
不思議その5:案山子はスズメ除けの効果があるの? 案山子は長津田近郊の田んぼでも秋の風物になっています。 農家のおじさんに伺うと、「スズメは順応性が高いので、すぐに慣れてしまうが、時々、案山子の向きを変えたり、帽子を変えたり、目先(視覚刺激)を変えると、それなりに効果がある。」とのことです。
都市化など自然環境の変化に順応し、穀類でも昆虫でも選り好みせずに何でも食べ、目立たず、騒がず、それでいて何となく愛されて、しっかりと種の繁栄を遂げているスズメ君達はなかなかどうして、世渡りの達人と言えるのかもしれませんね。
見習わなくっちゃ。
|
 |
 |
爛漫の春が目の前まで来ています。 環状4号線沿い、海軍通りの桜並木(ソメイヨシノ)は手近で見ごたえがありますが、長津田に「伯楽の山桜」と呼ばれる名木があることはあまり知られていないですね。
「伯楽の山桜」は国道246号、宮の前の交差点を北部斎場方面へむかい、「天王様下」バス停から枝道を400mほど入った所に自生する樹齢350年!の一本桜です。 付近の農家の方々が何代にもわたって守ってこられたお陰で、幹は一人では抱えられないほどの太さで、樹高は20mにも達していて、花色はあくまでも淡く、一輪一輪が大きめですから、華やかで存在感があります。
ソメイヨシノよりも1週間から10日遅れで満開を迎えますので、お花見が二回できて、絶対に得した気分になれますよ。
ところで、「伯楽」は中国、周時代の人の名で、「馬の素質の良否をよく見分ける人」、「動物の病気を治す人」要するに獣医だそうですので、同業者の私としては「伯楽の山桜」はことさら身近なものに感じられるのです。 また、現在では「人物を見抜き、その能力を引き出し育てるのがじょうずな人」を「名伯楽」と表現し、プロ野球の故仰木監督などは良くこう比喩されていましたね。イチローや野茂をはじめ多くの個性的な選手を育てた手腕は名伯楽に値しますよね。
もうひとつ「美味しい春」として、東名高速沿いの雑木林に自生している「タラの芽」があります。そろそろ一番芽がふくらんで来る頃ですので、てんぷらにしてビールとの「ホロ苦二重奏」が楽しみです。
「伯楽の山桜」、「タラの芽自生地」周辺は谷戸と低山が入り組んだ、昔ながらの長津田の自然・趣が残る場所で、尾根筋の小径は絶好の散歩コースです。 我が家をスタート地点とすると、ゆっくり歩いて2時間くらいで回れます。
今年は多分4月1日の土曜日が満開だと予想されます(一応、下見済みですが外れたらエープリルフール、ゴメンです)ので、その頃にワンコをつれて、お出かけになることをお勧めします。
|
| ◆セカンドオピニオン(大学病院など専門医との連携)について |
最近、「セカンドオピニオン」という言葉を耳にする機会が多いですよね。
例えば私自身がアトピー性皮膚炎になってしまい、「みなみ台皮膚科医院のxx先生の治療を受けているが、○○の理由で他の先生からも診断や治療方針について意見を聞いて十分に納得した上で治療を受けたいと考える」ような時に、「セカンドオピニオンを求める」と使います。
多くの場合、大学病院などの、より専門性の高いドクターにセカンドオピニオンを求めることになると思います。
動物医療の場合は、専門化された病院が少ないこともあり、あちこちの獣医さんを渡り歩く「ドクターショッピング」の弊害の面が強く出てしまう残念な現状です。
飼い主の皆様の動物医療への要求レベルが年々高度なものへと変貌していますので「セカンドオピニオンをお求めになる」のは当然の流れだと思います。
私たち開業獣医師としては自ら研鑚を積み、知識・技術の向上に努めることで皆様のニーズにお応えすることが本質だと自覚しています。 また、これと平行して、専門医との連携を強めることも重要なことだと考えております。
当院では、東京、神奈川の獣医大学附属病院と連携・コミュニケーションを深めており、病気の種類や飼い主さんのご希望(ご都合)に応じて、責任を持って適切な病院(専門の先生)をご紹介できる体制を整えています。
ご紹介するに際しては、当院での検査・診断内容(レントゲン写真や心電図なども)、治療内容を「紹介状(診療情報提供書)」としてまとめ、紹介先の先生の参考資料としています。 これにより検査の重複を防ぎ、費用も最小限にできる副次的な効果も生じます。
専門病院での診断が下され、治療方針が決定した後は、ホームドクターとして当院で治療・経過観察を行うことも普通に行われる様になってきています(病診連携)。
以上、もし、皆様が「セカンドオピニオンを求めたい」、「専門医の診察を受けたい」とのご希望をお持ちでしたら、ご遠慮なく(時々、近藤先生が気を悪くするのではないか?などと無用な気遣いをされる方がいらっしゃいますが)ご相談ください。
重要なことは、動物達に質の高い治療を受けてもらうことだと考えております。
|
 |
 |
あちこちの空き地にオオイヌノフグリが瑠璃色の可憐な花を咲かせ始めました。
まだちらほらですが、これから暖かくなるにつれ開花が進み、何故か、いつも混ざり合って生えているホトケノザの赤紫色の花と一体になって、一面、ペルシャ絨毯の様な色模様を見せてくれるはずです。
日本には在来種の「イヌノフグリ」が広く自生していたのですが、ヨーロッパ、西アジアを原産地とする、より大型で繁殖力旺盛な「オオイヌノフグリ」が明治中頃に渡来・帰化し、それ以後、イヌノフグリは急速に駆逐されてしまって、今では滅多にお目にかかれない存在です。
オオイヌノフグリは春先に他の草花に先駆けて、咲き始めてくれますし、子供のころには、ままごと遊びのご飯のふりかけにしたり、たくさん集めて花吹雪を散らしたりと、何か、ホンワカした思い出が詰まっていますので、私には大好きな植物です。
「イヌノフグリ」の名前の由来は言わずと知れた「ワンコのタマタマ」です。 花が終わった後、結実しますが、その実(種子)の形が、ワンコのタマタマにそっくりなので、この名前がついたそうです。獣医も納得。 本物の「犬のふぐり」と「イヌノフグリの種子」の比較写真を載せましたので、ジックリとご照覧あれ。
この名前では、あんまり気の毒だと思ったのかどうか、「星の瞳」という別名を持っているそうです。これは初耳。
また、高浜虚子は いぬふぐり 星の瞬く ごとくなり との句を残しています。 オオイヌノフグリの瑠璃色の花は「星の瞳」、「星の瞬き」を連想させるのでしょう。
なお、花言葉は「誠実」と「清浄」ですが、これは清楚で可憐なオオイヌノフグリの花のイメージどおりですよね。
私も虚子に負けじと、一句ひねり出してみました。
オオイヌノ フグリと言うほど デカクない おそまつ。
|
 |
 |
 |
 |
玄海田公園がこの3月から一部利用可能になるそうです。
みなみ台には既に、大小合わせて5つもの、それぞれに個性的な公園がありますが、住宅の新築・人口の急増のために、休日などはどこも小さなお子さん連れのファミリーで賑わって(過密状態)います。 ですから、玄海田公園のオープンはとても待ち遠しいです。
敷地は東京ドーム13個分もあり、その半分は雑木林のまま残され、雑木林から湧き出る水が溜まって出来た池やそこから流れ出るせせらぎに沿っては遊歩道が整備されますのでお散歩に絶好です。
池やせせらぎでは蛍の養殖が計画されているとのことです。 夏の夕べのお楽しみ。
残りの半分は開放感あふれる芝生の原っぱで、子供が走り回れる自由広場です。 こんなに素敵な公園が住宅街の真っ只中にあるのですから、私たちは恵まれています。
公園は次代を担う子供たち・若者のためにあるのはもちろん、これまでの日本社会を築き守ってこられたお年寄りが心地よく過ごせる場所でもあるべきだと思います。 その意味で、高齢者の使い勝手を考慮し、通路の段差を最小限に留める設計、ゆったりと時間を過ごせるベンチが適度に配置されると言う方針も良いですね。 横浜市の公園管理や企画を担当した方に拍手。
ところで、現在の日本の都市部では、大部分のワンコがお家の中で飼育されていますので、運動不足やそれに伴うストレスの問題は軽視できません。
チワワ君やポメちゃんクラスの超小型犬であれば、日常のお散歩で十分な運動カロリーが消費されますが、中・大型犬や、たとえ体は小さくとも祖先が狩猟犬であるプードルさんやダックス君は慢性的に運動不足。 同様に、使役犬(牧羊犬など)のコーギーやシェルティー、テリア種なども毎日、相当な運動カロリーを消費しないと、身体的にも精神的にも影響を受け、肥満、無駄吠え、攻撃性などの問題行動に繋がることがはっきりしています。
獣医としてはその観点から、広大な玄海田公園を、人とともにワンコも受け入れてくれる場所に出来たらどんなにか素晴らしいことだと思うのです。
イギリスやアメリカなど、いわゆるペット先進国では公園をワンコ連れでお散歩する市民の姿は当たり前の光景ですし、多くのワンコはリードを放して、自由に歩いていますよね。
日本の現状では、公園に無秩序にワンコを入れることは、排泄物の問題、吠え声の問題、ワンコ同士の喧嘩、人への噛み付き事故などの心配が付きまとい、100%良いこととは言えません。 でも、公園の一部をワンコ連れに開放するなど、共存の工夫は必要なことだと思うのです。
ひとつのあり方が、公園用地の一部をフェンスで囲い、人間エリアと区分したドッグランスペースを確保することだと思います。 市が募集した玄海田公園の利用についての市民の意見(パブリックコメント)にはペット関係の要望は無く、ドッグランは計画されていません。
他の自治体の状況を調べますと、東京都などではドッグランが併設される公園が増えていることが分かりました。
3月の玄海田公園の供用開始は、あくまでも仮オープンだそうです。 今後、平成21年までに徐々に公園全体の整備を進めていくスケジュールですので、何とか実現の方向で働きかけたいと思います(ご賛同下さい)。
横浜市議の○○先生、そこんとこ、よろしくご理解のほど。 統一地方選、シッカリ応援しますからね。
|
 |
 |
地球温暖化とは言うものの、大寒のこの時期、ひときわ寒さがこたえますね。 愛犬コーちゃんの夜のお散歩に出かけるときも、「さあ、行くぞ」と気合を入れなおす必要があります。
でも、この時期の夜空は大気が澄み渡っていて、星がきれいに見えますよね。 みなみ台周辺は都心と比べ高層の建物が少ないので、空が広く、ぐるり360度色々な星たちに出会えます。 子供の頃に、「一番星見つけた」と歌った金星(宵の明星)は夕焼けと明るさを競っているようです。
先日、長期在胎に加え、微弱陣痛のため難産に陥ったシーズーさんの帝王切開を行い、男の子1匹、女の子3匹の計4匹が無事に誕生しました。 お母さんシーズーはとても良く頑張りました。子犬たちも一生懸命おっぱいを吸って、順調に育っています。
深夜、飼い主さんにお返ししたとき(退院時)に空を見上げたら、降るような星空で冬の大三角がとてもきれいでしたよ。 ご存知だと思いますが、冬の大三角とはこいぬ座のプロキオンとおおいぬ座のシリウス、それとオリオン座のベテルギウスが作る三角形のことです。
ワンコの名前の付いた星たちの瞬きは、まるで子犬たちの誕生を祝福してい様に思え、私にはとても印象的でした。 唱歌「冬の星座」を思い出しました。
木枯らしとだえて ほのぼの明かりて さゆる空より 流るる銀河 地上に降りしく オリオン舞い立ち 奇(くす)しきし光よ スバルはさざめく ものみな憩える 無窮(むきゅう)をゆびさす しじまの中に 北斗の針と きらめき揺れつつ きらめき揺れつつ 星座はめぐる 星座はめぐる
|
 |
 |
私のダンナは長年不眠に悩まされています。 眠りが浅く、早朝(と言うより、夜中)に目覚めてしまい、寝床で悶々と朝を待つ状態だそうです(私は熟睡していますので真偽の程は定かではありませんが・・・)。
睡眠が足りないので、その分昼間は居眠りが出ます。とても不自然、不健康。 これと言った心配事があるわけではなく、ただ何となく不安で焦燥感があり、眠れないそうです。 「全般性不安障害」と自己診断。
そもそも「不安」は人間をはじめ高等動物に備わっている危機管理能力のひとつで、不安や恐怖を感じて動悸がしたり、汗をかいたりするのは、身近に迫ってきている危険から身を守るための大切な機能なのだそうです。
つまり、人間や動物は危険を感じると、交感神経が興奮し、心拍数が上がり、周囲の動きや音に敏感になって、何かがあったら敏速に動けたり走り出せたりするように、体が自動的に対応する準備をしてくれるのですね。 眠りが浅いのも同じ仕組み。
その「不安」が必要以上に強く(あるいは不安に対し体が過剰に反応し)、様々な精神的、身体的不具合が出てしまうのが不安神経症や全般性不安障害と言う状態のようです。
ところで、動物との触れ合い・交流がストレスや不安をいやす効果があることは分かっていましたが、その効果を定量的に評価した研究は充分ではなく、主観的・感覚的な判断に基づく研究が大部分で客観性に欠く嫌いがありました。
しかし、昨年の11月の米国心臓病学会で米カリフォルニア大ロサンゼルス校のチームがワンコとの触れ合いが、心臓病患者の不安軽減や血圧などの改善に大きな効果をもたらすことを、具体的な数値をもとに発表しました。
この研究は心不全で入院中の患者76人(平均57歳)を対象とし、 @ ボランティアの人が連れてきたワンコと触れ合うグループ A ボランティアだけの訪問を受けるグループ B ベッドで安静にするグループ の3群に分け、不安の強さの変化を測定する方法で行われました。 「不安の強さ」はハミルトン不安評価尺度と言うスケールを用いて定量的・客観的に評価したのです。
その結果、ワンコと触れ合った患者群では、不安の強さが訪問前より平均24%低下したのに対して、人の訪問のみ受けた患者群では10%の低下にとどまり、安静に寝ていた患者群には変化はみられませんでした。
同様に、ストレスに関係するホルモン「アドレナリン」の量も、ワンコと接した患者群では17%も低下したのに対して、人の訪問のみ受けた患者群では2%しか下がりませんでした。
血圧も、ワンコと触れ合った患者群だけに改善がみられたということです。 これらから「動物との触れ合いは人を幸福に、落ち着いた気分にさせる効果がある」と結論付けています。
また、長らく不妊に悩んで治療を受けていらしたご夫婦が、ワンコを飼い始めたところ、あきらめかけていた赤ちゃんを授かったと言うおめでたい話をご本人から直接、立て続けに2件、聞いています。 ワンコとふれあい始めた途端に、不順だった排卵周期が正常リズムに戻り、薬など人工的な補助なしに妊娠し、出産までの経過も順調だったとのことです。
これをワンコの効用と結論付けることは短絡的との謗りを受けざるを得ないと思いますが、奥様も奥様のお母様も、「ワンコとのふれあいで精神的な安らぎを感じ、それと時を同じくして排卵周期が安定した」と固く信じておられるのは確かです。
ホントすごいですね。動物たちのいやし効果は。
でも、良く考えると、我が家にもコーギーのこーちゃんが居ます。 「なんで、不安や不眠に悩ませられるのよ。こーちゃんのいやし効果はどうなっているの?」と問い詰めたら、ダンナの答えは「こーちゃんが死んでしまうことが心配だ」ですと。
どうぞ一人で勝手に悩んでいらっしゃい。チャンチャン。
|
 |
 |
みなみ台周辺もすっかり冬枯れしてしまいましたね。 でも、玄海田公園から岡部谷戸にかけての岩川沿いの雑木林には真っ赤に色づいたカラスウリがそこここに実り、秋の名残を留めています。
一服の絵画になりそうな風情ですので、ワンコのお散歩ついで、一足伸ばして見に行かれることをお勧めします。
カラスウリの名前の由来は「カラスが食べるウリ」によると言う説が有力(カラスのウンチ内容物調査でカラスウリの種が見つかった事実もあります)です。
また、一説では唐朱瓜(からしゅうり)つまり中国の寺院などに塗られる朱色をした瓜とも言われています。説得力あり。
一方、植物名ではカラスだのスズメだのキツネだのイヌだのヘビだのと言う、動物の名前を冠して、○○モドキ、XXに似ているが役に立たないと言った、贋物的な賤しんだイメージを持たせるネーミングもあります。
例えば、スズメノエンドウやカラスノエンドウはマメ科のサヤエンドウのミニチュア版(食べられません)ですし、ヘビイチゴも同様。 イヌツゲの場合は「ツゲに似ているが櫛の素材にならない」という意味があります。また、キツネノチャブクロと言うキノコは「茶入れ袋にキツネが化けた」の意味です。
ですから、カラスウリは「ウリそっくりだが食べられない」に由来すると言う説もあり、こちらもまた説得力充分。
でも、カラスウリの根(山芋の様に澱粉を蓄えています)を晒した物は天瓜粉(てんかふん)として、ベビーパウダーに利用されるそうですし、利胆剤としても用いられるそうです。初耳。 実も青いうちは漬物にして食べる地方があるそうですので、役に立たないことはありませんよね。
私のダンナは小さい頃、ヌルヌルの果肉をしもやけやひび割れの手に擦り込んでハンドクリームの代わりにしたそうです。野生児ですね。
カラスウリは、実の赤さ、鮮やかさばかりが知られていますが、花にも大きな特長があります。 瓜の仲間ですので雄花雌花の雌雄異株で、しかも一晩で咲いて、その夜のうちに凋んでしまう一夜花です。日没直前ごろから蕾をほころばせ始め、まるで白いレースと言うか刺繍の様な縁取りが印象的な花です。蛾など夜行性の昆虫を誘って花粉を運んでもらう為、付近一帯に甘い悩ましい香りを漂わせます。
話は変わりますが、「名前の由来」に関連して思い出されるのが、某動物健康保険会社が集計したワンコの名前の人気ランキングです。 今年、保険会社に登録されたワンコの名前で最も多かったのは「チョコ」ちゃんだそうです(雄雌の合計ランク)。 以下男女別ランキングを引用しますと、
男の子 女の子 1位: チョコ モモ 2位: マロン ハナ 3位: レオ サクラ 4位: ソラ ナナ 5位: レオン チョコ
どの名前も、親しみやすく、愛らしく、そして呼びやすい(ワンコも覚えやすそう)ですね。
ワンコでも、ニャンコでも、当然人間の子供にでも名前をつける時は、その子の将来の幸福を願って、真剣に悩み抜いて命名しますよね。 我が家では先代のプードルはプーちゃん、コーギーはこーちゃん、今度ファミリーに加わったノーフォークテリアはノンちゃんですが、安直過ぎるかな?
|
 |
 |
脳の「大脳辺縁系」には、見た目がタツノオトシゴそっくりの組織があり、海馬(かいば)と呼ばれます。
このタツノオトシゴ君の働きは実に重要で、「記憶の司令塔」と表現されます。 日常生活や勉強を通して得られた全ての情報(新しい記憶)は、一度海馬の中に収容され、分類の上整理整頓され、項目別に大脳皮質の特定の部分に送られ、古い記憶として貯められるのです。なるほど、司令塔ですね。
ですから、海馬の働きが悪くなると、新しいことを覚え難くなる、覚えたことを取り出せない(記憶を脳のどこに仕舞ったか分からないから)、記憶が無秩序・不合理になるなどの症状が出てしまいます。
昔のことは覚えていても、新しいことはすぐに忘れてしまう、どこかの誰かさんは脳の中のタツノオトシゴ君がストライキを起こしているのかもしれませんね。 しかも、海馬はとてもデリケートな組織で、脳の虚血やアルコール中毒、アルツハイマーなどで最初に障害を受ける場所だそうです。
自慢のようでナンですが、私のタツノオトシゴ君は健在です。 皆様のお顔は1回の来院でまず間違いなく覚えます。 そして、一度覚えたお顔はお名前、ワンコ、ニャンコの病歴とセットで自然に頭に入り、10年経とうと忘れることはありません。
よく、スタッフなどから「どうやって覚えるのですか?」と訊かれますが、自然と何の苦労もなく覚えてしまうのです。 私はそれが普通だと思っていましたので、なかなか覚えられないスタッフに、「大切な患者さんのお顔くらいちゃんと覚えなくてはだめでしょ!!!」ときついことを言ってしまいます。
それはさておき、当院はいぶき野から引っ越してきて、早いものでもう7年半になりました。 当時、フェンス一枚のお隣にはKさんご一家がお住まいで、我が家のコーギー、こーちゃんをとても可愛がって下さいました。 特に、お役所を退官されていたご主人は雨の日も風の日も毎夕お散歩をしてくれて、こーちゃんもご主人にとても懐いていました。
いぶき野とここは、ほんの数百メートルの距離ですが、ご主人とお会いする機会が久しく途絶えていました。 でも、先日、突然お出でになり、「ホーッ、こーちゃん」と独特の懐かしい声をかけて下さったのです。
その時のこーちゃんの様子と言ったら、何度もジャンプして、身を揉んで、体を擦り付け、歓喜の声で大歓迎していました。 こーちゃんのタツノオトシゴ君もどうやら大丈夫、健在ですね。
ツバメは毎年何千キロ離れた南の島から日本に戻ってきて、去年と同じ家の同じ軒下に営巣しますが、ツバメの小さな脳にはどんなタツノオトシゴが住んでいるのかな?不思議です。
一方、私のダンナのタツノオトシゴは鮮度が落ちはじめている様子で、今朝も、自分の眼鏡が見当たらないと大騒ぎしていました。専属獣医になって半年過ぎたのにフードや薬剤等の置き場所、値段もさっぱり覚えられません。
反面、大変稀な内分泌疾患(アジソン病)の発症メカニズムやその病気に対して使われる薬剤など、こと細かく記憶しているのには驚かされます。 人それぞれと言うことでしょうか?
脳の働き、「記憶」に限らず、「思考」、「感情」、「感性」、「価値観」など人それぞれなのは当たり前。それが個性ですよね。
当院は常勤スタッフ4人のささやかなペットクリニックですが、4つの「個性」を見極め、うまく組み合わせて、補い合う工夫をすることが私の役割であり、皆様へのサービス向上に繋がると考えています (冷静な時だけですけどね)。
以下の画像は「海馬」タツノオトシゴ専門サイト管理人のchano様の許可を得て掲載しています。素敵なサイトですので、「海馬」と検索してみては?
|
 |
 |
私が移り住んだ頃の長津田周辺は武蔵野(相模野が正しい?)の台地そのものの面影で、クヌギやナラを主体とする雑木林(里山)と泉の湧く谷間が入り組んでいる、いわゆる「谷戸」と表現される地形でした。 今では、いぶき野、霧が丘、若葉台、あかね台、そして、みなみ台と開発が最終段階に差しかかり、美しく整備された住宅街に変貌しています。
宅地造成初期にはブルドーザーが丘陵を削り、工事用の仮の道路を作る光景があちこちで見られました。 散歩していると、削られた地層に屋根瓦か煉瓦のかけらのようなものがたくさん露出して見え、手に取るとそれらは土器の破片だったのです。 表面には縄文模様が存在するので、いわゆる縄文式土器だと思われました。 縄文人の住居跡(遺跡)ですよね。
本来、遺跡は教育委員会の主導で発掘調査・保存を行うべきものですが、公団には時間とお金が余分に必要になる「厄介もの」のようで、重要な遺跡以外は、「見なかったことにしておこう」状態だったのです。
そんな訳で、土器集めにいそしみましたが、焼け焦げた石が積み重なって、囲炉裏と思しき所が確認できたり、土器の底の部分に炭化した穀類が認められたり、カワニナやタニシの貝殻(常食していたのでしょう)がたくさんあったり、と一丁前の考古学者気分に浸ったものでした。
遺跡らしき場所は、何箇所もありましたが、どこも大抵南斜面にあり、陽当たり良好で北風を遮る暖かそうな所です。 また、坂を少し下ると湧き水が流れていて、昔の人が生活するには一等地の様に思えます。
拾った土器類のなかで、私が最も気になっていたのは、携帯電話サイズの石英質の白いきれいな自然石です。 土器が折り重なっている間にありましたので、縄文人たちが何かに使っていたのだと思われます。 私は縄文人の子供のおもちゃだと確信しました。
晩秋の夕刻、拾ったその小石を手にしていると、手の温度が石に伝わり、温かみを帯びてきます。 その温もりが今度は逆に私の手のひらに伝わり、何となく縄文人の子供と手をつないでいるような錯覚に陥るのです。 そんな心理状態で、あたりを見回すと、紅葉した雑木林を夕陽が更に鮮やかに染めた中で、縄文人の家族が夕食のひと時を過ごしている楽しげなシーンがありありと想起されます。 まるでタイムスリップしたみたいに。
その小石を「私のタイムマシン」と名付け、20年以上ずっと持っていましたが、造成が完成したのを期に、もとの場所付近に埋め戻しました。 「縄文の子供達のもとに戻りますように」と念じながら。
|
 |
 |
連日のようにニシキヘビやらキングスネークやらイグアナやらサソリやらペットの脱走事件・追跡劇がマスコミを賑わしていますが、「ヘビのペット」は理解に苦しみます。はっきり言いますが、私は獣医でもヘビは苦手。トラウマあり。
十数年前の、とある日曜日。玄関ドアを開け放して通路や庭先の掃き掃除。 一段落して、ヨッコラショと玄関框に腰を下ろし、何の気なしに横を見ると、すぐ横に1mは楽にあろうかと言うアオダイショウがとぐろを巻いていて、眼と眼が合ってしまったと想像して下さい。
「ギャ〜〜、ヘビ〜〜〜〜」と、絹を裂くような悲鳴を上げて、外に這い出ましたっけ。腰が抜けると言う感覚をはじめて体験しました。 居合わせた主人が竹ぼうきで追い出してくれましたが、心拍数が正常に戻るまでの時間の長かったこと。 トラウマです。
騒動はそれで収まらず。お隣の奥様が私の声を聞いて、食卓の上に飛び上り、数時間下りられなかったそうです(この姿は想像してはダメですよ)。
その当時、このあたりは、山あり谷あり沼地あり、雑木林が広がっていて、ワンコの散歩をすると必ずと言って良いほどヘビ君に遭遇したものです。 しかし、あれほど普通にいたヘビ君達にも最近ではトントお眼にかかれなくなってしまいました。
木々を切り倒し、丘を削り、谷を埋める造成工事は、ヘビ君達には過酷な環境変化なのでしょう。
先住民に敬意を表し、みなみ台で見たヘビ4種(アオダイショウ、ヤマカガシ、シマヘビ、ジムグリ、以上いずれもナミヘビ科に属す)について調べてみました。 我慢して、写真も出しちゃいましょう。 なにしろトラウマが癒しきれていないのですから。
@ アオダイショウ: 体長2m近くなる日本最大のヘビ。オリーブ色に薄い4本の縦条。人家付近にも多いために目にする機会も多い。縁起の良いヘビとされている。野鳥の巣を狙うのはやめていただきたいです。 A ヤマカガシ: 体長70〜150cm。褐色の地色に黒い斑紋と赤、黄、深緑が混ざるカラフルな体色。滅多にかみつかず、おとなしいのですが比較的強い毒を持っていることが知られています。実際に咬傷で亡くなった方もいるようです。また、首筋から毒を分泌し、これが目に入ると失明をするおそれもあるそうです。手を出さない方が無難です。 B シマヘビ: 体長80〜180cm。この辺で最も普通のヘビ。体色は黄褐色から褐色で4本の明瞭な縦条が特徴。水辺などカエルが多いところ、草むら、林内等に住む。結構気の荒いヘビで、捕まえようとすると咬みついてきます。ヒトを見るとスッと草むらに隠れる。本当は臆病で平和的? C ジムグリ: 体長70〜100cm。よく穴に潜るのでこの名前が付いた。淡黄〜赤褐色の体色で青みがかった小班点が散在。腹面も同様の色で、市松模様に黒色斑がある。非常におとなしい性質で咬むようなことはない。 「日本動物大百科5、両生類・爬虫類・硬骨魚類:平凡社」をもとに作成
|
 |
 |
 |
 |
ネコのチビ君が亡くなりました。 生後まだ2ヶ月くらいの子猫の時から丁度20年、飼い主さんに慈しまれた幸せなネコさんでした。
初診の時、ウイルス性鼻気管炎という病気に罹っていて、危険な状態でした。何とか救命できたものの、後遺症として、頑固な胸膜炎を引きずり、回復したり、再燃したりの繰り返しで、とても寿命を全うすることは叶わないものと思われました。
胸膜炎と闘う(と言うより、共存する)状態は10年ほども続き、抗生物質、炎症を緩和する薬剤の投与を中心とする治療もまた繰り返されました。
その後、ようやく健康を取り戻し、「獣医要らず」で過ごしていましたが、高齢のネコの避けられない病気である腎症に罹ったこともあり、再び闘病生活に入り、結局、その日を迎えることになりました。
最後の診察の時、頭を持ち上げることさえ辛そうなチビ君が、訴えかけるような眼差しで、私を見つめてくれました。 私も、「ああ、これで最後の治療になるな」と感じ、点滴終了後の体から手を離すことが出来ませんでした。
私たちは治療した動物、特にネコから「感謝」されることは多くありません。例外は、咽喉に引っ掛かった魚の骨を取ってあげるなど、「獣医が何かした⇒急に痛みが取れた」のように関係が分かり易い場合だけです。
でも、チビ君とのあのアイコンタクトの瞬間は、「先生有難う」の気持を感じざるを得ないものでした。 本当は「有難う」を言うべきは私の方です。
臨床経験が少なく、未熟だった20年前の私にとり、胸膜炎のネコは、教科書の中の存在でした。 聴診器を当てて聞こえる特有の呼吸音、専門的になりますが「胸膜摩擦音」、「捻髪音」、「湿性ラッセル音」などの病的呼吸音を聞き取れるようになれたのや、胸部レントゲン写真の各種の陰影を見分けられるようになれたのは、チビ君の診察・治療を通じてのことです。
また、チビ君の経過から、同じ病気のネコさんの予後もある程度自信を持ってお話し出来る様になりました。
「チビ君は私にとって、呼吸器疾患を診察する上での先生だった」と、思い至るのです。 私と一緒に病気と闘ってくれたチビ君の経験を今後の診療に活かす決意です。
本当に良くがんばったね。どうぞ、ゆっくり休んでください。
|
 |
 |
当院の南隣のブロックに1年前から建築中だったマンションがとても美しく、立派に完成し、160世帯ものご家族が入居されました。
建築に先立ち、整地のためパワーシャベルが入りましたが、葛(クズ)が生い茂っていたため、掘り返された現場には葛の根がたくさん捨てられていました。 私のダンナはもったいないからと、夜陰に乗じて持ち帰り、葛粉の抽出を試みました。
葛の語源は、奈良県吉野郡の国栖(くず)から来ていると言われています。 そこには国栖人と呼ばれる帰化人が住んでいて、彼らは、そこに群生している蔓草(かずらぐさ)を食用にしたり、その繊維を使い織物を作ったりと、大変重宝していました。それで「国栖人が使う、つる性植物」がいつしか「くず」へと変化したそうです。
葛粉は良質の澱粉であり、食用にはもちろん、風邪薬としての葛根湯は最も汎用される漢方薬ですし、花を用いる葛花解醒湯(かっかかいせいとう)は二日酔いに効能が認められています。 残念ですが、獣医さんが薬として使う機会は殆どありません。 ともあれ、葛は人の役に立つのでエライのです。
澱粉は「水中で沈殿する粉」のことですから葛粉の取り出し方は、 @ 葛の根を洗う A 金槌で叩いて、根の繊維をばらばらにし、繊維の間に含まれる澱粉が出易くする B 叩いた葛の根を水の中に数日漬けて置く C 葛の根を取り出し、上澄み液を捨てる D 底に沈殿している葛粉を含む泥状のものに水を加えかき回し、数日間放置 E 上澄み液を捨て、沈殿している葛粉を取り出す D、Eの作業を数回繰り返し、純白の半個体になったら乾燥させて完成。
両手で抱えきれないほどの葛の根を処理して、取れるのはせいぜい茶碗一杯。 体がとてもエラカッタ(名古屋方面の方、分かってね)。 もったいなくて、とても食べられず、大事に保管中。
葛はマメ科のつる性の多年草で、日本(北海道から沖縄まで)、アジア諸国、に広く自生し,アメリカには飼料植物として移植され現在は帰化しています。 空気中の窒素を栄養分として利用するマメ科植物の特徴により、養分のない荒れ地でも、他の植物に先がけて定着し成育することが出来ます。 葛は様々な草食動物に好んで食べられ、草食動物の糞が有機成分を土壌に供給し、森林形成など、新たな生態系を取り戻す重要な契機になります。
フィリピンのピナツボ火山の噴火により、山麓一帯が火山灰に覆われ、森林が全滅した時には、日本から葛の種が贈られ、これにより森林再生に寄与したそうです。 葛は環境・生態系にとっても、ホントにエライのです。
ところで、葛と言えば、秋の七草ですよね。山上憶良は万葉集で、 秋の野に 咲きたる花を 指(オヨビ゙)折り かき数ふれば 七種の花 萩の花 尾花 葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔が花 と歌っています。 葛は情緒面でもエライのです。
エライエライと褒めちぎりましたが、その繁殖力の旺盛さから畑を浸食される農民や林業従事者、高速道路や高圧線を管理する人たちからは敬遠されているようです。
そろそろ、保管中の「マンション葛粉」の食べ方を決めましょう。 葛きりにして食べましょうかね。 シンプルにほんのり甘く味付けた葛湯も、葛餅も良いですね。 なにしろ食欲の秋ですから。
|
 |
 |
| ◆みなみ台の素敵な先住民達:カワニナvsゲンジボタル |
蜷(にな)は古い言葉で、淡水産の小さな巻貝の意味です。 従って、川蜷(カワニナ)は川に棲む小さな巻貝です。そのまんまのネーミング。
ほんの小川の岩川の、そのまた支流の名も知れないささやかな小川達。 それら小川の岸辺や水中に長さ0.5cm〜4cmの茶色〜黒色の細長い巻貝が見られ、カタツムリのように2本のツノをユラユラさせていたら、それはカワニナである可能性が高いです。
みなみ台周辺は縄文・弥生時代の住居跡(遺跡)が散在していますが、そこからは土器のかけらに混ざってカワニナ、タニシの貝殻が結構出てきました。 推測ですが、ここらの縄文人はカワニナ、タニシなどの淡水産貝類を食していたようです。食べ物の少なくなる冬場などには、1年を通して手に入るカワニナなどは貴重な蛋白質だったのでしょうね。 現代人も一部地方では、カワニナを食する習慣があり、グルメ本(海の味、八坂書房)にもカワニナ料理のことが書かれています。サザエみたいな蓋はありませんが、小さいのでいちいちホジクリ出して食べるの面倒くさそうです。
カワニナは川底の落ち葉の分解物など、有機分を食べていますが、殻を形成するためにカルシウムなどのミネラルも大量に必要とします。ですから、カワニナが棲める所は豊な森に囲まれていて、ミネラルを含む湧き水が流れている必要があります。 カワニナは「水質階級U」の指標生物に指定されていますので、みなみ台周辺は都市部にしては恵まれた環境であることが分かります。
ところで、カワニナは「ゲンジボタルの幼虫の餌」としてチョー有名ですよね。 ゲンジボタルは卵→幼虫→蛹→成虫の一生を1年間で終えますが、食に関してはヘンな拘りがあり、成虫は水しか飲みませんし、幼虫はカワニナしか食べません。 つまり、自分自身の一生分だけでなく次の世代分(卵)の栄養まで、幼虫の時期にカワニナを食べることだけにより得ているのです。そのため、一匹のゲンジボタルが必要とするカワニナは40匹にも上るそうです。まさしく天敵。
食べ方は貝の中に入り込み、消化液を吐き出して、カワニナをドロドロに溶かして吸い込むと言う、エレガントに発光するホタルとは思われない、マナーの悪さです。
地主さんのお話によると、30年前の岩川沿いは蛍が無数にいて、飛び交う光の筋が、それは幻想的だったそうです。残念ながら開発に伴い、今はぜんぜん見られません。
でも、玄海田の運動公園の湧き水(池)でゲンジボタルを養殖(当然カワニナも)する横浜市の計画がありますので、2〜3年先にはホタルの乱舞が復活しそうです。 すごく楽しみですね。
|
 |
 |
| ◆勿体無い、もったいない、Mottainaiでエコロジー |
新聞で読みましたが、「もったいない、Mottainai」という言葉が国際共通語として国連やユネスコなどで通用するようになっているそうですね。 訪日時にこの日本語を知ったノーベル平和賞のケニア婦人ワンガリ・マータイさんによると「もったいない」には、ごみの減量、再使用、再利用という意味がすべて含まれていて、エコロジーの精神そのものだと感心したとのこと。
先の滋賀県知事選挙で新人の嘉田由紀子さんが、新幹線の新駅やダムなどの建設を「もったいない」と反対し、当選したことは記憶に新しいところです。
世の中には「もったいない」ことがたくさんありますが、究極の「もったいない」は戦争と言う行為だと思います。 イラクの戦争でアメリカが2005年10月までにつぎ込んだ費用は直接費だけで2500億ドル、約26兆円だそうですね。 その後の駐留経費とか復興経費を含めるとナント200兆円との試算もあるとのことで、金額が大きすぎて実感できません。
トマホークミサイル1発が約50億円。50億円のミサイル飛ばして橋だの病院だの学校だのをぶっ壊し、人間を殺し合い、憎しみあうのですから。 おまけに、ガソリンの価格急騰までもたらして迷惑千万。 ズバリ言わせてもらいます。こんなこと始めてヘラヘラしているジョージ・ブッシュは生理的に大嫌い。
自然の恵みを利用しないことも「もったいない」ことですよね。 我が家の屋根には、ソーラ発電機を乗せてあり、太陽光エネルギーは目一杯利用しています。 設置後6年目ですが、初期投資を快調に回収しています。 今は価格も随分安くなっていますので、CO2排泄抑制の観点で絶対にお薦めです。
でも、その電気でお湯を沸かしているところは、かなりマヌケな感じがします。太陽熱を熱エネルギーそのものとして使えば何倍も効率的なはずですからね。
家庭用の風力発電はつくば市のドタバタも逆風になり、まだまだ実用化には程遠いようですが、燃料電池などという、原理不明のハイテクより、自然エネルギーをイメージしやすいですよね。「ガスパッチョ」も何のことやら分かりません。ネーミングに問題あり??
雨水を利用せずに溝に流しているのも多くの国から見ると、とても「もったいない」ことだそうですね。雨水枡の設置を検討中です。 あとは、地道にゴミの分別に精を出しましょう。
獣医の私にとって最大の「もったいない」はディスポーザブルの医療用具の氾濫です。 注射ポンプ、注射針から手術用手袋、マスク、メスの刃、点滴のバッグまで何時の間にか皆、使い捨てになってしまいました。 私は、注射ポンプなどは、良く洗い、滅菌して2回までは使うようにしています(採血など、生体成分に触れたものは絶対に使いませんので、ご安心を)。
人間の場合、HIVや肝炎ウイルスの存在など、医療事故に繋がる可能性がありますので、ディスポーサブルにする必然性があると思いますが、動物の場合にはシッカリと高圧蒸気で滅菌すれば、感染を含め特別の問題はありません。 環境問題だけでなく、皆様に負担いただく診療コストの低減にも繋がります。
そんな訳で注文が少なくてごめんね!!医療器具の営業マンさん。
|
 |
 |
| ◆みなみ台のゆかいな先住民達:大ピンチです。アズマモグラ |
のどかな丘陵から美しい住宅街へ。みなみ台周辺の変貌を四半世紀にわたり見てきました。丘を削り、谷を埋める造成工事は、当然のことながら環境の激変を伴いました。 最も大きな影響を受けたのは、移動を得意としない動物達でしょう。 以前、ゾッとするほど沢山いたヘビ君達や地面をボコボコにしてくれたモグラ君達は最近ではみなみ台公園や玄海田公園など一部を除いてトントお眼にかかれなくなってしまいました。
先代の愛犬、柴犬のネビ(山陰地方の方言で、小さくて可愛いと言う意味があります)は散歩の途中、「モグラ塚」を見つけると、嬉々として鼻面を突っ込み、掘り返し、モグラ捕獲を試みたものです。ネビに捕まるマヌケなモグラはいなくて、いつも、空振りに終わりましたが・・・。 でも、ネビのチョッカイとは比べものにならない壮絶な生存競争の戦場に、ここ神奈川県がなっているとは全然知りませんでした。
最初の氷河時代に大陸からやってきたアズマモグラが日本列島に広く分布した後、次の氷河期には神戸付近に一回り大きいコウベモグラが侵入してきたそうです。腕力の強いコウベモグラはアズマモグラの生息場所を次々と奪い、東西南北へ勢力範囲を広げ、ついに箱根の山を越えて、神奈川県まで姿を見せるようになりました。さらに、山梨県側から多摩地区を窺がう気配も見せており、アズマモグラは包囲されつつあります。
宅地開発と侵入者のダブルパンチで大ピンチです。がんばるんだアズマモグラ!!
現在のモグラ戦争最前線は鎌倉付近で、両者の一進一退の攻防が四六時中繰り広げられていると考えられています。氷河期以来の地中大戦争なんてスケールが大きいこと。
ところで、モグラ君のキャラと言うと、サングラスかけて、ヘルメット被って、スコップ持って、と言うユーモラスなものですが、20年超の開業獣医歴で唯の一度も患者さんとして来院したことはありません。
当院の診療範囲は「イヌ、ネコ、小鳥、ゾウ、ライオン、ついでにオカピもいらっしゃい」と広いのです(うそです)が、獣医学の教科書にもモグラの病気はおろか各種の正常値の記載もありませんので、診察しても検査をしても健康なのか病気なのか判断できないと思います。出来ることはせいぜいケガの応急処置くらいですかね。
多摩動物園、広島の安佐動物公園ではモグラの飼育が行われていて、結構人に懐きやすい、きれい好きな可愛い動物だと紹介されています。 でも、餌は生きたミミズや昆虫に限られ、それも1日に自分の体重に近い量を必要とするそうですので、個人での飼育は困難です。 迷子のモグラを拾ってもペットにしようとは思わないほうが良いですよ。
モグラはゴルフコースの芝生を持ち上げたり、田んぼの畦などに穴をあけたりして、農家などには迷惑な存在ですが,モグラがいるということは昆虫やミミズなどが豊富で、土地が肥沃である証拠です。
生存権そのものの大ピンチに立たされている、きれい好きで愛嬌のあるモグラ、特にアズマモグラ君と人間が共存できる工夫(一体何が出来るのかな?答えが見つかりません)をこらしたいものですね。
↓アズマモグラ:身長約14cm、体重約85g、温和 ↓コウベモグラ:身長約16cm、体重約110g、凶暴性
|
 |
 |
いささか旧聞に属しますが、多摩川で最初に発見され、スターなみに追っかけられたアゴヒゲアザラシのタマちゃんが、その後一時出没した際「こんな汚い川に・・・」と、不名誉な報道のされ方をしたのが鶴見川。 川崎の鶴見川河口からJR横浜線沿いにさかのぼり、中山駅付近まで来ると恩田川に分岐します。
恩田川の源は町田市にあるそうですが、十日市場駅の北に注ぐ支流の一つが、わが町を流れる岩川です。 その岩川の源流は玄海田運動公園の丘陵と東京工業大学のある丘陵の谷間「岡部谷戸」付近にある湧水群です。 つまり岩川は全長わずか3kmほどの小川に過ぎないのですが、私にはとても気掛かりな存在なのです。
四半世紀前に、この地に移り住んでから、大規模宅地造成に伴う環境変化を見つづけてきました。 それは、自然破壊そのもので、美しい落葉広葉樹の雑木林とそこに棲む多くの小動物たちを根こそぎ消し去ることで、眼にするのがつらいものでした。
でも、岩川は当時の姿を殆ど変える事なく今日に至っています。 それどころか、以前と比べ、ゴミや川底のヘドロも減り、透明度が増して来ています。 特に、源流の「岡部谷戸」付近は、カワニナやサワガニが棲み、オニヤンマが乱舞し、カルガモ夫婦が子育てする、「せせらぎ」と呼ぶに相応しい風情ですよ。 良いお散歩コースですから、ワンコと散策することをお薦めします。 なお、この水は、付近の水田にも引かれて農業用水としても利用されています。
水質が保たれている理由として、下水整備により生活廃水が流入しなくなったこと、小川アメニティとして環境整備が図られていることなどが上げられますが、何よりも、地域住民が岩川を大切にしてきたことがポイントだと思います。
ただ、残念なことに上流の一部を除き、コンクリートの三方護岸で覆われてしまっている上、柵で囲われています。 住宅地なので「治水」や「子供の水難事故防止」が行政上、最優先されることは理解できますが、せめて、藻や葦などの水生植物が生えることが出来る素材(疎水性のコンクリート、溶岩ブロックなど)に置き換えることは出来ない相談なのでしょうか?
そうする事で、一層の水質浄化や魚や昆虫が増える効果が期待できると思います。 そして、こども達に「小鮒釣りし、かの川」、「水は清き故郷」の詩どおりの環境を与えてあげることも可能になりますよね。
横浜市議の○○先生ご検討よろしくね。選挙、シッカリ応援しますからね。
|
 |
 |
私にとって、大学時代の夏の思い出と言うと、何と言っても三浦半島です。 と言いますと、ドライブや海水浴などうきうきするような思い出だと想像なさいますでしょ? 実際には、ボウフラ取りに明け暮れた結構地味な思い出なのです。 獣医大学3年次から、家畜内科教室に所属したのですが、その研究室の主なテーマは「イヌ糸状虫症の病態と治療」つまりフィラリア症の研究です。 助手の先生や大学院の先輩にはそれぞれ、細分化された明確な研究テーマが割り当てられていましたが、新米学生の私には雑用がいろいろと課せられました。 その中でも、ボウフラ取りとその飼育が極めつけの、かつ、最重要の仕事でした。 ご存知のように、フィラリア症は蚊が媒介する寄生虫病で、研究のために生きた蚊が必要不可欠なのです。 中でも、トウゴウヤブカと言う種類のヤブカが、活発にフィラリアを運びますので、その年の研究室の成果を左右するのが、「いかに多くの蚊を確保出来るか」にかかっていたのです。 トウゴウヤブカは海辺の潮溜まりに卵を産む性質があり、ボウフラもそこで育ちます。ですから、丁度今ごろの時期、タモとバケツを持ち、電車を乗り継いで、三浦半島の海辺をウロウロしていました。 すくったボウフラをバケツに入れていると「おねえさん何が取れたの?」とよく子供に訊かれて、「ボウフラよ!!」と元気に答えたものです。
簡単そうに聞こえるかもしれませんが、いざ捕まえるとなると、これが結構難しいのです。1日真っ赤に日焼するまで歩き回って、10匹も取れないこともあります。研究室全体で使うトウゴウヤブカは500匹以上(雌の蚊しか血を吸わない、つまり、実験に使えないので、ボウフラは1000匹必要)ですので、不漁の時は、待っている先生方に会わせる顔がありません。
そうして、集めたボウフラを今度は大事に大事に飼育して、大人のボウフラ、つまり蚊にし(蚊の餌は砂糖水)、雌だけ選り分けて(くちばしで見分けられるのですよ)、先輩方の実験材料として提供するのです。
育てた蚊にフィラリアに罹っているイヌの血を吸わせ、次に健康なイヌの血を吸わせることで、感染が成立し、色々な研究がスタート出来るのです。 現在では、こんな手間のかかる研究は学生達の人気がなく、獣医界でも、いわゆるバイオが花盛りだそうですね。 私には、レトロな、手作りの研究がとても懐かしく思い出されるのです。
|
 |
 |
夕方の散歩の時など、空を見上げるとそこかしこにコウモリのひらひら飛ぶ姿が見受けられる季節になりました。 横浜のような都市部(人家と広葉落葉樹の木立が混在する)で見ることのできるコウモリの種類は大抵「アブラコウモリ」です。
身体そのものは親指程度(身長7cm程)、体重はわずか10gにも満たない小さな動物ですが、翼を広げると20cmにもなり、飛んでいる時の印象は、スズメより一回り大きい感じですね。人家(木造家屋の天井裏や学校・工場などのコンクリート建築の排気口など隙間)を住処としているためイエコウモリとも呼ばれ、新宿、渋谷などの繁華街にも住んでいます。 見た目のグロテスクさ(ゴメンね)から、コウモリが好きな人は多くないと思いますが、小さな身体で蚊などの昆虫をいっぱい食べてくれる大切な益獣です。
アメリカ大陸では、吸血コウモリが恐ろしい狂犬病ウイルスを媒介しますので、コウモリ全体が目の仇にされています。その点アブラコウモリはじめ、日本のコウモリには伝染病を媒介した報告はありませんので一安心(良かったネ、コウモリ君)。
でも、中国科学アカデミー武漢ウイルス研究所は「新型肺炎SARSのコロナウイルスのそもそもの起源は野生のコウモリのコロナウイルスであり、感染源として疑われていたハクビシンはSARDSウイルスを人間に感染させる中間宿主の役割を果たしていたとみられる」と、発表しているそうです。日本ではSARDSのはやる冬場にはコウモリ君たちは冬眠しますし、ハクビシンも稀な動物ですので、あまり心配する必要はないと思います(贔屓し過ぎかな?)。
みなみ台周辺で特に多く見られるコウモリスポットは遊水池、恩田川などの水辺です。雨が降ってさえいなければほぼ100%の確率で彼らの乱舞に出会うことが出来ます。丁度今ごろの季節に1匹から3匹の子供を産み、育てていますので、活動が活発になるのです。
哺乳類だてらに空を自由に翔びまわり、昆虫を捕食すると言うウルトラ特技を持つ彼らですが、そのために(体重を極限まで減らすため)、骨格は爪楊枝よりも細く、体脂肪も常識を超える低さに保つなど、適応努力をしているところは本当に健気です(寿命は3年程度と短い)。また、夜間活動性なので、飛びながら鋭い鳴き声を発し、その反響音をキャッチして虫を捕食したり、障害物を避けるなど、忍者もどきの優れた才能をもった生き物です。
長津田みなみ台のゆかいな先住民であるアブラコウモリ君たちにとり、いつまでも住み良い環境であり続ける様、配慮し努力することは、後から移り住んできた私たちの責任であると痛感している次第です。
|
 |
 |
耐震強度偽装事件の裁判が始まりますね。 一級建築士が建築物の命綱である構造計算を偽装すると言う、常識では考えられない事件で、「なんたること」の思いを持つのは私だけではないですよね。
私もこの病院を建てるときには、建築士の方に設計や強度計算を依頼しましたが、大工さんたちが彼を「○○先生」と呼んでいらしたことを思い出します。
世に「先生」と呼ばれる職業は教師や議員、弁護士、医療関係等色々ありますが、「先生方」が時に引き起こす破廉恥な行為や脱法行為には世間の眼は極めて厳しいですよね。特に、「先生」の立場を悪用した場合、厳しく批判されるのは当然のことだと思います。
私は、この仕事を始めた頃、皆様に「近藤先生」と呼んでいただく度に、面映くもあり、そう呼んでいただくに相応しい診療をしなくてはとプレッシャーにもつながったものでした。
最近は「先生と呼んでいただけること」をはじめ、色々な事に狎れてしまった自分に焦りを覚えています。感受性こそ若さのバロメーターですものね。
教師であれ建築士であれ獣医師であれ「先生」と呼んでいただけるには、その分野で求められる専門知識を持ち、実際に技能としてコンスタントに使えるレベルにあること、言い換えると「プロフェッショナルであること」が前提にあり、更に人間として真っ当であることが最低条件だと思うのです。
わが身を振り返りますと、まだまだ本当に未熟であり、心と身を引き締めなおさなければならないと痛感しています。
臨床獣医学の技術革新が急激に進み、数年前には診断することさえ出来なかった病気、使う薬がなかった病気、手術対象になり得ないとあきらめられていた病気やけがの動物も救命出来る様になったばかりでなく、QOL(生活の質)の向上にも繋がる医療が出来る様になってきています。
この進歩に遅れることがないよう、また、反対に焦って新技術を充分に消化しないまま皆様の大切なペット君に適用するようなことがないよう、心して診療に当たっていく所存です。
実際問題として、開業獣医師にとって、書籍やインターネット以外で新知識・技術を勉強できる機会はとても限られており、年数回、獣医学会や研究会、講習会に出席できるのがせいぜいです。
そんな私がつくづく有り難いと思うのは、本当に厳しく「基礎知識、基本手技、本質の捉え方」を叩き込んで下さった、獣医大学の先生方・諸先輩です。
新しく開発された医療器具、薬剤、その他の技術革新を受け入れ、理解し、自分のものとして活用するには「基礎知識、基本手技、本質の捉え方」が備わっていてこそのものだと分かるようになったからです。 今頃になって、卒業式で歌う「我が師の恩」を実感できます。
また、治療させていただいた動物達と飼い主の皆様こそ、実は私の先生だったことに思い至ります。 初めて経験する病気の動物、初めて実施する手術は言うまでもありませんが、毎日の診療を通じて、動物達から学ばせていただくことのなんと多いことか。
さらに、院内開催のしつけ教室インストラクター、新しい情報を提供してくださる製薬会社、医療機器、ペットフードの営業マンの方々も私の大切なパートナーであり先生だと意識しています。
私は「反面教師」にならないように気を付けよっと。 昔から「先生と 言われるほどの 馬鹿はなし」 との痛烈な川柳があるくらいですからね。
|
 |
 |
飼い主さんにとても可愛がられているラブラドールリトリバー犬が急速に元気がなくなり、来院した時にはみすぼらしく衰えて、お婆さんワンコになっていました。 症状からあたりをつけた上で、内分泌検査をしたところ、血液中の甲状腺ホルモンが通常の100分の1以下の濃度しかなく、深刻な甲状腺機能低下症であることが分かりました。 甲状腺の機能は脳下垂体によりコントロールされ、脳下垂体の機能は視床下部によりコントロールされる関係にあり、さらに甲状腺が脳下垂体と視床下部の働きを逆にコントロールすると言う、まったくややこしい関係にあります。
ですから、甲状腺機能低下症の真の原因を特定するには、脳下垂体の状態と視床下部の状態も同時にチェックする必要があります。 これらの検査から、甲状腺そのものがダメージを受けて働かなくなっていることが突き止められ、直ちに甲状腺ホルモン補充療法を開始しました。
ホルモンが足りない状態でそのホルモンを補充するのですから、効果覿面。 見る見る元気を取り戻し、以前のお転婆ワンコさんに逆戻りです。 毛の艶もよみがえり、体臭も消えて元通りの美犬に復活できました。 ご近所さんもびっくり。
話は変わりますが、小型犬のお産の時に生じやすいのが、産後テタニーと言う病気です。一言で言ってお母さんの体から、カルシウム分が急速に失われ(胎内で赤ちゃんの骨を作るために、お母さんは自分のカルシウムを削ります。また、授乳によってもお母さんのカルシウムは失われます)、それにより筋肉の痙攣と意識障害を起こす危険な病気です。突然、痙攣を起こし、ぐったりしてしまいますので、飼い主さんは飛んで来られますが、イオン化カルシウム剤を静脈注射すると、その場でシャンとします。これまた効果覿面。
ビタミンもミネラルもホルモンも不足すると重大な病気に直結することは分かり易いですね。でも、最近の健康ブームに便乗?したような、やれコエンザイムQ10だのヒアルロン酸だの各種ビタミンだのアミノ酸だのを、サプリメントなどの形でやたらと摂取する風潮には????を感じています。
本当に不足している状態であれば効果覿面ですが、そうでなければお金の無駄であるばかりでなく、健康被害にも繋がりかねません。 「過ぎたるは及ばざるが如し」と言う名言もありますよね。
|
 |
 |
動物病院の待合室は動物達も、飼い主の皆様も緊張気味になり、居心地の良い所ではありませんよね。
そんな、殺風景になりがちな待合室を彩ってくれているのがハイビスカスの鉢植えです。
私のハイビスカスへの感謝を込めてのウンチクに、しばしお付き合いください。
この植物は中国南部が原産とされていますが、熱帯地方に広く分布し、アメリカ・ハワイでは「州の花」に、マレーシアでは国花に指定されているそうです。
植物図鑑を見ると、分類学的にはアオイ科 フヨウ属へ属し、近縁の植物にフヨウやムクゲがあると記載されており、ここまではフンフンなるほどと納得しながら読み進みました。でも、最も近い親戚が野菜のオクラであると言うのは私にはとても意外で面白く感じられました。オクラの親戚ですか〜??
試みに、ハイビスカスのめしべ(子房)に相当するところを取り出してみると、なるほどミニチュアのオクラ状をなしています(ガーン)。更に、その部分をつぶすとオクラと同じように、ネバネバの汁が出てくるではありませんか!!!
ちなみに、玄海田の運動公園予定地の北隣にある野菜畑ではオクラが栽培されていて、フヨウに良く似た美しい黄色い花(黄色い花弁に真紅の花軸)を咲かせています。花が散った後に、子房がお馴染みのオクラになっていくのですが、未熟な子供のオクラから収穫し損なってキュウリほどにも育ってしまったオクラ(硬くて食べられません)まで生育の過程が見られてとても面白いですよ。
花は早朝に咲いて夕方には萎む一日花です。「花の命は短くて・・・」ですね。
でも、この辺ですと、真冬の1時期を除いてほぼ1年中間断なく、咲き続けてくれるのがうれしいですよね。
ずっと以前に知り合いの方に頂いた赤いハイビスカスに、白が加わり、楽しみが増えました。
赤いハイビスカスの花言葉は「私はあなたを信じます。新しい美。開放的」など、白のそれは「艶美」だそうですね。
ところで、肝心の動物達の反応ですが、「花より団子」なのでしょうか?ハイビスカスに限らず、花に対し興味を示すワンコ、ニャンコはいないように見えますね(ザンネン)。時には片足を上げて名刺代わり、縄張り宣言のおしっこをしていく剛の者(ワンコさん)がいるのもご愛嬌です。
|
|
|